第八章 最終決戦へ!それぞれの想い。
遂にその姿を現したロードに敗北した四人。
四人は直ちに、基地へ転送され、治療を受けていた。
幸いにも命に別状はなかった。
最初に目を覚ましたのはジェイクだった。
身体を起き上がらせようとするが、傷みが激しく、出来なかった。
ふと隣のベッドを見ると、セレン、ディン、レナの三人が眠っていた。
「皆……。」
と、そこへデニーが部屋に入って来た。
「デニー。」
「ジェイク!気が付いたのか。」
「ああ……、それより、皆の容態は?」
「幸い、命に別状はない。
今はとにかく体を休ませるんだ。」
それから数時間後、セレン達が目を覚ました。
ジェイクは安堵の表情を見せる。
「それにしても、あのロードって奴、何者なんだ……?」
「物凄い力だった……、僕達でも歯が立たないなんて……!」
「確か、この世界の支配者になる者だとか言ってたな。」
「奴を止めないと、世界はあいつらの思うままに……。」
その後、四人は司令室にてロードという人物について話し合っていた。
「ロード、恐らくそいつがゼクターのボスと思われる。
何としてでも、ロードを倒さなければ。」
と、その時、司令室のモニターに映像が表示された。
「!?」
モニターに映っていたのはまぎれもなくロードだった。
司令室だけではなく、フューチャーワールド全域にロードの姿が映し出された。
「愚かな人間共よ、我が名はロード。
人類を滅ぼし、この世界の支配者になる者だ。
明日の夜、ゼクター全勢力を持って、人類に総攻撃をかける。
今日が人類にとって最後の日となるだろう!
人間共よ、覚悟するがいい!!」」
そこで通信は切れた。
「人類を滅ぼすだと……!!」
「本気なのか!?」
その時、通信が入る。
「エリアZ-000に詳細不明の基地を発見!
恐らく、ゼクターの本拠地と思われます。」
モニターにその画面が映し出される。
「これは!?」
画面に映し出されたのは見るからに怪しげな不気味な外観をした基地だった。
「ここが、奴らの本拠地って訳か......!!」
「デニー!
すぐに俺達をここへ転送してくれ!
今日こそゼクターを倒してみせる!」
デニーにそう伝えるジェイク。
しかし、デニーは
「その身体じゃ、まともに戦えるはずがない。
気持ちは分かるが、今は万全の状態になるまで待つんだ!」
「くっ......!」
ジェイクは納得がいかないようだが、今はそうするしかなかった。
後日、傷の具合も完治したジェイク達四人はデニーに呼び出されていた。
「みんな、集まったな?」
四人の顔を見ながら、デニーは言った。
「いよいよ、ゼクターとの最終決戦の時が来た。
我々も全総力を挙げ、何としてもこの世界を守ってみせる!」
その言葉にジェイク達は
「ああ。
俺達もその気持ちは一緒だ。
何としてもゼクターを倒してみせる!」
するとデニーは机に置いてあった銀色のアタッシュケースを開けた。
中には、、、
「これは技術開発班が開発した、お前達用の強化アイテムだ。
これには凄まじい程の戦闘力が秘められたパワードアーマーのデータが入っている。」
そのアイテムをそれぞれに渡すデニー。
「しかし、これはまだ完全に作られてはいない。
この力を最大限に発揮するにはお前達の強い想いが大切だ。」
「想い?」
ああ。と、デニーは頷く。
「お前達は、今まで守りたい!という強い想いで数々の戦いに勝利してきた。
俺達がどれほど、強力な装備を開発しても最終的にはその人の想い、、、すなわち、心が自分自身の秘められた力を出す事が出来るんだ。」
「俺達の想いか......。」
そしてデニーは
「ありがとう。」と突如、お礼を言った。
「お前達のお陰でこれまで沢山の命を救う事が出来た。
自分を犠牲にしてでも、お前達は必死に命がけで戦ってきてくれた。
だが、それでも決して、自分達の命を失ってはならない。」
そこでデニーは口を閉じた。
それから
「ジェイク。」と名前を呼んだ。
「お前の誰にも負けない強い正義感とその熱さ、それでお前は、常に先頭に立って仲間を引っ張ってきてくれた......。
まさにお前がリーダーだ。
その強い気持ちを忘れないでくれ。」
次に
「セレン、お前の一番の武器は優しさと、どんな困難も乗り越える勇気だ。
これからも仲間を思いやる優しさを持ち続けてくれ。」
そして、
「ディン、お前はいつでも冷静で時に熱い想いを持っていて、そして優しさを秘めている。
その想いを忘れずにな。」
それと......、デニーはディンとレナを見ながら、
「レナ、お前の優しさとその笑顔にはいつも励まされたよ。
いつまでも明るく、そしてその笑顔を大切にな。
特に、ディンに対しては。」
「......え?」
デニーは笑いながら、
「お前達2人なら、幸せな将来を築ける。
幸せにな。」
「デニー......。」
顔を赤らめながらも、2人は頷いた。
「そして、これは皆に告げる最後の命令だ。
皆.....、絶対に生きて帰ってくるんだ!!」
「了解!!」
その日の夜、レナはただ一人、窓から景色を眺めていた。
これが最後の戦い......。
何としても、皆と生きて帰ってくるんだと、自分に言い聞かせていた。
その時、部屋のドアをノックする音がした。
ドアを開けると、訪ねてきたのはディンだった。
「どうしたの?
こんな時間に......。」
「遅くに済まない。
お前に、話があるんだ。」
そう言いながら、ディンはポケットからある物を取り出した。
小さな箱だった。
ディンが中身を開ける。
中には......、
「俺と、結婚してくれないか?」
綺麗な光りを放つ指輪が入っていた。
「ディン......!!」
いきなりの事に驚くレナ。
「この戦いが終わったら、俺と結婚してほしい。
必ず、幸せにする!」
レナはただ、呆然と立ち尽くすだけで何も言わない。
「......レナ?」
次の瞬間、レナは涙を流していた。
そして
「......ずるいよ......。」
「え?」
そしてレナはでに抱きついた。
「もしかしたら、この戦いで死ぬかもしれないのに、本当は私がディンに伝えようとしたのに!
先に言うなんて......!!」
「レナ......!」
「ありがとう、ディンの気持ち、本当に嬉しい.....。」
そして、レナは指輪を受け取り、自分の指にはめた。
「私からも、ぜひ、よろしくお願いします。」
と、笑顔で伝えた。
二人はもう一度、抱きしめあった。
決戦当日、W.E.M各部隊がエリアZ-000に向かっていた。
「各部隊、配置に着きました!」
「了解、突撃命令があるまで、待機せよ!」
「了解!」
そして、しばらくの沈黙の後、
「各部隊、攻撃開始!!」
「攻撃開始!!」
空、地上から一気に攻撃が、放たれた。
ゼクターの基地からも攻撃が、開始される。
まさに、激戦となった。
相手の基地から、大量のロボットウォーリアーが放たれる。
飛び交う銃声や攻撃。
次第に基地の入り口への突破口が開かれた。
「今だ!突入開始!!」
「了解!!」
基地の入り口目指して、ジェイク達4人は走り抜けた。
ゼクターとの最終決戦の幕が落とされたのである。