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起承転を振り返り結に向かう

 ドワーフ村ガウに帰る途中、森を出た所で巨大クマを乗せるためのリヤカーを作った。

 エインが前でリヤカーを引っ張り、ロットが後ろから押している。ヴァルはというと巨大クマ討伐を伝えるために一足先にドワーフ村へと帰った。


 巨大クマをドワーフ村ガウまで運ぶ間、前話までの物語を簡単にまとめたいと思う。


 何故、前話までの物語をまとめるかというと、主人公として登場人物を牽引し物語を進行する上で簡単にでもまとめておかないと結に向かえれないのだ。くされ作者が起承転結の結を前に俺を落とし入れるようなカミングアウトをしたためでもある。簡単に言えば、くされ作者が何かしらの無茶振りをしてきそうなので、今までを振り返って備える、という感じだ。


 とりあえず、ザッと振り返ると……


 中世ヨーロッパのファンタジー世界の主人公になった俺はヒロイン兼魔王エクスと出会う。

 魔王エクスは病弱体質なため闘う以前の問題がある。そのため、住んでいる環境を改善し魔王らしくなるまで主人公らしくヒロインエクスを看病しようと思った。

 しかし、エルフのロットが現れた日を境に主人公とヒロインのほのぼの生活とは行かなくなり、この世界の問題に片足を入れながらエルフ村ランスへと行く事になった。


 エルフ村ランスで出会ったのはカイネルばあさんという薬師。

 カイネルばあさんが自分の知識を惜しみなく提供してくれたおかげで、エクスの身体に効くであろう薬草のヒントを得れた。その素材は赤竜の心臓である。

 これでエクスの身体が良くなれば魔王と主人公らしく闘えるかな? とは思ったけどあくまでも可能性の一つにすぎない。

 確信は無いため、とりあえず赤竜ワイバーという世間を騒がせる竜族を倒す事に決めた。

 そして、この世界の問題に片足を入れた状態の俺はロットの両親でありエルフの王カシオスとダークエルフの女王イリーミアと対峙する。

 彼らと戦う事になった俺は二人と存分に戦いたいため、エルフ村の民を避難するように要求した。結果を言えば、主人公としての力で強制的に避難させたのだが、地面や岩盤は主人公としての力に耐え切れず、エルフ村の崩壊が始まる。

 その時、瓦礫や泥水にまぎれて現われたのが精霊水姫ウンディーネ。


 ウンディーネは俺と勝手に契約しトランクスの中を住処にした。それが原因で、俺の魔法防御が無限になり、エルフ村ランスを崩壊し湖に変えてしまった償いができなくなった。

 せめてもの罪滅ぼしとして、赤竜ワイバーやシュ•ジンコ•ウがいるイストラーディ国を奥義【天の鉄槌】で崩壊させた。

 その日の晩、夢の中に作者が現れ正義についての価値観の違いを教わる。

 その内容は、敵だと思ってる相手にも正義があり、必ずしも正義は一つだけではない、という事だった。


 俺は主人公として赤竜ワイバーの正義を見極めて物語を進行し牽引していかなければならなくなった。


 ソロプレイヤーではない事を思い知らされた俺は、正義の行き先を見極めるために、ドワーフの地にいるイストラーディ国女王、エクスの母親を略奪する事を決めた。

 ドワーフの地はホビット村パーシから行くのだが、好奇心や自己主張の強いホビット族はめんどくさいの一言だった。特に、ヴァルはロット以上の脳筋で声が大きく猪突猛進な感じだった。この考えは後から払拭され、俺の中のヴァルは判断力に優れ声の大きさを活かした後方支援のエキスパートに変わる。

 そしてドワーフの地へ足を踏み入れた俺に待っていたのは、ホビット族とドワーフ族のプライドをかけた綱引きだった。しかし、レベル九九九の俺が圧勝、ドワーフ族族長ロイトがいる城へと難なく足を踏み入れた。


