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第三章 心の闇

W・E・M対マインドゼクト。

この戦いは互角だった。

「己、エキスパート・ポリスめ!」

マインドゼクトが超音波を発射する。

それを素早く回避する。

「ち、あの超音波が厄介だな。

 よし、俺は奴の背後に回る。

 皆は奴の気を引き付けてくれ!」

「了解っ!」

と、ジェイクはマインドゼクトの背後へと回り込む。

狙いを定め、エネルギーをチャージしたデルタガンの引き金を引こうとした瞬間、

「馬鹿め!

 お前の考えなどお見通しだ!」

瞬時にマインドゼクトが振り返り、ジェイクに向けて超音波を発射する。

「危ないっ!!」

咄嗟にセレンが飛び出した。

ジェイクの身代わりとなり、超音波を浴びるセレン。

そしてセレンはその場に倒れた。

「セレン!おい、しっかりしろ!」

ジェイク達がセレンの元へ駆け寄る。

「うっ……!」

セレンがわずかに声を漏らす。

「良かった……、セレン、大丈夫?」

次の瞬間、

「うわあああああっ!!」

突如、セレンが頭を抱え叫び声を上げる。

「セレン!?

 おい、セレン!!

 どうした!?」

ジェイク達がセレンを落ち着かせようとする。

「嫌だ……!!

 誰か助けてっ!!」

「ははは!

 どうだ?

 俺様の超音波は?

これ浴びた奴は精神を乱され、混乱するのだ!」

「てめえっ!」

怒りをあらわにするジェイク達。

「皆!このままではセレンが危険だ! 

 一時、撤退しろ!」

ブレスからデニーの通信が入る。

「くっ、了解!」

すると四人は瞬時にテレポート装置でその場から姿を消した。

「ふ、逃げたか。

 まあいい、次こそは四人の精神を滅茶苦茶に苦しめてやろう……。」


本部へ帰還した四人。

すぐさまセレンは集中治療室へ運ばれた。

手術中と赤いランプが点灯する。

「セレン……!」

残された三人はただセレンの無事を祈るばかりだった。

しばらくすると三人は司令室へ呼ばれた。

「それでデニー、セレンの様子は!?」

「安心しろ、セレンは今ショック治療を受けて意識は正常に戻ったようだ。」

その言葉に安堵する三人。

そして

「どうやら手術も終わったみたいだ。

 皆、セレンの様子を見てきたらどうだ?」

三人は頷くと、セレンのいる病室へ向かった。


病室の仲へ入ると、中にはベッドに横になっているセレンがいた。

「皆……。」

セレンがジェイク達に気付く。

「よ、どうやら大丈夫そうだな。」

「全く、あまり心配させるな。」

「良かった……、本当に……。」

「ごめん……、迷惑かけちゃったね。」

セレンの顔は暗かった。

「医師から聞いたんだけど、あのマインドゼクトの超音波で僕の精神が乱されたみたいで……、僕の過去の辛い記憶が急に蘇って、それであんなに混乱したみたいなんだ。

もう忘れたい思い出なのに……。」

更にセレンは続ける。

「僕、時々思うんだ。

 皆と会えていなかったら、どうなっていたか……。

 それを考えると、とても怖いよ……!」

ギュッとシーツを握り締める。

「……セレン。」

するとジェイクが声をかける。

「辛いと思うが、俺達に話してくれないか?

 お前の過去を。」

「ジェイク!」

レナが止めようとする。

「いや、このまま一人で抱え込んでいてもどうにもならない。

 話してくれないか?」

ディンもジェイクと同じ事を言った。

セレンは頷くと、口を開いた。

セレンは幼い頃、両親を亡くし、親戚に引き取られた。

しかし、親戚はセレンを邪魔者扱いし、時には虐待も受けたこともあった。

そのことで周りからは苛められ、毎日が辛く、苦しい日々だった。

セレンは孤独だった。

そこまで話し終えると、セレンはブレスを見ながら言う。

「どうしてかな……?

