表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
正確な魔王の倒し方  作者: うっちーさん
第1章 絶対魔王の傘下
2/5

絶対魔王はかく語りき

・絶対魔王の一歩手前


長く生きているとな、一応ファンタジーの世界だ。

魔術の使い方なりなんなりも教わったりする。

理由としてはやっぱり

「魔王の娘だから」

それと

「魔王に脅しのネタとして使えるから」

私の父は、物語によく出てくる非常な魔王ではない。

人間より情に熱いし、今まで尽くしてきた人間が

目の前で無くなれば、その都度父は涙を流す魔王だった。

その姿を見た民達は、年を重ねるごとに

この人について行こう。この人なら大丈夫だ。

なんて信頼を置いていった。

だからこそ、父からは

「自分の身は自分で守れる様鍛えなさい。」

と良く言われた。でもその後に

「だか、お前は私の可愛い一人娘だ。もし何かあれば真っ先に俺が出る。」

なんて、ちょっと照れ臭そうに、優しく言ってくれた。


最強の魔王、その娘とは言えやはり

[魔王の子]の肩書きは伊達ではなかった。

魔力量は10歳の頃には

勇者達が引き連れて来たどの魔術師達より多かったし

肉体的な防御力も格闘家達よりも堅かった。

まぁ見た目は華奢な女の子☆ だったから

最初、格闘家達と「耐久勝負してみたい」なんて言った日には

家臣やら、民達やら、父やら…

大慌てで全力で止めらそうになったが…

自身では防御力に関しては自ずと気付いていたから

目の前で鉄棍棒を自分の頭でひしゃげさせて

それを見た父は気絶、他の連中はしばらく動かないぐらいには唖然としていたのはいい思い出だ。


失礼、話が逸れたな。

けどやはり「戦闘する」という面では

結局ずぶの素人。いくら私自身の能力が高くても

使えなければ “達人” にはあっさり圧倒される。

幸い、前回話した通り

Lv Maxの達人どもがごまんと居る。

若さを武器に、あらゆる技術を習得していった。

格闘術、武器の使い方、魔術や錬金術…


だがな


唯一習得できなかったのは「風属性」

魔力回路的に、相性がほぼ無いとの話だった。

とはいえ、私の圧倒的センスだ。

相性は悪くても、中級魔法ぐらいまでは全部習得したさ

(と、言っても上級火力と変わらないぐらいの威力だが)

そこら辺の能力に関しては、おいおい説明しよう。


この世界の設定…というより

基盤となる物は[魔法]だ。

…悪かったな…私からすればこっちが普通なのだ…。

ま、でもこれも良くある話だな、うん。

存在するのは五大属性のみ


[ 炎 ][ 風 ][ 水 ][ 土 ][ 雷 ]


この5つで成り立っている。

魔法理論基礎とかでここら辺の相性うんぬんもあるのだが…

ある程度察してくれ。だがちゃんと重要な時は説明する。


…大丈夫だって本当。怒られるからな…。

1つ説明するとするならば

『これ以外の属性は()()()()()』とだけ断言しておく。

もちろん、複数の魔術を合わせて全く別物にする事は

可能だ。むしろ私の得意分野だし。


さ、私がどの様な力の持ち主で

どれ程強いかある程度は分かったか?

