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迷宮と掲示板  作者: Bさん
5章 空と神殿の迷宮
57/125

47話

 俺たちは今5階層のボス部屋の前に居る。


(この扉を開けるのは毎回緊張するな)


 ゆっくりと扉を開けると白い宮殿のような部屋に出た。白さが目に痛い。生体感知をすると中央には大天使の名前がある。


「行くぞ」


 武器を構え敵に近付いていく。ネクとティアは弓を使用し、俺は後衛組の護衛。後衛組は遠慮なく魔法を打ち込む予定だ。

 攻撃範囲に入ると一斉に発射しボスの翼を狙う。それらがどんどん命中し翼をボロボロにしてく。そしてすぐにボスが地面へと落下した。


(ここまでは順調、あとは近接武器で攻撃する!)


 俺とネクとティアは近接武器に変え突撃する。敵のサイズが人と変わらないため炎王の鎚は使わない。

 地面に魔法陣が出来るが、走っている俺たちには関係ない。そのまま素通りする。

 ボスに接敵し、攻撃を仕掛ける。3対1だからかボスは攻撃を全て捌き切れない様だ。ゆっくりだが確実にダメージを与えていく。

 後衛組も魔法陣が足元に出来ると詠唱を中断し回避していく。


(ボスにしては手応えが無い。何か隠しているのか?)


 今までの経験からこれで終わる事はないだろうと予測する。そのまま攻撃をし続けるとボスが倒れて消滅する。

 

「今までの戦闘を見る限りこれで終わるとは限らない。警戒を解くな!」


 そう味方に注意を促す。


*5階層のボスが倒れました。6階層が開放されます。またこの拠点からこの部屋への直通ゲートが開放されます。*


「え?ちょ、えええ?」


 仲間には文字は流れない。突然俺が騒ぎ出したように見えるだろう。


(落ち着け……ボスは倒された。呆気なくてもボスは死んだ。この階層はクリアだ……)


 そう考え気持ちを落ち着かせる。


「ふぅ……ボスは倒れたらしい。呆気なかったがこの階層はクリアだ」


 伝えると皆驚く。俺だって驚いた。倒し甲斐がないにも程がある。


「まぁ……帰るか」


 そういって皆で拠点へと帰還する。この安心が次への罠だと知らずに……。


-------------------------------------------------------


 拠点へ帰還するとコクとクウが出迎えてくれた。


「早かったね。どうだったの?」


 コクが聞いてくる。正直弱すぎて話しようが無い。


「ああ、余裕だったよ」

 

 正直に答える。


「マスター、凄いです」


 クウが羨望の眼差しで見てくる。俺をそんな目で見ないで下さい。

 とりあえず、鉱石がLV6に出来るようになったので強化する。いつの間にか俺たちも8人と大所帯になっている。

 この辺りで色々と食事を用意してみるか。何故か調味料にあった牛乳や小麦粉を設置する。無限箱と調味料でしか分かれていないのだろうか。

 またキッチンルームを充実化させる為に、テーブルと食器棚を設置する。もう仮じゃなくても良いだろう。

 娯楽の分野に何故かドリンクバーとかあった。


(何でこんなもんがあるんだ?てか、中身はどこから……)


 無限箱が無限装置になっただけだと無理やり納得させる。今まで稼いだDPが半分になってしまった。コクには申し訳無いが、留守番をしている2人が一番使うかもしれないし構わないだろう。

 ドリンクバーの使い方を仲間にすると1人1人試しにやってもらう。炭酸まであるとは思わなかった。皆自分の分を用意すると恐る恐る飲む。皆驚いていた様だが好評なようだ。

 俺たちは普通に飲んでいたが、リムが調子に乗って飲み物を混ぜている。お前は小中学生か。


「さて、今日は呆気なく終わってしまったが、無事突破できた。明日は休みにするので各自好きなように過ごしてくれ」


 暇だったので調合をやる。この調合で水の代わりに炭酸水を混ぜたらどうなるんだろうか。気になったので薬草をすりつぶした物に炭酸水を入れてみた。恐ろしい事に回復薬として完成されたようだ。水じゃなくても液体であればいいらしい。どこまでアバウトなんだろうか。

 試しに炭酸回復薬を飲んでみる。思わず噴出した。テレビを見ていたタリスが驚いた顔でこっちを見る。ただでさえ青臭い回復薬である。炭酸がその臭さを強調してとてつもない味になっていた。


「驚かしてしまってすまない。新しい回復薬を作って飲んだら失敗したんだ」


 炭酸回復薬は封印しよう。もう作るつもりも無い。自動販売で売って犠牲者でも増やす事にする。


「そう……余り変なものは作らないようにね?」


 タリスに釘を刺される。



 夜になり寝室に向かう。ティアとリムがベッドの上で話していたようだ。たまには普通というのも良いだろう。ボス戦で発散できなかった欲望をここで晴らすしかないようだ。


-----------------------------------------------------------


 翌日目が覚める。午前中はいつもの様に次の階層の様子見で、午後はのんびりと過ごそう。

 朝食を終えて様子見のメンバーを募集する。今回はティア、パステル、リムの3人が集まった。


「では行ってくる」


 留守番の仲間に告げて3人引き連れ直通ゲートを通る。ボス部屋にある階段を降り切るとすぐに部屋の中に魔法陣が1つあるだけだった。


(これで転移するのか?初めてのタイプだな)