 目的の一つであるエクスの母親イストラーディ国女王を略奪するため、ドワーフ族族長ロイトとその息子エインと対峙する。

 二人の攻撃は見事の一言だった。しかし、俺には一切通用せず、女王の略奪は難なく成功した。


 俺を手ぶらで帰すわけにはいかないという族長ロイトの対面もあり宴への参加を承諾した。

 宴は盛大に行われていた。しかし、ロイトとエインは民やエクスや女王に料理を振る舞うだけで自分達は一切料理に手を付けていなかった。

 それはドワーフ村もエルフ村と同じくけして豊かではなく、貧困の中でできる限りの宴を開いたのだと俺には感じ、王とはロイトのように誇り高く、と学ばされた。

 一方、女王やエクスは王家である誇りがなく、御飾りそのままに大食いしていた。

 呆れた俺は言っても意味が無いとわかっていながら天然親子に説教する。そして、食料調達のためにロットとヴァルとエインを連れて、ドワーフの地で主と呼ばれる巨大クマの元へと行った。


 ロットとエインとヴァル、三人一体の攻防は粗くも将来を期待せずにはいられなかった。巨大クマでコンビネーションでも身に付けばいいなぁと思っていたら、作者からの悪意を聞かされ怒りが臨界点に到達、思わず気合いを放ってしまい巨大クマを気絶させてしまった。


 精霊をトランクスの中で飼う俺とエクスの間に産まれるのが国を統一する者アーサーという暴露はさすがにネタをバラしすぎだろ。と思ったけど、それは主人公である俺の目標であり、作者の絵図とは違う。

 有り体に言えばネタバラしではなく、アーサーは産ませないという作者の決意表明だ。

 悪意としか思えない。手を伸ばせば届くヒロインを餌にして、掴もうとした瞬間に餌を逸らすという悪意。生き殺しと言ってもいい。


 前話までの物語を振り返るとザッとこんな感じだ。そして、これから作者に邪魔されながらでもハッピーエンドを迎えられるようにしないとならない。


『主人公。構成の捻じ曲がりはあるんだから油断するなよ。エクスとの子作りも現実的に考えて気が早いし、俺から見たら友達以下食料調達係としか見られてないからな』


 どこからともなく作者の声音が耳に届く。


(テメェ、あんなカミングアウトした後によくも平然と現われやがったな)

『実はな、俺がオーナーなのがマリちゃんにバレたかもしれない。少しヨソヨソしくなって気を使われているんだ。心なしか戻ってくる時間が遅くなってるし』

(マジでどうでもいいな)


 このくされ作者はどれだけ面の皮が厚いのだろうか? 自分の都合しか頭に無いのか? つか、こっちの世界は時間的にまだ昼間だぞ。時間設定は作者の世界と物語の世界は同じだと思ったけど……いや、エクスが寝てる間に物語を進めたからズレが生まれたのか。

 とりあえず、くされ作者の事情だからマリちゃんがヨソヨソしくなった事も含めてどうでもいいな。


『どうでもいいとか言うなよぉ』

(つか、起承転結の結に入るけど構成はできてるのか?)

『んっ? あぁ……ボチボチな』

(できてないな。でも、今回はエクスの捻じ曲げに対抗するためにホビット村とドワーフ村で書きなぐって疲れたんだろ? カミングアウトは兎も角、作者として努力した結果だ。キャバクラで休憩して構成を……)


『『ハッピーバースデイオーナー!!』』


 大勢の女性が合唱したような声音が耳に届く。


(おい、オーナー。マリちゃんがヨソヨソしいのはサプライズだったからだ。つか、オーナーだとバレてないと思っていたのはお前だけだったな)

『えっ! 誕生日⁉︎ 今日俺の誕生日だっけ?』

(うわっ! わざとクセェ! 絶対、サプライズを見抜いていたよ。なに白々しく知らなかったですアピールしてんの! つか、リア充アピールを俺に聞かせたいから現れたな⁉︎)


 プツンと何かが切れたような音が響く。


(なんちゅう作者だ。公私混合もここまでくると独裁者としか思えねぇな)




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