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プロローグ
のんびりとした田舎の道、白馬に乗った金髪の青年と灰馬に乗った中年の騎士が先導する後ろを、その馬車はカラカラ音をたてて進んでいた。
御者は旅用のローブを着て、フードで日光を遮っていた。
「御者、次の村までこのペースでどれくらいかかる?」
「次の村までは・・・二刻ほどでしょうか、夕暮れ前にはつきます。」
御者はそう答えると、馬に乗った二人に聞こえないようにため息をついた。
御者の名は『レヴァン』。大国スージアの片田舎で産まれたごく普通の少女・・・のはずだったのだが、
「(行きたくないですねぇ・・・)」
栄えある勇者一行に選抜されたはずなのにレヴァンは出発当初からずっとそんな事を考えていた。その理由は、年齢でも性別でも、ましてや争い事が嫌いだからなんて理由でもない。
「(まさかここで私が初代魔王でした~なんて言ったら勇者様たちはなんといううのでしょう?)」
「ちょ、御者!!ペースが速い!!」
「・・・申し訳ありません。」
のほほんと考えている彼女は、実は一番力があったとされている初代魔王、『イラム』だった。