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迷宮と掲示板  作者: Bさん
6章 水中の迷宮
73/125

56話

 翌日俺たちはボス戦の準備を整えミーティングを開始する。


「今回はボス戦だ。相手は前回の水龍で雑魚が一切居ない事を先程確認した。まず、コクに作ってもらった属性防御の鎧を使う事で水の刃は防げる。あとは巨大なモンスターと戦うのと大差はない。力は強いから攻撃は全て回避した方がいい」

 

 ここで一旦区切る。周りを見渡すと皆緊張をした表情でこちらを見ている。全滅に遭遇した者、全員気絶した状態で帰ってきた光景を見て心配する者とで気持ちは違うと思うが。


「敵の突進だが、これは各自で回避して貰うしかない。俺やネクの盾で防ぐ事が困難な為、後衛組も気を付けてくれ。俺とネクは敵に張り付き攻撃を繰り返す。出来るだけ突進をさせる余裕を作らないように頑張ろう」


 ネクを見て言う。ネクは頷く。その気持ちは言葉がなくても解かる。


「次に後衛の4人だが、魔法は詠唱の短いものを選んで使ってくれ。今回は護ることが出来ないから、自分で回避を頼む」


 後衛のタリス、リム、パステル、クウを見ながら言う。4人は神妙に頷く。


「全員が攻撃という特殊な戦闘だ。怪我や犠牲が出るかもしれない。だが、決して恐れるな。必ず龍を倒すぞ」


 今回の戦いは甘いものにはならないだろう。全力で叩きのめすしかない。


「さぁ、行こうか」


 そう締めると俺たちは転移の石を使ってボス部屋前まで転送し、魔道具と属性鎧を起動するとボス部屋の扉を開ける。


 


 ボスの姿を確認すると俺たちは散開する。一点に集中していては突進の餌食だ。そのまま足だけを使い龍まで泳いで進む。水による抵抗が殆どないためそれだけで進む事が出来る。龍は俺たちなんて気にもしないのだろうか。一切動かない。


(ならば、その慢心を砕く)


 ネクは炎王の鎚を取り出し黒い炎を纏わせる。俺は剣を構えるとそのまま泳ぎ龍の目に向かって突き出す。水の刃を通り過ぎると思わなかったのか、抵抗もなく龍の目に剣が突き刺さる。痛みからか暴れだす。俺はその場から一気に距離を取り離れる。ネクはそのチャンスを逃さず鎚で龍の顔面を殴る。


(これは相当痛そうだな)


 後衛組はそれぞれ魔法を詠唱し龍の胴に当てている。出だしは順調だ。このまま攻勢をかける。

 正気に戻った龍は俺たちを睨むと何度も突進を仕掛けてくる。近くに来た龍に俺は盾で龍を殴りその反動で離れる。水による抵抗や水の刃の影響を受けないから出来る芸当だ。通常の戦闘でやれと言われても困る。


 突進後の動きが止まった瞬間を狙って俺たちは攻撃をする。俺の剣は鱗と鱗の隙間を割って突き刺す。ネクの鎚や魔法はどの位置でも大きなダメージになるようだ。刃物は場所を狙わないと通らないので中々難しい。


 そんな状態が続く、この龍が知能を持っているのだとしたら何かしらの別の行動をして来るかも知れない。警戒しながら確実にダメージを与えていく。


 だが、攻撃は全て順調には行われないらしい。龍の体から流れ出した血が突然尖りこちらへと高速で向かってくる。俺とネクは盾を使いその攻撃を弾く、だが後衛組は避けられなかったようだ。タリスは肩をクウは翼を血の矢が突き刺さる。リムは軽業をもっていたお陰かギリギリ避けられたようだ。パステルは精霊を盾に使い防いだ。良いのかそんな使い方をして、

 

 食らった2人は回復薬を飲み治療する。だがその傷から徐々に腕が腐食していく。タリスは解毒薬を、クウは解毒の魔法を使うが効果がない。


(あれは……)


 以前同じ光景を見たことがある。ドラゴンゾンビの瘴気を食らった時だ。その際は自分だったが、解毒関係では一切効果がなかった。どうやらドラゴンの血は他の生物に対して呪いの様な効果があるらしい。2人に何かの対処をしてやりたかったが、それは俺の役目ではない。


 俺は龍を睨むと血の矢を盾で流しながらそちらへ攻撃を仕掛ける。適材適所。俺は自分が出来る事を全力でやる。


 血の矢を全て回避する事は出来ず、腕は盾で防ぐ事は出来たが、片足に命中する。この腐敗は感覚が麻痺する為痛みはない。だが、例え治ると解かっていたとしても、自分の足が腐っていく光景を見ると涙が出る。


 ネクは経験からか背が小さいからかはわからないが無傷だった。後衛組は皆どこかしら食らっている。これ以上長期戦になると危険だ。

 

(致命傷になるような傷を与えないと後衛が全滅する)


 数日前の仲間が死んだ光景を思い出す。俺は盾をアイテムボックスへ放り込む。

 そこでネクと目が合い、俺が剣を龍の方に向けるとネクが頷く。どうやらそれだけで何かをすることを理解してくれた様だ。


 ネクは鎚を振り回しながら龍へと突撃をする。ギリギリで最低限の回避をしながらの特攻だ。無傷ではいられないだろう。剣を鞘に戻すと俺は龍より上まで全力で上がっていく。早い話が視界の外からの奇襲だ。ネクがそのまま退避せずにずっと龍へ張り付いて攻撃を仕掛ける。徐々に傷が広がっていき満身創痍に見える。


