表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

第四章 仲間を想う気持ち

プログラントベース内の訓練室。

そこでただ一人、ディンは特訓を重ねていた。

デルタブレードを巧みに操り、立体ホログラム映像で映し出される敵を素早く次々と斬っていく。

「はあはあ……。」

額の汗を拭き再びブレードを構える。

その時、ディンのブレスに通信が入る。

「こちらディン。」

相手はデニーからだった。

「デニーだ。

 お前達の専用武器が完成した。

至急、司令室まで来てくれ。」

「了解、直ちに向かう。」

通信を切り、ディンは訓練を止めると、司令室へと向かった。


司令室へ入るとディン以外の三人はすでに揃っていた。

「よし、これで全員揃ったな。

 これが装備開発部が開発したお前達の専用武器だ。」

するモニターに画像が映し出される。

「これが俺達の新しい武器……。」

「そうだ。

 ジェイク、お前はこのネオ・ライザーを。

 セレンは、ブラスターマグナム。

 ディンは、ツインブレード。

 そしてレナは、レーザーライフルを使ってくれ。

 このデータカードをスキャンすれば武器が転送されてくる。」

するとデニーは四人にそれぞれカードを渡した。

「これで俺達、また強くなれるって訳だな!」

浮かれるジェイク達。

しかし、ディンだけはそのカードをただじっと、見つめるだけだった。

「どうしたの、ディン?」

セレンの問いかけに対し

「いや、何でもない。」

と言葉を返した。

「確かにこの武器がお前達をより、有利にしてくれることは間違いない。

 だが、この武器を使いこなすには自分達の力と、武器の力を上手く使う必要がある。

 決して、心を乱して使うな。

 いいな?」

デニーの問いかけに四人は頷く。

その時、本部全体に緊急指令が鳴り響く。

「緊急指令!

 エリアG-6にてゼクト出現!

 直ちに現場へ急行せよ!」

「ゼクトか、ちょうどいい。

 この武器を試してみるか!

 皆、行くぞ!」

「了解!」

四人は瞬時に目的地へ転送された。


現場では、両腕に剣を装備したセイバーゼクトが立っていた。

「待っていたぞ、言っておくが俺の剣に斬れぬものはない!

 貴様らも切り刻んでやろう!」

「そうはいくか!

 皆、行くぜ!」

「了解!」

ブレスにカードをスキャンさせる。

「チェンジ イグニッション!!」

瞬時にスーツを装備する。

「参る!」

セイバーゼクトが襲い掛かる。

四人はデルタブレードで応戦する。

剣と剣がぶつかり、火花が散る。

しかし、剣さばきはセイザーゼクトの方が上だった。

凄まじい検査ばきで四人を切り刻む。

「くっ……!こうなったらこれだ!」

ディンがデータカードをスキャンさせる。

すると瞬時にディンの専用武器、ツインブレードが転送された。

それを両手に構え、再びセイバーゼクトに立ち向かっていく。

「はああっ!」

ディンの二刀流にさすがのセイバーゼクトも防御するだけで精一杯のようだ。

「ほう、なかなかの腕だな。

 しかし、甘い!」

と、一瞬の隙を突かれ、強烈な一撃を喰らう。

「がはっ!」

「ディンッ!!」

その場に倒れるディン。

「ふ、所詮はこの程度。

 俺には敵わぬようだな。」

セイバーゼクトはディンの頭を踏みつける。

「こんな未熟な者達が我々に刃向うなど、全く笑わせる。

 貴様らには所詮、何も守れん!」

その時、セイバーゼクトの足をディンが掴む。

「ん?」

「黙れ……!!」

そのままディンは足をどかし、再び立ち上がった。

「ほう、まだ立てるとは。」

「何としても……、お前を倒す!!」

そしてディンはセイバーゼクトに再び向かって行く。

「うおおお!!」

ツインブレードを振り回す。

しかし、その攻撃もいとも簡単にかわされてしまう。

「どうした?

