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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

暇から一転した非日常

作者: だいどぅ

タブレットをトントンと叩きながら溜め息をつく。

暇。暇すぎる。

眠たい目を擦りながら端末を触っていると

LINEに一件のメッセージが届いた。

『急にごめん。今から会えないかな?』

むくりと重たい体を持ち上げてから『大丈夫。すぐ向かう』

と返信を打った。

集合場所はいつもの所だろうと思いすぐに準備をして家を出た。


目的地を目指す途中、不意に後ろからトンッと軽く背を叩かれ

「やっほ」という声が聞こえた。

それに「やっほ」と言い返す。

随分と身軽そうな服装に戸惑うが今日の要件は何だと聞いた。

内緒と言われ一瞬困惑したが、すぐに返事をした。


ついてきてと雷に言われてので大人しくついていく。

何処へ行くのかなとワクワクしながらついて行っていたが間違いだった。


ここで待っててと人目のない所に1人ポツンと残されてしまった。

この場所には詳しくない。下手に動いたら迷子になってしまう。

そう思い近くの壁に凭れ掛かり端末を取り出そうとした時だった。


バンッと銃声が鳴り響く。その音に驚いたのか電線にいた鳥達が

一斉に空へと羽ばたいていった。


ペタリと地面に座り込む。

何か殺人事件でもあったのだろうかと思いながら立とうと地面に手をついた瞬間

右肩に激痛が走った。

嗚咽を零しながらもゆっくりと立ち上がる。

ごく僅かにだが、銃をリロードする音が聞こえた。


逃げなきゃ殺される。

その一心で逃げようとしたがここは知らない場所

結局1歩も動けず立ち竦んでしまった。


そういえば雷は何処だと辺りを見渡すと暗闇に隠れる人と目が合った。

途端、再び銃声が聞こえ今度は脇腹に激痛が走った。


腹を抑えながら地面に座り込み脳を必死に働かせる。

すると頭上から声が聞こえた。

「だいちゃん………大丈夫?」

顔をあげると雷がいた。

友達がいるという安心感に包まれながら「まあね」と言い苦笑いをした。


雷が横にしゃがむ。背に手をまわしたので撫でるのかと思った。

が、そんな平和な事は起きず、ただ近くでカチャという銃をリロードする音が聞こえただけだった。

えっと思わず困惑してしまう。ごめんという声と共に銃声が聞こえた。


地面に倒れ込み大量の血を吐き出す。何をされたか解らないまま意識が遠のいていった。

呼吸が荒げる。そんな中、雷はごめんねといいながら背を撫でてくれた。

逝く直前、さっき心臓を破裂させられたのかと疑問が解けた。

ポタポタと頬を伝う液体があった。雷が泣いている事に初めて気がつく。


もう体は動かないけど、最後に1つだけ。

今自分にある力を振り絞って雷にこう伝えた。

「君に会えて良かった。今までありがとう」と。


ゆっくりと目を瞑る。

今までの人生を思い出しながらゆっくりと静かに醒めない夢へと堕ちて逝った。

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