30話
朝になり目が覚める。ティアが俺に抱きついて寝ている。
パステルは自分のベッドでコクはティアのベッドでちゃんと寝ている。
タリスとネクはいつものように俺のベッドに入ってきている。
(どうせネクはもう起きているんだろうけどさ)
ティアに抱きつき返してまどろんでいるとタリスが起きた。
「おはよう」
「おはー」
挨拶を交わす。そのまま寝室から飛んで出て行く。
ティアも目を覚ましたようだ、俺の腕の中でもぞもぞしている。
ティアを離してベッドから降り、朝食の準備をする為にキッチンルーム(仮)へ向かう。
朝食を済ませ、探索の準備をしている間、ふと気になり昨日出品した装備の状況を確認する。
(お、全部売れたのか。10万の方は売れないと思っていたんだがな)
DPは一気に16万ちょっとになった。探索が終わったら使おう。
もしかしたらこの武具の販売はちょっとした収入になるのかもしれない。
そうこうしている内に準備が終わったようだ。
「今日は初戦闘のコクも居るし、3階層の1階で稼ごうと思う」
そう皆に告げる。あそこであれば稼ぎもアイテムの消費も抑えられる。皆で2階経由で1階へ向かう。
そしてレベルとスキル上げの為の探索を行った
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無事探索を終え拠点へと戻る。コクの動きは俺と比べても遜色ない感じであった。
(俺が駄目なのか、コクが凄いのかは別としてな)
心の中で言い訳をしておく。
俺はパソコンの前で戦利品の処分をする。皆は解散し、好き勝手やっている。
(あ、テレビを買うか)
電波とかどうなっているのかは不明である。ただの自己満足で終わる可能性もあったが、買わずには居られない。
(元の世界でテレビをそこまで見ていた訳ではないけどな)
ないから欲しくなる、そんな心情である。少しでも元の世界の情報や物を残しておきたいのかもしれない。
テレビと同じ幅のテレビ台と17インチの小型テレビを買う。これだけで10万ちょっとである。
鉱石のLVを1つ上げる。肉の上品質のものを1時間で取る。LV4→5は3200と3200+700だった。残りのDPは6万になった。
次の鉱石はウーツ鋼だ。ダマスカス刀剣で有名なアレである。
(うーん、そろそろ風呂でも拡張するか。折角だからパーっと使おう)
5万消費し、上位の風呂セット(部屋付き)を購入する。残り1万だ。
「テレビと風呂を新しくしたぞ」
テレビは言うまでもなく窯の隣に設置したので皆興味津々のようだ。
テレビの前に行き、付けてみる。サスペンス物が流れた。
みんながおお、というのが面白い。ファンタジーの世界の人が文明に触れるとこんなもんなんだろうか。
リモコンの使い方を教えると色んなチャンネルをかけて見ているようだ。
電波が普通に届くとか謎である。
(チャンネルは日本の東京と一緒だな。もしかしたら出身地に依存されているのだろうか)
テレビに集中している使い魔たちを放置して風呂場へ向かう。そして、扉を開けて呆然とする。
(どこのホテルの風呂だよ……)
これで上級だと言うのであれば最上級は王侯貴族の風呂なんだろうか。現状、掃除するだけでも困難である。
「仕方ない。今日は頑張って掃除するか!」
気合を入れて備え付けの器具で掃除する。明日からはみんなでやろう。
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掃除をようやく終え、湯船にお湯を張って大部屋へ戻る。
ネクとタリスはテレビを視聴、ティアとパステルは雑談をしていた。コクは鍛冶場だろうか。
ネクとタリスが見続けているのなら丁度良い。ティアとパステルを風呂へと誘って一緒に入った。
風呂から出てきても未だテレビを見続ける2人。凄い集中力である。
コタツに入ったスケルトンとフェアリーがテレビを見ている光景は異様ではあるが。
(普通に考えたらテレビで見られる立場だよな)
その光景に苦笑しながらコタツへ入る。料理は全てティア任せだ。機嫌よく任せろと言ってきたので遠慮なく任せる。