 全くなってないぞ?」

「はああ!!」

今のディンはただ闇雲に暴走してるかのようだった。

「ディン!そんな戦い方じゃ無理だ! 落ち着け!」

ジェイクの声も届かず、ただ暴走するディン。

まるでい大きな怒りをぶつけているかのようだった。

「ふ、所詮はまだまだ未熟者!!」

ディンのツインブレードを受けとめ、剣で切り裂く。

ディンは吹き飛ばされ、そのまま動かなくなった。

「ディン!!

 しっかりして、ディン!!」

しかしディンは苦しそうだった。

「何だ、もう終わりか。

 ディンとやら、出直してこい。

 次こそはお前をバラバラに切り刻んでやろう。」

そういうと、セイバーゼクトは姿を消した。


本部へ帰還した四人はディンを治療室に運んだ。

重傷だが、命にまで危険はなかった。

ディンのいる病室へ入ると、包帯を巻かれたディンが横たわって眠っていた。

すると、ディンがうっすらと目を開けた。

「ディン……!」

「皆……。

 そうだ!ゼクトは!?」

一気に起き上がろうとしたため、身体に痛みが走る。

「無理するな! 

 その傷じゃ戦っても……!」

ジェイク達がディンを抑えようとする。

「それでも、俺は!」

ディンは手を払いのける。

「どうしてそこまで!?」

「お前達はあの時、悔しくなかったのか!

 学校が襲われ、何も出来なかった……!

 俺は自分の無力さを恨んだ!」

更に

「俺はゼクトが憎い……!

 だから自分がボロボロになろうが、これでゼクトを倒せるなら……!」

そしてジェイクは気付いた。

ゼクトに対する憎しみの為、さっきのディンは暴走していたのだ。

その時、デニーが病室へ入って来た。

そしてディンを行かせまいとする。

「どいてくれ、デニー!

 俺は行かなきゃいけないんだ!」

するとデニーは静かに口を開く。

「ディン、そんな憎しみの力で戦ってもお前の力は答えてくれない。」

そしてデニーはディンの腕からブレスを外し、取り上げた。

「何を……!」

「ディン、今のお前には考える時間が必要だ。

 よく考えるんだ。

 お前の力は何の為にあるのか。」

それだけ言い残し、デニー病室を去って行った。


その後、ディンは再び訓練室にいた。

身体の痛みに耐えながらも、訓練を続けるディン。

すると突然、ディンは意識を失いその場に倒れた。


ディンが目を覚ますとそこはベッドの上だった。

しかし、病室のベッドとは違った。

ベッドから起き上がると、ちょうど部屋に誰かが入って来た。

「レナ……!」

「ディン……。」

ここはレナの部屋だったのだ。

レナは訓練室で倒れているディンを発見し、部屋まで運んだのだった。

「すまない、また迷惑をかけたみたいだな……。」

そして、そのまま部屋を出て行こうとする。

そんなディンをレナが呼び止めた。

ディンが振り向いた瞬間

バチン!

ディンは一瞬何をされたか分からなかった。

が頬に走る痛みでビンタされたのだと分かった。

「レナ……!?」

頬を抑え、レナを見る。

レナは涙を流していた。

「どうして……?

 どうして、そこまで無茶をするの……!?

自分がボロボロになってまで、どうして一人で戦おうとするの……?

私達、仲間じゃないの……?」

「レナ……。」

そして

「私はそんなディン、大嫌いっ!!」

そのままレナは部屋を出て行った。

残されたディンはただ茫然とするだけだった。

その時、ディンの視界にある一冊のノートが目に入った。

開かれた状態でそのノートは置いてあった。

「レナの日記……?」

そして、偶然そこに書かれた文章を見たディンは思わず声を出す。

「レナ……!」

早くディンが良くなりますように……。

それ以外にもディンの事を心配するレナの気持ちがそこにはたくさん書かれていた。

レナは誰よりもディンの事を思っていたのだ。

そしてディンは気付かされる。

自分にはこんなにも思ってくれる仲間がいたのだ。

それなのに自分は一人で戦おうとしていた。

自分の愚かさに気付くディン。

その時、再びゼクト出現の連絡が入る。

ディンは迷わず、司令室へ向かった。

司令室へ入るとディン以外の三人はすでに現場へ向かっていた。

「デニー!」

ディンの声に振り向くデニー。

「ディン。」

そして、

「頼む!もう一度俺を戦わせてくれ!

