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プロローグ

初めて小説というものを書きました。個人的な世界観を思いのままに書き出したので、なかなか文がコンパクトにならず、拙い文章になりますが、温かい目で見てください。

ふと上を見上げただけだった。今日も一日疲れたな、そう思って空を見上げただけだった。


ーー今思えば平凡な私の日々はその時に終わっていたのかもしれない。




「ねえ聞いた?6組の松田さん飛び降り自殺だって。」

「聞いた聞いた!!やばいよね。」

「まぁ最近学校来てなかったもんね、何か悩んでたのかも。」


クラスが朝からずっとざわめいている。ずっとこの話題を友達達と集まって話している。“いじめられてた”とか、“勉強について行けなくなった”だとか、勝手な噂が広まっている。もうこの世界には居ない人の話をずっとしている。私はそんな人達を遠くから見ていた。


あの日、私が空を見上げたあの時、私の目に移ったのは夕日の逆光を浴びて長い髪を揺らす黒い影が廃墟ビルの屋上に揺れている姿だった。『あんなとこに立って危ないな、何してるんだろう』、最初はそう思っていた、影が飛び降りるまでは。私はその時、全ての思考がストップして、まるで自分が白紙になったようだった。周りの音が何も聞こえない、何も感じない、ただそこに立っているだけだった。私の意識がようやく蘇ったのはその影の異変に気付いてからだった。長い髪を激しくなびかせながら落ちて行く影は途中で“ほどけていった”。落ちて行くはずだった黒い影は、空中でまるで毛糸が重力で解けていくかのように、地上に着く前にその姿は何本もの糸になり空中に解けて消えたのだ。



そんな光景を見ていた私は、未だに信じられない現象に理解が追いつかず、ただぼんやりとしていた。

「日向?なにボヤッとしてるの?」

「っ!!」

突然私の視界に入ってきた友人に意識を戻された。

「そんなに驚く事ないでしょ〜、どうしたの?今日ちょっとおかしいよ?」

「あはは、ごめん。ちょっと考え事してたの」

「日向がそんなに考え込むなんて、、、さては今日の小テストをどう乗り切るかだね」

「失礼だなぁ、ちゃんと勉強してーーッ!?」

「どうしたの!?」

突然首に鈍い痛みがはしった。反射的に首に手を当てるが、特に何もなかった。

「大丈夫!?首つったの?」

「ううん、なんかちょっと首痛めたみたい、心配しないで」

「そっか、びっくりしなぁ、もう」

「ごめんね花梨」

私は花梨に心配かけないように、笑ってみせた。その後も首のことが気にかかり、学校では気にしていたが、最初に感じた痛み以降は何も起きなかったため、下校中にはすっかり忘れていた。

しかしその夜、私は首に激しい違和感を感じ、全く寝付けずにいた。まるで首に何かが巻きついているかのようだった。

『、、、ーーない。』

何かが聞こえた気がした。首がキリキリと締まる度に何かが聞こえる。

「な、、、にーー。」

息が苦しくなる、私の視界はだんだんと歪んでいき、“何か”がだんだん大きくなっていった。耳が痛い。

「や、、や、だ、、っっ」

そこで私の意識は途切れた。



頭が重い。私の目覚めは最悪だった。幸い今日は土曜日、学校が無くて助かった。眠気を覚ますために顔を洗いに私は洗面所に立った。

「、、、、っ!?」

鏡を見た瞬間、私は息が止まった。昨日まで何も無かった ずの首に、赤黒い痣が巻きつくようにあった。

「な、、に、これ、、」

私は突然現れた痣に動揺を隠し切れず、何度もこれは夢だ、夢なんだ、悪い夢だ、お願い早く覚めて、と心の中で叫び続けた。何度叫んでも私はこの悪夢から抜け出せなかった。これは現実なのだと認めたく無かった。怖い、得体の知れない恐怖が私を喰おうとする。目の前が真っ暗になる、何も見えない、私の顔はどんどん青白くなっていく。


ーーチリン。


微かな鈴の音が聞こえた。私はようやく視界の景色を取り戻した。あたりを見回すが、そこには誰もいないし、何も無い。でも、不思議と怖くは無かった。むしろ心が安らぐような、暗闇から私を導いてくれるような、そんな音だった。その音は家の外から聞こえてくるような気がした。何故かは分からないが、不思議と直感でそう思った。私は急いで着替えて、外に出た。秋の物寂しい風が吹いて、少し肌寒かった。どこに向かったらいいか分からなかったが、とりあえず私は山に向かって歩いてみた。小さい頃はよく家の近くのこの山で遊んでいた。いつぶりだろう、ここに来るのは。


ーーチリン。


「っ!」

また鈴の音が聞こえた。森の奥から鳴っている気がした。直感に従うままに歩いていくと、古びた石の階段が上に続いていた。私はゴツゴツとした階段を慎重に登った。結構長い、どこまで続くのだろう。

「はぁ、、はぁ、、」

息が上がる、運動不足かもしれない。そう思いながら登っていると、階段の赤いものがちらり、と見えた。登り続けてみると、そこには随分と古い朱色の鳥居が建っていた。

「こんな所に神社なんてあったんだ、、」

驚きと、初めて見つけた少しの興奮を感じながら私は鳥居をくぐった。


ーーズクンッッ。


「ーーーッッ!!?」


また首に激しい痛みがはしった。今までの痛さからは考えられない程の痛みに私は立っていられなくなった。それに加えて焼けるような鋭い痛みも感じた。私はその場にうずくまってしまい、あまりの痛さに呼吸が苦しくなった。

「、、かはっ、、っ!!」

もう嫌だ、誰か、お願い誰か助けて。私は泣き出しそうになった。自然と目に涙が滲んできた。


ーージャリッ


その時、誰かが砂利を踏む音がした、そして私の前に立った、気がした。

「おい、あんた、何勝手に入ってきて、、、、?ーーっ!おい!!しっかりしろ!!」

その人は怒っていた気がしたが、私は相手を見上げる余裕もなく、そこで私は意識を手放してしまった。―――

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