コタツでゴロゴロしながらぼーっとテレビを見る。2人が見ているのは幼児向けアニメのようだ。内容は良く解からないのでスルーしておく。
夕飯を食べ終え、鍛冶場へコクの作った完成品を見せてもらいに行く。探索もやっていたのでそんなに作れなかったようだが、いくつかの武器は作れたようだ。
魔法銀の鎚、杖、弓が1つずつあったので確認する。ウーツ鋼の装備はまだ試作段階とかで満足行く出来にはならなかったらしい。職人としてのプライドがあるからとかで見せて貰えなかった。
魔法銀の武器を鑑定し、使い物になりそうなので鎚をネクに杖をタリス、弓をパステルに渡す。矢は既製品を使って貰うように伝えてあるので、後は斧と杖が1本だけである。
それぞれの装備に対し、タリスに聖属性を付けて貰う。アンデッドが聖属性の装備を使っても大丈夫か不安ではあったが問題ないようだ。
パソコンへと向かい自動売買のリストを閲覧する。
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カラドボルグ
効果
鋼製の両手剣 製作者:タナカ
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グングニル
効果
魔法銀製の短槍 製作者:イトウ
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(なんともまぁ・・・)
完全に名前負けである。名前と形状は自由に作れるとは言え、説明の部分は自分で変更する事は出来ない。詐欺防止とかその辺りだろう。
名前に困って付けたのか、そういう目的でつけたのは不明ではあるが。
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魔眼のスクロール
効果
魔眼スキルを覚えるスキルスクロール。
格下の相手の動きを封じる事が出来る。
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「おっ」
思わず声が出る。レアスキルというやつだろうか。価格は20万DPで高すぎて手が全く届かない。
そう考えながら見ていると、アイテムの詳細画面が勝手に閉じる。どうやら誰かが買ったらしい。DPもある所にはあるもんだ。
もう良い時間になってきたのでパソコンを閉じる。
(武器も大体揃ったし明日からは3階層攻略を進めよう)
寝室まで歩きながらネクとタリスが未だにテレビを見ている姿を横目に見る。
「程々にして寝ろよ。明日は探索あるからな」
そう伝えるとタリスが生返事で返す。子供ではないだろうし、大丈夫だと思い込む。ネクは相変わらず読めない。
そのまま寝室へ入り、先に寝ているティアを抱き枕の代わりにして眠る。毎日ハッスルするほど若くはない。
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翌日、目を覚まし大部屋へと入る。コタツでネクとタリスが寝ていた。どうやらベッドまで戻らなかったらしい。
やれやれ、と呆れながら朝食の準備をする。初日だから仕方ないか、と諦める。探索があるのに、甘いかもしれないがそこまで積極的に攻略している訳でもない。そこまでピリピリする必要もないだろう。
何だかんだで今の生活は気に入っている。全踏破の先に何があるのかは解からない。元の世界に戻るのかもしれないし、更に先の迷宮が現れるのかもしれない。願わくばこいつらとずっと一緒に居たいとは思う。
朝食の準備が終わると皆を叩き起こして、迷宮に入る準備をする。
タリスはテレビ見るーと言っている。1日で依存症にでもなってしまったんだろうか。変な知識を拾ってこない事を祈る。
それをたしなめ、準備をさせる。ほどなくして準備が終わり、ミーティングだ。
「今日は3階、4階の攻略に入る。ゴーレムが出るらしいから、これは魔法で対応しよう。タリス、パステル頼むぞ」
タリスとパステルは良い返事を返す。
(さぁ、準備は終わり、攻略を再開だ)
そう考え俺たちは意気揚々と2階へ転移の石を使って移動する。
俺たちの戦いはこれからだ。完
ではありません。まだまだ続きます。