「誰かこの魔法陣の詳細は解かるか?」


 迂闊に飛び込むのは危険だ。この魔法陣しかないので進むには入るしかなさそうだが。


「これは転移魔法陣ですね。どこに飛ばされるかは解かりませんが……」


 パステルが答える。リムも我も見たことあるぞ、と自己主張をしている。話に乗れないティアだけしょぼーんとしている。

 予想通り転移用らしい。いきなり入って死ぬ事はないだろうと予想し入ることにする。


「では、入ってみようか。どの道転移以外で進めそうにないしな」


 俺が魔法陣の方に歩き出すと、魔法陣を横から調べていたパステルとリムが立ち上がり、俺の後ろに並ぶ。ティアも俺の横までかけて来る。

 魔法陣に全員入ると陣が光りだす。そして転移した先は……


 水の中だった。


 青く澄んだ水で結構遠くまで見渡せる。俺は水泳を結構していたので鼻に少し水が入った程度でパニックには陥らなかったようだ。仲間の方を見るとティアとリムが手足をバタバタさせて溺れている。パステルは平静を装っているが良く解からない。

 呼吸が出来ないのではこの場に居ても溺れ死ぬだけだとすぐに判断し転移の羽を使って拠点へと帰還する。



「ハァハァ……」

 

 拠点に戻ると肺に酸素が入ってくる。少し深呼吸を行って落ち着かせる。仲間たちの方を見るとティアとリムは勢い良く水を吐いている。パステルは特に問題ないようだ。呼吸が止まった者は居ないようで安心する。


「あれが噂の水中のデストラップか……」


 掲示板で見て知ってはいたが、まさか自分が遭遇するとは思わなかった。事前知識があったからすぐに頭を切り替えて転移の羽を使えたが、知らないで突っ込むとティアやリムの様になっていそうだ。パステルは良く解からん。

 

(パニックに陥ってたら溺死か……迷宮怖いな)


「そのようです。驚きましたが、無事戻ってこれて良かったです」

 

 パステルが答える。すぐに転移の羽を使おうとしなかったので、思ったより混乱していたのかもしれない。ティアとリムは青い顔でぐったりしている。全員風呂場の脱衣所で体を拭き、ティアとリムをベッドへ運び寝かせる。

 コタツへと戻り、他の仲間を呼んで相談をする。


「次の階層は水中のようだ。以前攻略した人たちの情報では水中でも呼吸が出来る魔道具を作れるらしい。それの開発をコクとクウに頼みたい」


 以前は自動販売で売っていたらしいが、今は無いという話だ。こればかりはどうしようもないので、魔道具作成を出来る2人に作ってもらうしかない。


「うん、解かったけど、1からの研究になるから結構時間かかると思うよ?」


 コクが自信なさげに答える。生産のエキスパートだと思っていたコクでも酷か……駄洒落じゃないぞ。


「それは仕方ないだろう。鍛冶やクウのレベル上げを含めてゆっくり進めて行きたいと思う。コクとクウも焦って無理はしないようにな」

 

 技術的な問題である以上、俺には口出しできない。料理スキルですら殆ど上げていないほどである。


「了解、任されたよ」


 コクは了承する。魔道具は嫌だと言われなくて良かった。


「わ、私に出来る事があるか解かりませんが、がんばります」


 こっちはクウからだ。自信はないようだが、本人の努力次第だろう。


「2人共頑張ってくれ、俺たちは5階層の3階でレベル上げをしていく。たまにクウにも参加して貰うぞ?」


 俺たちの予定も伝える。弓や魔法ばかり上がりそうだが、今一番効率の良い狩場はそこなのだから仕方ない。4階層ではティアは戦えないしな。

 話し合いを解散する。コクとクウは魔道具に関して話し合う為に鍛冶場へ、パステルは読書、ネクとタリスはテレビを見るらしい。俺はベッドで寝ているティアとリムの様子を見に行く。


 どうやら2人は大分落ち着いてきたようだ。青い顔も戻っており、2人で話していたようだ。

 

「ティア、リム。大丈夫か?」


 2人に声をかける。そうするとこちらを見てくる。


「うん、もう落ち着いた」


「我も大丈夫じゃ」


 2人が答える。ベッドの効果なのかは解からないが、もう大丈夫らしい。俺はベッドの乗り2人の近くまで行き座る。


「あの水中の対策はまだ目処は立っていないが、呼吸出来る様にはなるらしい。2人はどうする?水中の迷宮に挑めそうか?」


 2人に問い掛ける。無理に連れて行って士気が下がったら意味が無い。そんなに迷宮は簡単なものではないのだ。


「ご主人様……ごめんなさい。水中は駄目です……」


 ティアが申し訳無さそうに答える。


(そういえば、獣人の種族適正に水中では行動が制限されるとかあったっけか)


 うろ覚えのティアのステータスを思い出す。そういう意味なら連れて行くのは難しいだろう。


「それなら仕方ないな。無理をして挑んでも良い結果にはならない。サポートを宜しく頼む」


 頭を撫でながら答える。


「我は、挑戦してみる。呼吸が出来るなら水中も面白いやも知れぬしな」


 この上リムまで抜けたらどうしようかと思ったが、どうやら挑むらしい。


「ああ、今まで見たこともないような光景があるかもしれないな」


 今度はリムの頭を撫でながら言う。水中散歩なんてそうそう出来るものではない。良い経験になるだろう。

 2人の意思を聞き、そのまま2人とイチャイチャして過ごす。2人も嫌がらずに付き合ってくれるようだ。そうしている内にパステルとクウも訪れ手を抜けなくなった。

対処法を知っていれば楽になるボスなんて一杯居ます。

ここでのキーは遠距離攻撃で叩き落す事ですね。


ティアの行動に制限がかかりまくって役に立っていませんが、以前は没迷宮が2個ありました。

両方、アンデッド祭りと同じパターンになってしまった為、没となりました。

そっちでは活躍していたんですが……。

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