神暦英雄・勇士学園
−今から300年程前。
世界は今よりも、ずっと安全だったと言われている。その時、何があったのかは誰れも知らないらしい。しかし、何かがその日にあったのは確かだ。その日以来世界には、能力者が生まれ、魔物、そして新たな大陸や海が生まれた。その日、何かが起こり、この星は2周り程大きくなった。この星が大きくなった事は、昔の地図と今の地図を比べれば一目瞭然だ。そうして新しくなった世界では、年号が西暦から神暦に変わり、犯罪を犯す者が増加した。世界の人々が魔物や犯罪者を恐れた。世界のトップ達は、その状況を危ぶみ、とある学科の専門学校を世界各国に造った。
その学科は、300年前には架空の物として語られていたもので、設立当初から途轍もない人気を誇っている。毎年の新入生の数は全5学科で、約450人程で、1学科約90人で構成されており、出願者の数は1学科につき500人近くにもなる。
その学校の名前は、『神暦英雄・勇士学園』
300年前にテレビで放送していたと言う、ヒーロー番組に出てくるヒーロー達を実際に育てる事を目的にしている。
...............と。
ここまでは分かったか?編入生」
そこまで話していた顔を上げ、俺(野崎壊刀)は横にいる奴の方を見た。
「編入生言うな!俺には美咲秋人って言う名前があるんだ。ちゃんと自己紹介したじゃん!!」
編入生。美咲秋人はそう言って机に向けていたかをコッチへ向け叫ぶ。
ここは、『神暦英雄・勇士学園』の(略:英勇学園)の1年S組の教室。
今は授業が終わった後の放課後で、俺達2人しかいない。
「そうか。それにしても、何で俺はお前にこんな常識を教えてるんだ?つうか、何で学園の事も知らないんだよ」
そう、今俺が編入生、美咲にはなして聞かせていたのは、子供でも知っている世界共通の常識である。
「しょうがないだろ?朝にも言ったけど、俺昨日この世界に来ちまってるから、何も知らねぇんだよ」
「異世界人.........ねぇ〜。本当にいるんだな、そんなの」
異世界人。
それは、数十年に一度この世界へ落ちて来る別の世界の住人のことをいう。眉唾物だと思っていたんだが、昨日の夕方ごろに異世界人が転移されて来たというニュースが今朝流れていた。まぁ、信じていたとしても、まさか自分の学校の、しかも、同じクラスに編入して来るとは、誰も思わないだろ。特に、さらに隣の席でお守役にまでさせられるなんて本当に最悪だ。
「俺だって、異世界なんて、小説とかマンガとかアニメとかゲームとか、想像上の物だと思ってたんだぜ?なのに、いきなりこうなって俺だって驚いてるんだ。まぁ、元の世界に未練なんてないから、それは良いんだけどな」
今日1日を通して聞いた話だと、こいつ、美咲のいた世界は、この世界の300年前までと同じような歴史を辿っているらしい。
「...そうか。それにしても、先生遅くないか?寮の鍵を取りに行っただけだろう?もう1時間もたってるぞ」
俺達の担任教師である大村兼二先生が寮の鍵を取りに行くと言って出て行ってから1時間が経過しているが、未だに帰って来ていない。
「俺の編入が急だったから、まだ寮部屋決まって無いのか?ここ来るのが決まったのも昨日の夜遅くだったし」
「かもな。大村先生は面倒くさがりだからな」
大村先生は面倒事はやらない、結構な不良教師だ。全員参加の学校行事も前日に知らされる事が何度もあった。
「寮部屋決まってなかったのかもしれないな」
「......そんなに面倒くさがりなのか?あの先生」
「ああ、すごく「お〜い!!寮決まったぞ!」...だ」
大村先生が鍵の持った手を上げながらこちらへ来る。一見では教師には見えない、ホストの様なこの男が俺達の担任である。髪は金髪、気怠げな目、高い身長、着崩れしたスーツ。ホストってこんな感じかな?の代表例のような男である。
「大村先生、部屋決まってなかったんですね、やっぱり」
「お?野崎すまんな、1時間も放置して。寮は無事決まったぞ、お前の同室にな」
「.........は?」
この時、俺は一瞬何を言われているのか分からなかった。たしかに俺は2人部屋を1人で使っているが、それは俺がこの学園に入るにあたって決まった事だ。
「やった!知らない人と同室になるのは、少し不安だったんだ。これからよろしくな、野崎!」
俺の私生活は他人と隔離されていなければならない。だから俺は今まで1人で過ごして来たんだ。1人で生きて来たんだ。1人にならなくてはならない。
なぜなら俺は−
「よろしくなんて、しねぇよ」
俺は、バケモノ(化物)なのだから。




