23話
その後しばらくして目覚めたティアとパステルに今日は探索は休みと伝える。2人で無限箱から食材を取りキッチンルーム(仮)へ向かった。
ティアとパステルが作った朝食を皆で食べると、別々の作業をやる為に解散した。
ネクはコタツで裁縫。タリスとティアはパステルに色々と教えるらしい。変な事にならないことを祈る。
俺はパソコンに向かい昨日の戦利品の処理の為鑑定をする。
半分くらい鑑定を終えた頃に突然目の前にメッセージが現れた。
*プレイヤーが3階層を突破しました。これにより、全てのプレイヤーに自動販売機能を開放します*
(もう3階層クリアした人いるのか。俺なんてまだ2階層ボスだぜ?)
先行しているプレイヤーは凄いな、と感心しながらパソコンの最初の画面を開く。
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・マニュアル
・掲示板
・売買
・ステータス
・自動販売
・???
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自動販売の項目が増えている。これの事らしい。試しに開いてみると検索機能とアイテムのリストがあった。
どうやら、もう試しに品物を出した人がいるようだ。自動販売のアイテムリストを見ると鉄のロングソードや鋼のスピアのように装備品の名前が表示されている。
その中から魔法銀のロングソードという項目があったのでクリックしてみる。すると
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
魔法銀のロングソード
説明
魔法銀を使って作られた片手剣。
魔法攻撃力も同時に上がる。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
と書いてあった。オークションの様にDPを入札していく形式ではないらしい。2000DPと結構な値段ではあったが、戦利品を半分処理した状態だったので5万+3000はある。
試しに購入ボタンを押してみると、鑑定台に剣が現れたので、それを装備してみた。
名前:スズキ
性別:男
種族:人間LV27
職業:プレイヤー
種族適正
なし
職スキル
経験値全体化、テイム、マッピング
スキル
剣術LV22、盾術LV19、軽業LV24、料理LV10、罠解除LV20、調合LV18、精力増大LV11、古代魔法LV1(下位)、生体感知LV14
装備
武器:魔法銀のロングソード
盾 :鋼のカイトシールド
頭 :鋼の兜
胴 :鋼の鎧
足 :鋼のグリーヴ
装飾:なし
装備を見て思い出す。
(そういえば古代魔法取っていたんだっけか)
対エルフの事ばかり考えていて、すっかり忘れていた。とは言え今更LV1の魔法を有効活用するのは難しい。
魔法はファンタジーの世界に行ったらまずやってみたい事の候補No.1ではあったが、それだけ必死だったのだろうか。
(そういえば、幽霊系のモンスターは物理攻撃が効かないとかあるって書いてあったな)
掲示板情報なので信憑性は微妙だが、効かなくても不思議ではない。出逢ってから何も出来ませんでしたでは済まされない。
(魔法が使えるのは今タリスくらいだからな。依存して1人に負担を掛ける訳にはいかない)
そう考えていると1つ思い出す。
(そういえば、パステルが魔法を使っていたな。ステータスを確認していなかった)
名前:パステル
性別:女
種族:エルフLV1
職業:メイジ
種族適正
集団特性(弱):集団で行動すると少し強くなる。
隠密:敵から見つかりにくくなる
森林特性(強):森で戦うとステータスが大幅に増加
職スキル
魔力の泉、魔法適正
スキル
杖術LV1、弓術LV1、精霊魔法LV22、鷹の目LV1
固有スキル
移動詠唱(動きながら魔法の詠唱が出来る)
魔力充填(大気より魔力を吸収し徐々に回復する)
装備
武器:なし
盾 :なし
頭 :なし
胴 :布の服
足 :なし
装飾:なし
(固有スキル?何だそれ)
見慣れない項目がある。
(レアな個体だとは思っていたがそんなものを持っていたのか。そういう情報はなかったな)
敵として戦った時に、詠唱中は動けないと思って攻撃をしたら回避されたのを思い出す。
(それも含めて色々と聞いてみるか)
タリスとティアとパステルは未だにコタツに入りながら何やら喋っている。女3人集まれば何とやらというやつだろうか。
ネクは黙々と裁縫をしている。1人増えたので普段着の製作が忙しそうだ。
「タリスとパステルに聞きたい事があるんだがいいか?」
3人で話している所に入り込む。ちょっと怖い。
「なにー?」
「何でしょうか?」
タリスとパステルが聞いてくる。大丈夫そうだ。
「魔法に関する注意を聞きたいんだが」
疑問をぶつける。魔法の種類や効果などは調べているが、使用者しか解からない注意点があるかもしれない。
「注意点ですか。そうですね……。一番気をつけないとならないのは、魔力切れでしょうか」