 いや大切な仲間と一緒に、戦わせてほしいんだ!」

ディンは続ける。

「俺はいつの間にか一人で戦っていると思い込んでた。

 けど皆が気付かせてくれたんだ。

 俺は一人で戦っているんじゃないって……!

 だから頼む!今度こそ仲間を信じて戦わせてくれ!

 俺はその為に、皆を守る為にこの力を使う!」

ディンは心の中の思いを全て吐き出した。

「……ディン。」

デニーに呼ばれ、ディンは顔を上げる。

デニーは微笑んでいた。

「ようやく、気付けたようだな。」

そしてデニーはディンにブレスを返した。

「お前がそう言ってくれるのを信じていたぞ。

 今度こそ、その力で皆を守って来い!」

その言葉にディンは強く頷いた。

「了解っ!!」


三人はセイバーゼクトに苦戦していた。

「まずは貴様から切り刻んでやろう!」

と、レナに向け剣を振り落とそうとしていた。

思わず目を瞑るレナ。

だがその剣はディンのデルタブレードによって受け止められた。

「ディンッ!?」

「はあっ!」

そのまま剣を弾き返す。

「すまない、待たせたな、皆。」

そしてレナに手を差し出す。

「ありがとう、レナ。

 お前のおかげで俺は気付けた。

 この力が何の為にあるのか。

 俺は今度こそ、この力で皆を守る!」

その言葉にレナは笑顔になる。

ディンの手を取り、立ち上がる。

「もう大丈夫みたいだね!」

「やれやれ、少し遅かったけどな。」

と、セレンとジェイクは笑う。

そして

「皆、行くぞ!」

「ああ!」

「メシア3ディン・リーデン!」

「メシア1ジェイク・マクロード!」

「メシア2セレン・リラード!」

「メシア4レナ・アンケリー!」

「ワールド・アース・メシア出動!」

そして四人は専用武器を構える。

「ふん、こうなればまとめて貴様らを切り刻んでやる!」

襲い来るセイバーゼクト。

ディンのツインブレードで剣を受け止める。

セイバーゼクトの攻撃を、冷静に受け止めていく。

そして

「ジェイク!」

「ああ!」

一瞬の隙を見逃さなかったディンはジェイクに合図する。

「ライザースラッシュ!!」

ジェイクのネオライザーで思い切り切り裂く。

「何っ!?」

更に

「マグナムバースト!!」

セレンのブラスターマグナムから強力なエネルギー弾が放たれる。

吹き飛ばされるセイバーゼクト。

空中で体制を直そうとするがそこへ

「シューティングレーザー!!」

レナのレーザーライフルから強力なレーザーが発射される。

「ぐわああ!!」

地面に落下するセイバーゼクト。

「く、こんなはずでは!」

と、目の前にツインブレードを構えたディンが立ちはだかる。

「終わりだ。」

「うおお!!」

セイバーゼクトが剣を振る。

それを受け流し、

「ツインカッター!!」

二本の剣で切り裂く。

「うわああああああ!!」

爆発するセイバーゼクト。

「ミッション、コンプリート!!」


その後、本部へ帰還したディンを待っていたのは盛大なクラッカーと皆のおめでとうの言葉だった。

今日はディンの誕生日。

しかし、本人はその事をすっかり忘れていたのだ。

皆が楽しそうに騒ぐ。

その時、レナがディンの前に立ち、ディンの口に付いていた生クリームを指で拭き取り、そのまま舐める。

戸惑うディンに対し、レナは優しく微笑む。

それに対し、ディンも不器用ながら笑った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