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氷中花  作者: 綴奏
155/165

受胎の聖告 其ノ五

 

 ◆


 黒崎学園の屋上。その東棟側では、時の異能者が手錠と鎖で地面に繋がれていた。それを取り囲むように、何かの儀式を執り行うかのように。黒布の集団が彼女の様子を覗き込んでいる。

 目が付いていないだけでなく、鼻も口もない、その白い顔で、代わる代わる観察し終えたらしい。その中からひとりの黒布がフードを外しながら近寄って来たのだ。その者の顔は他と違っており、若い男性の端整な顔立ちをしている。すると男の背後にいた黒布たちが血を噴き上げ次々に倒れ出す。血刀を力任せに振り回す赤月時雨が現れたのだ。

 振り返った男の顔に血牙が突き刺ささったかと思うと、血刀がその首を吹き飛ばした。冷静さを欠いているように思える吸血鬼は、涼氷の元に駆け付けると素手で鉄の鎖を引き千切っている。そして、あの碧井涼氷から赤月時雨に抱きついた。

「赤月くん、まさか……あなたは」

 時の異能者らしからぬ行動に驚きをみせることなく、黒髪の吸血鬼は赤い瞳で彼女を遠慮がちに抱き締める。

「涼氷……俺はあの時」

 再開を果たした二人を引き裂くかの如く、二発の銃声が響き渡った。包帯で埋め尽くされていた吸血鬼の背中から血飛沫を吹き上げる弾丸が叫ぶように。


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