表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ぼくはカカシ

作者: 小野 大介

 ぼくはカカシ。

 でもね、実は魔物なんだ。

 魔王様に作られた。

 もうずっと前のことさ。

 人間を殺すのが、ぼくの使命。

 でも、嫌なんだ。

 そんな恐ろしいことはしたくない。

 だって、人間は優しいんだ。

 道に捨てられていたぼくを拾ってくれた。

 手入れをしてくれて、

 新しい服を着せてくれて、

 見晴らしの良い畑に立ててくれた。

 カカシとして使ってくれたんだ。

 赤いマフラーと麦わら帽子は、ぼくのお気に入りさ。

 みんな、良い人たちなんだ。

 だから、ぼくは殺さない。

 友達になりたいんだ。

 でもね、ダメだったよ。

 勇気を出して話しかけてみたんだ。

 おはよう!

 するとね、怖がられた。

 魔物だと叫ばれて、逃げられた。

 すぐに大勢の人たちがやってきたよ。

 みんな、すごく怖い顔をしていた。

 ぼくを畑から引き抜き、燃やそうとした。

 やめて!

 そう叫んだけど、やめてくれなかった。

 ぼくは燃やされたくなかった。

 死にたくなかった。

 だから、呪文を唱えた。

 唱えてはいけない呪文を。

 イナゴの大群がやってきた。

 悪魔のイナゴ。

 みんなを襲い、村を飲み込んだ。

 世界が真っ暗になった。

 真っ暗闇さ。

 気づけば、誰もいなかった。

 ぼくだけだった。

 また、ひとり。

 また、ひとりぼっち……。


 ぼくは人間が好きなんだ。

 人間と友達になりたいんだ。

 だから、ぼくは旅に出ることにした。

 友達になってくれる人間を探す旅さ。

 世界のどこかに、きっといる。

 いるはず。

 そう信じて、また旅に出る。


【完】

最後までお読みいただき、まことにありがとうございます。


お気に召しましたら、感想や評価をお願い申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