 俺は剣を抜き一気に上から距離を詰めると龍の無事な目に向かって剣を突き刺す。かわされる事なくしっかりと手応えを感じる。剣を抜くと龍が暴れだす。その時点でネクは力尽きたのか動きが止まり、その龍の暴走に巻き込まれ消滅する。

 

 龍から離れ、盾をアイテムボックスから取り出す。後衛組を見ると攻撃しているのはリムとパステルだけだった。どうやら俺の知らない間にタリスとクウは退場していたようだ。


(半壊か。だがその犠牲は無駄にしない)


 既に龍は両目が潰れ大量の血が流れ出ている。龍は血の矢を無差別に飛ばす。どうやら目が見えないから適当に攻撃しているようだ。こちらに来る矢を弾きながら確実にダメージを与えていく。


 リムとパステルも前のように狙って撃たれないので回避は成功している。とは言え今までの傷で相当険しい表情をしている。それでも2人は攻撃を手は止めない。


 龍に攻撃をしていると突然龍の顔がこちらに向かい口を開く


(まずい避けられない……だがこれを利と為す!)


 瞬時に次の行動を考えると、龍の歯に当たらないように口の中へ入る。そして盾を投げ捨て剣を龍の脳目掛けて突き入れる。口の中は鱗のように硬くないようだ。すんなりと刃が入る。そのまま根元まで何度も突き刺す。俺の体は今龍の血でかなり酷い事になっている。二重の意味で。


(我慢比べか、こうなる前に決着は付けたかったが……)


 体がどんどん腐敗していく。痛みも感情もない。ただ無心に龍を刺すそれだけだ。数秒なのか数分なのかは解からない。それを続けていると龍が消滅した。


(終わったか……参ったな全然体が動かない)


*6階層のボスが倒れました。最終階層が開放されます。またこの拠点からこの部屋への直通ゲートが開放されます。同時に売買の種類が拡張されます。ご利用下さい。*


 メッセージが流れる。どうやらこの階層をクリアしたらしい。するとどんどん水が引いていく。そして、俺たちはゆっくり地面まで降ろされる。だが俺は動けない。

 パステルとリムがお互いに肩を貸しながらゆっくり近寄ってくる。


「終わったな」


 俺が声をかけると2人は疲れきった顔で俺の方を見て微笑む。俺の体が今どうなっているのか見たいとは思わない。


(相当酷いことになっているんだろうなー)


 何せ腐敗する龍の血を思いっきり体中に被ったのだ。生きているほうが不思議な気がする。パステルはすぐに羽を使うと拠点へと帰還する。正直歩いて直通ゲートにすらいけるか危うい。

  

 拠点に戻った俺たちの姿をティア、コク、エンが確認すると慌てだす。ティアが俺の体をタオルで包むとそのままベッドまで運ぶ。


(ティア1人に運ばれるほど軽くなってたのか。体を見なくてよかったな)


 リムとパステルはコクが肩を貸しそれぞれ連れてベッドまで連れてくる。俺の体は相変わらず嫌な音を立てて治療に入っている。横を見るとネク、タリス、クウが寝ていた。先に戻って居て安心する。この光景は何度見ても慣れない。

 さすがに疲労が限界だったので目を閉じる。すぐに俺の意識は途絶えた。


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【地獄の】ボス対策part54【6階層】


57 名前:名無しさん

乱入ってなんだよぉぉぉぉぉ

死ぬかと思ったわ

死んだけど


58 名前:名無しさん

それを書き込めるという事は6階層クリアか

おめでとう


59 名前:名無しさん

やっぱり情報規制されてたの?

事前情報で一切なかったのにな


60 名前:名無しさん

ああ、書き込もうとすると伏字になるんだよな

しかも?になるのではなく、それに関わる文章まで消えるという親切機能


61 名前:名無しさん

相変わらずここの管理者は厭らしいな

突発的に乱入とか今までの様子から予想なんて出来んわ


62 名前:名無しさん

やっぱり全員そうなのね

今まで順調に進んだ奴も1回は全滅しとけって事なのか


63 名前:名無しさん

対策が必要なパターンと必要のないパターンがあるらしい

必要のないパターンだと苦戦はしたけど全滅はしなかったという話もある


64 名前:名無しさん

運かーやばいな


65 名前:名無しさん

その人の進んできた道や戦い方で変わるとも言われているな

そして決して不可能ではないという


66 名前:名無しさん

なんという絶妙なバランス

管理者頑張るな

嫌な方向に


67 名前:名無しさん

その努力を使い魔に回してくれれば・・・

もう少し種類が欲しいです


68 名前:名無しさん

こんなもんじゃね?

同じ種族でも大分見た目違うし


69 名前:名無しさん

ほら、ラミアとかそういうモンスター娘って少なくないか?

ハーピーくらいしか思い出せない


70 名前:名無しさん

そういえば居ないな

と言っても仲間にするつもりがないから関係ないけどさ


71 名前:名無しさん

受け入れられ難いのかね


72 名前:名無しさん

まぁ、まともな性癖とは言えないな


73 名前:名無しさん

全ての人の性癖をカバーとかはさすがに無理だろうな

俺みたいなアンデッド好きもいるし


74 名前:名無しさん



75 名前:名無しさん



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