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氷中花  作者: 綴奏
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偽りの強者 其ノ三

 

 ◆


 私立黒崎高等学園。そこは数ある異能者向け高校の頂点。正常者であろうと異能者であろうと知らない者はいない。そして、力のある者が必ずしも正しい道に進むとは限らないことも、誰もが知っている。それを身を持って知ってしまった人間の中には、回復の見込めない怪我を負った者や、心を壊してしまった者もいた。 

 力のある者が思うままにその権力を振るってきた時代はどこの国にもある。時が流れたとしても、権力というものが形を変えていっただけに過ぎず、その根本は現代も大きく変わってはいない。その歴史のなかで、正常者と異能者はお互いに協力する姿勢を示してはいる。

 今からそう遠くない時代、正常者が現代兵器を手に取り、異能者は自身の能力を武器に戦う、まさに地獄絵図のような内戦があった。その血に塗れた反省から組織されたのが、ESPだ。

 力のある異能者を束ね、異能犯罪者を捕らえさせることで正常者と共存していく仕組み。だからこそ、ESPには強力な異能者が求められる。現代社会のバランスを取るこの組織に、常に戦力を送り続けるための施設。それが異能者だけ通うことの許された私立高校だ。 

 ただ、時代は流れ、自分たちの存在を守るための命綱だったESPは、今や高給取りの花形としてのイメージばかりが目立っている。そのおかげもあり、ESP入隊希望者は途切れることもなくなり、昔に比べれば平和な生活が送れるようになった。

 そんなESPが期待を寄せているのは異能者高校の上位者五名だ。ESP5にならって、黒崎学園の上位五名はバレットを名乗る。他の異能者学校の上位者もまた同じだ。ただ、すべての高校で中級者がその地位を占めているため、ドングリの背比べと言っても過言ではない。

 ――しかし、黒崎学園は別格だ。第一に、中級者の質が高い。フォースバレットとフィフスバレットは中級者であるが、それ以降の中級者も力に大差はない。つまり、中級者の中でも優れた者が集まっているのである。

 第二に、サードバレットからは上級に階級が飛ぶ。


 サードバレット、非物質系異能者、その性質は『電気』。

 個体識別名は『帯電操者』。

 黒崎学園の第三位である避雷針美咲の強さは、その精度にある。

 扱いの難しい電塊を生み出し、それを様々な形で攻撃に利用する万能型。


 ファーストバレット、生物系異能者、その性質は『蜘蛛』。

 個体識別名は『紫煙乱舞』。

 ESPに最も注目されている糸車椿の強みは、力と速さにある。

 剣術と体術に長け、それに速度を加え相手を一撃でひれ伏す。

 ESPの大佐と同じく、まさに生きる弾丸のような存在だ。


 セカンドバレット、生物系異能者、その性質は『薔薇』。

 個体識別名は『荊棘迷宮』。

 ESPに期待されつつも監視下にある伊原。

 目が合えば殺される、とまで言われる程に凶暴で恐れられている――


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