長くなってすまなかった。では始めよう—。



・絶対魔王の目的


「これより!!王政を始める!!!」

家臣全員の、響き渡る声と共に私以外全員が立ち上がる。

『王政』はこの国の定期的な通達やら状況などを報告する…言わば会議みたいなものだ。


「それでは、農耕・食糧について…」

「どうせ先月と大差なかろう?今は干ばつの時期、多少の食糧不足はいつもの事だ。次。」


「では、国の領土について…」

「それも、先月と拮抗してるんだろ?『王都』の連中、全く動きを見せないしな…まぁ小競り合いは多少ある様だが」

「魔王様、その件についてお話が」


1人の大臣が、この『世界』の地図を広げる


『王都』と言うのは我々が敵対する連中。

我が父の話を聞かず、反発・抵抗し続け

民草なりに知恵と努力を繰り返し

『世界の半分』を占めている国の事だ。

ま、半分なんて言われてるけど

実際私達の領土が6割強なんだがな。


「良い。話してみよ」

「はっ…丁度、国間のこの部分、その少し先に集落があるのがお分かり頂けますか?」


「ふむ、そこまで大きい集落では無いが、ここまで最前線にある集落が潰れていないのか…」

「地図上で確認しながらです故、集落の大きさや距離に関しては多少誤差があるのはご承知を。」

「構わん、続けろ。」


「それでは…早速ですが報告から…この集落周辺の部隊なのですが…約8割程のダメージを受けました。」

「…ほう…前線の精鋭部隊を…どの様な兵力だった?」

「それが…報告によりますと…」


久々に、私の期待が胸を弾ませた。

「魔王…さま……?」

「ふふ…そうかそうか…たった一人で…」


その男は紅蓮に燃える剣を使用していたと言う。

前線にいる自国の精鋭部隊を、おおよそ7149人余りを。

戦力にばらつきはあるとは言え

生半可な能力では太刀打ちできない様な者も

前線だけあって多めに配置していたのだが。


「やっと…私の希望が、願いが、成就するのかもしれないのか…」

「あ、あの…魔王様…?如何致しますか……?」

「ハン!決まっておろう!!!」


「我、自らが出るっ!!!!」


私の忌々しい呪い。

不老不死の呪い。

それを壊せるのは私以外の『誰か』

自分では壊せない、触れない呪いも掛かっている。

場所は把握している。

壊し方も心得ている。


今まで『誰か』にやってもらうしか無かった。

実現出来る奴はこの200年一人も居なかった。

だが、今その可能性が目の前にある。


私の呪いの元凶

ありきたりな名前だが強力な《アイテム》

それは…《不死の宝玉》を壊す事—。



・絶対魔王の初陣


「ほ、本当にお一人で向かわれるのですか!?」

「当たり前だ…いい加減面倒だぞお前達…」

「ですがっ…!もし魔王様に何かあったら…!」

「無い。億が一にも無い。」


単身、その精鋭部隊を潰した男を見に行こうと

いきり立ったらこれである。

いやはや、慕われていると魔王は辛いな。


「すぐ戻る…!いいから行かせろ…!」

「嫌です!なりませんんん!!」

「貴様ら…!!賢者レベルで拘束魔法を使うな…っ!!」

「今すぐ魔王様の父君を呼べ!」

「まだ間に合う!通信魔法を…!!」


慕われていても流石にうざいし限度がある。

久々にイラッと来たし、ウォーミングアップついでに

魔力をぶっ放してみる。


「あぁ!いけません!!」

「行くなら私どもがぁぁああ…!」

「煩い。我が行くと言っている。」


魔力解放

それに相応しい言い方かは分からないが

私自身に向けられている魔法は

『一度受けてしまえば効かなくなる』

だから魔力を放出するだけで、あらゆる魔法は無力化され

何の効果も無くなる。


家臣達が雑兵だったりする頃から魔法訓練だとか

色々な魔法や魔術を文字通り『受けて来た。』

それこそ幼少の時に受けた勇者連中の技も全部、な。

故にこいつらの技なんて、とっくに効かなくなっている。


ので

「じゃあな、お前達。留守は任せたぞー」

「あっさりすぎる!」「一生捕らえられるような魔法が!」


なんつーモンを自分の魔王にかけてるんだお前達は。

だが、まぁ…

「心配するな。必ず夕飯までには帰るさ。」

なんだかんだ、結局は見送ってくれる。

上下関係はあれど、こ奴らも家族みたいな物だからな。


さ、魔力がここまで使えると

空を飛ぶ事自体造作も無い。

[炎]の熱を浮力にし、加えて

[土・雷]を使って磁石の様に反発させているだけだ。

最高速は…自身でも分からんぐらい出せる事は知ってる。

こんな説明をしている間に目的の集落が目に入った。


「期待外れで終わらせないでくれよ…?」

そう呟いて、集落の中心に降り立つ。


「だ、誰だお前は?!」「見た事ない人間だな?」

と、反応は様々。

そうだよな、いくら[魔王の娘]だからって

《99%人間に見える》

なんて思いもしないか…

あ、一応魔王っぽい所もあるぞ?

瞳がルビーの様に明るかったり、戦闘時は黒みがかかったりもする。

魔力解放時なんかは瞳が金色っぽくなったり、とかな。


それはさておき…

「手短に話す。村長か、前線を全滅させた奴に会いたい。」

面倒なんだよ、そりゃ昔はちゃんと礼儀正しく言ってたさ

手土産とか献上しつつな?