 どうして僕なんかが選ばれたんだろう。

 こんな僕が世界を、人々を救えるのかって……。

 僕には……無理だよ。」

セレンの目から一筋の涙が伝う。

「セレン。」

声をかけるジェイク。

「だったらどうしてお前は戦う事を選んだんだ?」

「え……?」

「あの時、俺達は戦う事を選んだはずだ。

 そんなお前が簡単に、世界を、人々を見捨てるのか?」

「でも……、僕にはそんな自信、無いよ……!」

「自信があるかどうかじゃない。

 全てはセレン、お前にかかっている。」

続けてディンも言う。

「そうよ、セレン。

 私達は信じてるわ。

 あなたがまた立ち上がれるって……!」

「皆……。」

三人はセレンに頷いて見せた。

その時、病室にデニーが入って来た。

「デニー。」

「セレン、今のお前ではあのマインドゼクトに勝てない。

 そこで、今からセレンには自分の心の闇と戦ってもらう。」

「心の闇と……?」

「どういうことだ?」

ジェイクが尋ねる。

「科学技術班が開発したマインドコントロール装置、これを使って、セレンに自分自身の闇と戦ってもらう。」

「僕自身の闇と……。」

頷くデニー。

「セレン、これはお前自身との戦いだ。 

 出来るか?」

デニーの問いにセレンはゆっくり頷いた。

その時、再びゼクト出現の緊急連絡が入る。

「セレンは今から特訓に入る。

 今はお前達三人で向かってくれ。」

「了解!」


「よし、それじゃ始める。」

装置を付けたセレンが頷く。

デニーがスイッチを入れると、装置が起動する。

しばらくすると、セレンが苦しみだした。

過去のトラウマともいえる、イジメ、虐待など。

「セレン!何としても自分自身の闇に打ち勝つんだ!」


一方、マインドゼクトの再戦では三人は苦戦に陥っていた。

「ふふふ、どうした、その程度か!」

かなりのダメージを喰らい、三人は変身を解除されていた。

必死に立ち上がろうとする三人。

「そういえば、一人足りないな……。

さしずめ、心の闇に苦しんでいるようだな。

情けない奴めっ!」

「黙れっ!!」

突如、ジェイクが叫ぶ。

「何?」

ジェイクは立ち上がり、怒りの視線をマインドゼクトにぶつける。

「お前にセレンの何が分かる!?」

「ああ……、貴様ごときにセレンを理解できるとは思わないな……!」

「そうよ……!誰よりも優しい心を持つセレンをこれ以上、傷付けたりなんかさせない!」

三人は続ける。

「セレンは誰よりも純粋で皆の事を思ってくれてる!

 あいつの心は誰よりも優しいんだ!」

「セレン、聞こえるか?

 俺達はセレンを待ってる。

 お前は一人なんかじゃないんだ!」

セレン、またセレンの色んな本の話、聞かせてくれる?

楽しみにしてるから!」


過去の闇に苦しんでいるセレン。

その時、ブレスから三人の声が聞こえた。

「!?

 皆……!!」

セレンは拳を握りしめる。

セレンの目の前にはもう一人のセレンが立っていた。

セレンの闇である。

「諦めなよ、セレン。

 所詮、君なんかにこの世界は救えないさ。

 さあ、諦めてこのまま苦しみ続けて……。」

「うるさい!!

 僕は……、この世界を救うんだ!

 僕だけじゃない、皆と一緒に……僕の事を待ってくれて、信じてくれる仲間と一緒に!!」

そして

「うおお!!」

セレンは闇のセレンを思いっきり殴った。

次に瞬間、セレンの闇は消えた。

「はあはあ……。」

「よくやった!」

見るとデニーが頷いていた。

「デニー……、僕は?」

「ああ、見事自分自身の闇に勝ったんだ!」

「やったんだ、僕……!」

すると、セレンは自分を信じてくれた三人を思い出す。

「デニー!僕、行かなきゃ!

 皆が待っているんだ!」

デニーは頷いた。

「セレン、頼んだぞ!」

「了解!」


「喰らえ!これでトドメだ!」

マインドゼクトから光弾が放たれる。

絶体絶命その時、

「はあっ!」

突如、現れたセレン。

デルタブレードで光弾を弾き返した。

「ごめん、皆! 

 お待たせ!」

「セレン!?」

いきなりの登場に驚く三人。

「セレン、お前もしかして……。」

ジェイクの問いにセレンは笑顔で頷く。

「もう大丈夫!

 僕はもう負けない!」

それに対し、三人は微笑む。

「行くよ、皆!」

「了解!」

手にチェンジカードを持ち、構える。

「チェンジ イグニッション!!」

スロットにカードをスキャンさせる。

瞬時にスーツが装着される。

そして

「メシア2セレン・リラード!」

「メシア1ジェイク・マクロード!」

「メシア3ディン・リーデン!」

「メシア4レナ・アンケリー!」

「ワールド・アース・メシア出動!」

並び立つ四人。

「ぐぬぬ、小癪なあ!」

「一気に行くよ!」

デルタブレードとデルタガンを持ち、セレン達は一気に攻撃を繰り出す。

「ぐ、ならばもう一度これを喰らえ!」

再び、マインドゼクトが超音波をを発射する。

「ぐっ!」

「セレン!」

「どうだ?

 再び闇に苦しみがいい!」

「僕はもう……、闇になんか負けない!」

次に瞬間、セレンは闇を振り払った。

「何!?」

「言ったはずだ!

 僕はもう一人なんかじゃない!

 心の闇になんか負けない!」

そして、

「皆、トドメだ!」

「ディバイトラント・ランチャー転送!」

瞬時にディバイトラント・ランチャーが現れる。

スロットにメモリをセットし、エネルギーをチャージする。

「ディバイトラント・シュート!!」

巨大なビームが放たれる。

放たれたビームがマインドゼクトを直撃する。

「ぐわああああっ!!」

マインドゼクトはそのまま爆発した。

「ミッション、コンプリート!」


「皆……、今回は本当にありがとう。」

三人に頭を下げるセレン。

「何言ってんだよ、セレンのおかげで今回は勝てたんだ。」

セレンの肩を叩くジェイク。

「もう昔のセレンじゃ、なさそうだな。」

「頑張ったわね、セレン!」

皆と笑いあいながらセレンは感じた。

自分が一つ、成長できたことを。

更に、自分にはこんなにも信じ合い、助け合える仲間がいることを幸せと感じていた。

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