「あー魔力切れね。魔力残量は絶対に気をつけないとならないわね」
2人共意見が合う。魔力切れとは何だろうか。普通に考えれば魔法の使いすぎとかその辺りだと思われるが。
「言葉の通り、魔法を使用過ぎて魔力が尽きる事です。魔力が尽きると死にます」
「それは怖いな。精霊魔法は維持とか怖いんじゃないか?」
精霊を具現化して維持していたように見える。燃費が良いんだろうか。
「そうですね。大抵の精霊魔法は具現化させずに少し力を借りるのが一般的です。私の場合は、固有スキルをもっていたので維持はしやすかったのですが……」
やはり、固有スキルが影響するのか。ステータスを確認していたので持っているのは知っていたが念の為聞いてみる。
「固有スキル?それは何だ?」
「私たちがモンスターで居た頃に特殊な行動をする事で持つスキルみたいです。私の場合はあの……」
突然歯切れが悪くなる。特殊なスキルを得たのだから誇る所だと思うのだが……。
「私は……一人でしたから。強くならないといけなかったんです……」
まさかのぼっち宣言が来た。
(そういえば、剣術を持っていなかったのに剣を使ったりしていたな。1人だから自分で前衛をしないとならなかったんだろうか)
「そうか……。でも、今は俺たちが居るから1人じゃないな」
そう言いながら頭を撫でる。パステルが泣きそうな表情をしているが、それは見ない振りをする。
「ありがとう。聞きたい事はそれくらいだ」
そう言い。立ち上がりパソコンまで移動する。何やら後ろで3人で喋っているが無粋だから聞かない。
(しかし、魔力切れは即死か……危険だな)
物理攻撃の効かない敵と会った時、魔法を使える者が少ないと消耗戦になるかもしれない。
これは後から知ったのだが、ボス戦ではアイテムの使用を無制限に使えるが、通常の戦闘では使用個数が限られているようだ。
大体、1度の戦闘では1本~3本程度しか使えず、使える量は敵の規模によって変わるようだ。管理側からの制限なのか薬中毒か何かになるのかそれは解からない。
とにかく使えない、それだけ解かれば済む事だ。
(今の構成は、前衛:俺、ネク、ティア。後衛:タリス、パステルか)
構成としては後1人後衛を入れればバランスよくなるだろう。だが、これ以上エルフを入れるのは怖い。パステルみたいな変態だったらどうしようかと引いてしまう。
フェアリーは以前述べたように装備や体力の問題で却下する。
(3階層に行ってから考えてみるか)
パソコンで装備品の処理を再開する。残りは52000DPになったようだ。先程2000使って剣を買ったので合計54000か。
パステルが加入したからベッドを1つとそれを置くブランクルームが欲しいな。12畳の部屋と豪華なベッドを購入し2000消費する。
使うときはパーっと使うもんだ。
12畳の部屋は一番奥、つまり俺がこの部屋に入ってきた時の扉の位置に設置する。その部屋に豪華なベッド、標準ベッドを2つ設置する。
これで6畳の1部屋が開く。今の所家具を買う余裕がないので余っていた簡易ベッドを放り込んでおく。
コタツへ向かい、部屋を拡張した事を告げる。すると、4人全員今までやっていた事を止めて部屋を見に行く。皆ベッドに驚いているようだ。
ベッドに飛び込んだりして遊んでいる。
(無邪気で可愛いもんだな)
今日の作業はこれで終わりだ。後は掲示板を確認したり、仲間とのコミュニケーション時間だろう。
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過去ログより
【2階層】ボス対策【色々】
224 名前:名無しさん
森と草原のボスって何?
225 名前:名無しさん
大蜘蛛だったかな
部屋全体に蜘蛛の巣が張ってあって
蜘蛛の巣での移動がやたら早い
226 名前:名無しさん
毒にも注意だな
通常の攻撃にも毒があるから
攻撃を食らったらとにかく解毒薬使えという
227 名前:名無しさん
それでお前ら倒したのか?
228 名前:名無しさん
倒したぞ
蜘蛛の巣に気をつければそこまで強い相手でもない
蜘蛛の巣に引っかかったら食われるけどな
229 名前:名無しさん
それは怖いな
蜘蛛の巣って魔法で焼けないのか?
230 名前:名無しさん
焼けるぞ
むしろ焼かないとどんどん糸が増えて動けなくなる
そしてパクリ
231 名前:名無しさん
てことは古代魔法は必須か
232 名前:名無しさん
精霊でもいいけどな
一応あそこは森じゃないから火の精霊も普通に居るし
233 名前:名無しさん
松明を持っていくのも手だぞ
途中で消えるがなwwwwwwww
234 名前:名無しさん
罠じゃねーか
とにかく毒と糸に気をつければ良いんだな?
行ってくるわ
235 名前:名無しさん
そしてその後、>>234の姿を見たものはいなかった
てか、一番の注意の子蜘蛛の話を忘れるなよ
236 名前:名無しさん
ああ、言い忘れてた
一定時間ごとに大量に子蜘蛛が出てくるんだった
234がその時蜘蛛を倒せたのかどうかは誰にも解からない……