「俺がその全滅させた奴だが…?」


いつの間にか私の中心に人だかりができ

押し分けて出て来たオレンジ髪の青年…


「あんた見ない顔だな?王都からの新しい使いか?」

「違う…とだけ言っておこう。お前、名前は?」

「いきなり失礼な奴だな…まぁいいだろ」


顔はそこそこ良いな、私好みではないが

そんな青年はニカッと笑い

「俺はスルト、スルト・トゥーリアだ!」

「ほう…では、スルトよ、私を殺してみよ…!!」

「……は?」


魔力集中。

私の膨大な魔力に反応し、大気が震える。


「我はレインツヴェルグ・アミン・エンリッヒ!!」

「貴様らの恐る…絶対魔王だ!」


周囲がどよめきから、悲鳴と怒号に変わる。

一目散に逃げ出す者、その場で崩れ落ちる者

だが私は、《そういう奴らは殺さない》

無駄な殺生という奴だな。


「早くこいつらを退かせ…本気になればこの辺りの集落など一瞬で灰になるぞ…?」

「くっ…!!皆!!急いで逃げろ!!王都に知らせるんだ!」


スルトはそう叫ぶと、腰に携えていた両刃の剣を抜き

物怖じせず私に向けて来た。


「…安心しろ、手は出さん。」

「ふん…どうだかな…?魔王の言ってる事なんて誰も信じやしねぇぞ?」

「だろうな…ならば場所を移すか…」


高揚感からか、にやけ顔が止められない。

いかんいかん。悪者っぽく見えてしまう。


結構な速度で移動し、岩場が多い所まで来た。

スルトとやらもすぐに到着し、息1つ乱さず闘志は燃えたままであった。

ここなら被害は出ないであろう。


「では…()ろうか…!!」

「っ…来い!」


戦闘では相手が何の属性を使うか見極める必要がある。

不利な属性であれば戦い方にも方向性が必要だからな。

試しに、私の好きな[炎属性]の球を放つ。

俗に言う人間界の「強い兵士」ごときなら

木っ端微塵になる威力ではあるがな。


「はぁっ…!」

スルトは一瞬、集中したかと思うと

その剣は紅蓮の焔を纏い、()()()()()()()()()

「いいのか…?[炎]のサービスなんてしてもらって…」

「サービスしたつもりは無いが…それがどうした?」

「俺は炎の精霊に生まれつき愛されててな…魔王は引きこもってて知らなかっただろうが、かなり有名なんだぜ俺…?」


なるほど…《(ほのお)精霊(せいれい)寵愛(ちょうあい)》か…

魔力や膂力(りょりょく)を精霊から貰い受け

それを身体や武器にエンチャント出来る訳か…

こいつはこいつは…


「フフ…フハハハハ!!」

「何がおかしい…?」

「良い!良いぞ貴様!!久々に楽しめそうだ!!」

「そのクソみたいな笑い顔、すぐに歪ませてやる…!」


スルトは剣を一度振りかざし

特大な炎の衝撃波を放った。


—興味深い。一度受けてみよう。


「喰らえ…!!」

「ああ、“喰らって”やるとも」

身体の正面から衝撃波を私は受けた。

なるほどなるほど、これは威力が高い。


私の身体は縦に真っ二つになり

切断面が焼けただれ、熱により半身はに真っ黒になっていた。

「一撃…?そんなバカな…」

あ、これ、私のセリフじゃないからな?

あっさりと私が “やられた”様に見えたからだろう

多分驚きの一言だったんだろうな。


間も無くして、切断された私の肉体は

元にぴったりと張り付いて戻った。

「ふむ…流石最上級な[炎]の攻撃だな。再生まで7秒も掛かったか…」


不老不死の私は

適当な即死程度なら3秒ほどあれば元に戻れるのだが…

こいつのは『技と魔力と質量が段違い』だ。

牽制で打ったであろう、まぁある程度は本気だろうが

ここまで威力のある技で、私に7秒も時間をかけさせた…


「ふむ、よかろう、思ったより楽しめそうだ。」

「化け物め…!噂は本当だったか…!!」

「噂…?」

「あぁ、バラバラにしても再生し、毒殺しても数秒で抗体ができ、老いる事ない魔王…!」

「あぁ、その通りだとも」

「…だが、その魔王を倒す為に俺は鍛えて来たんだ…!」

「そうか…その言葉、本当なら我の国をやろう。」

「は!?何言ってるんだ?!」


だろうな

それが正しい反応だろう。

今までそういう手合いに当たって来なかったからな。


「なんなら直筆のサインと契約書だ。」

スルトに渡す。呆気に取られた表情で。

「ふ、ふざけるな!バカにしてんのか!!」

「至極本気だが?まぁ倒せれば、の話だがな。」

「……後で吠え面かくなよ…!」

「上等だ。文字通り本気で掛かってこい。」


そうだ、私の期待を裏切るなよ。


いかがでしたか?今回は

説明盛り沢山な内容になってしまいました(真顔)

「やっぱこれグダるんじゃね?」とか思われても仕方ない…気がしますけど!!!


これからやっと本編に入る形になります。

プロローグの説明やら今回の章やら…

見にくい(醜い)点も多いですが…

お付き合い、お願いしまっす!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