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迷宮と掲示板  作者: Bさん
2章 森と草原の迷宮
23/125

19話

 転移の石を使って2階層の3階に移動する。昨日と同じ順番で周囲を警戒しながら進む。

 途中蜘蛛や1mほどの蛇は出て来たもの難なく撃退。

 蜘蛛に変な液体を掛けられたり、蛇に噛まれたら即解毒剤で対処する。

 蛇に関しては予想で使っている。毒を持つ蛇も居るというのは前の世界では常識だったし、万が一という事もある。


 そうしている内に、3階の探索も終盤に入った。

 ティアも大分戦闘になれてきたようだ。二刀流で戦う姿が眩しい。

 戦闘の区切りが付き、宝箱を開けた後休憩をする。


「ティア、戦闘は大丈夫か?」


 休みながら声をかける。


「うん……大分慣れてきた」


 そう返事が来る。積極性も増したし、これなら戦力として考えられるかも知れない。

 頭を撫でると嬉しそうに微笑む。周りを見るとネクが撫でて欲しそうにこちらを見ている。だがスルーする。

 

「さて、休憩終了だ。階段を探そうか」


 3人は頷く。途中蜘蛛を数体倒しながら階段のある山小屋を見つけた。

 山小屋に入り、階段を降りる。楔を設置し移動の為の準備を行う。

 

「新しい敵が出るかもしれない。警戒は怠るな」


 そう告げ山小屋を出る。しばらく、蜘蛛や蛇を倒しながら真っ直ぐ進んでいく。

 するとヒュッと風を切る音が聞こえた。何事かと周囲を見るとネクの足に矢が刺さっていた。


(奇襲か!!)


 ネクに回復薬を飲む指示を出す。矢を抜き回復薬を飲むのを確認する。

 周囲を警戒するが見える所に何もいない。矢が飛んできた方向を見ても木しか見えない。


(まずいな。どこに居るか解からない)


 撤退も視野に入れる。じっとしていては矢の的にしかならない。


「撤退しよう」


 そう言いつつ転移の羽を使う。しかし、効果がない。


(え?どういうことだ?)


 混乱する。羽が発動しない何て今まで一度もなかった。慌てながらもう1つ取り出し使用するが効果がない。

 そうしている間にまた矢が飛んでくる。今度はティアの肩に刺さったようだ。

 矢を抜き、回復薬を飲ませる。ティアは苦しそうな表情をしている。回復しても痛覚は消えない。


「羽が発動しない。山小屋まで戻るぞ」


 撤退の指示を出す。


「ご主人様。囲まれてる」


 気配に気が付いたのだろうか。ティアが俺に伝える。


「あたしとネクが囮になるわ。ティア、マスターをよろしくね」


 決断のつかない俺に代わりタリスが言う。俺はタリスにすまん、と一言伝える。

 タリスが微笑む。決意に満ちた顔だ。


「よし、山小屋へ一点突破する。ネク、タリス頼むぞ」


 今度は自分から言う。仲間を盾に逃げる判断を渋って全滅する最低なリーダーになる訳には行かない。

 仲間を死なせる決断をタリスに押し付けたくはない。

 

「行くぞ!!」


 声に出して全員で走る。矢がどんどん飛んでくるが当たらない。山小屋の方へ走って向かうと途中耳の長い人型が居た。

 

(あれは……エルフか?)


 確認している時間はない。後方から矢と気配がどんどん近付いて来ている。

 走っていると途中でネクとタリスが反転して止まる。

 俺とティアは止まらない。もう全員覚悟は出来ている。2人を後方に置いて、俺たちは走り続ける。

 どれくらいの時間を走っただろうか。体感時間は凄く長く感じる。ようやく山小屋まで辿り着き、扉を開けて入る。

 人型のタイプのモンスターもこの小屋には入れないのは既に確認済みだ。俺とティアは小屋の中でへたり込む。


「ハァ……ハァ……」


 どちらの息だろうか。あるいは2人両方なのかもしれない。ゆっくりと息を整える。

 

「ふぅ……」


 ティアの方を見る。肩が震えているのは疲れからか、仲間を見捨てて逃げたからかは解からない。

 ティアの肩に手を置く。ビクッと体を振るわせる。


「拠点に戻ろう」


 ティアは力なく頷く。転移の羽を使った。どうやらこの小屋は使用出来るらしい。



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以下に少し残酷なシーンがあります。ご注意ください。


※タリス視点


 マスターとティアが走っていく。マスターを護る為なら自分たちが犠牲になるのも厭わない。前から決めていた事だ。

 あたしとネクは立ち止まり、敵を迎え撃つ。


(敵は弓矢を持っている。上空での中位魔法詠唱は出来ない)


 詠唱の短い下位の属性矢を動きながら周囲に撃ち続ける、これしかない。弓矢を持たないエルフの戦士を発見する。

 ネクが走ってエルフの戦士を殴り倒す。あたしはここより先に進もうとするエルフを魔法で牽制し続ける。

 

(絶対に進ませない!!)


 高速で飛行しながら魔法を撃ち続ける。

 しばらく続けていると、青い色の人型の魔物が出てきた。


(あれは……精霊魔法?)


 自分が使っている古代魔法とは違う。だが、あの人型の魔物からは大きな魔力を感じる。

 

「あれが次の相手って事ね……」


 汗が流れる。全員でかからないと勝てないような敵。


(今のあたしだけでは勝てない。だけど、今は勝つ事が目的じゃない!!)


 火の魔法を何本も撃ち続けるが相手に当たると蒸発する。全く効いていない。

 

(アレは相手にせず、エルフを魔法で牽制した方が良さそうね)


 水の魔物からの攻撃を回避しながらエルフに魔法を撃つ。

 


----------------------------------------------------------


 あれから何分経っただろう。体感では何時間も戦っている様に思える。

 だが実際は、ずっとギリギリの戦いだ。それほど時間は経過していないだろう。

 ネクの方を見ると、何本も体に矢が突き刺さっていた。まるで落ち武者の霊だ。

 それでもまだネクは諦めない。凄い気迫でエルフの戦士たちを倒してく。

 残りは何体いるのだろうか。10や20ではない。それ以上居るように思える。


 そのまま戦い続けていると、ネクが遂に片膝をつく。

 それをチャンスとばかりにエルフ達が一斉に攻撃を仕掛ける。

 そのまま頭蓋骨を割られ消滅する。


(ネク……頑張ったわね……でも、アレがこっちに来るのよね。ここまでかな)


 今までの状態ですらギリギリである。これ以上増えたら避ける余裕はない。


(だけど、マスターがどれくらい逃げられたか解からない。出来るだけ時間を稼ぐ!!)


 ポーションを飲んでいる余裕も魔法を使う余裕もない。ただひたすら回避する。

 突破されそうになったら、無理をして魔法で牽制する。

 多くは紙一重でかわしきれているが、何度かは斬られてしまっている。


 羽も体ももうボロボロだ。目の前に剣が来るが、かわせない。

 体を大きく斬られ地面に落ちる。痛みに涙が出る。

 エルフが近付いてくる。羽を捕まれ、持ち上げられる。

 震えながら手を前に差し出し、至近距離で火の魔法を使う。

 その効果は髪を焼く程度だったが満足だ。


(ざまぁみろ……)


 そう思い目を閉じる。そしてあたしの首が斬られ頭が飛ばされた。


割とあっさりしています。余り細かく感情を書いてしまうと鬱な展開になってしまうので。

ご都合主義も助けもありません。それがこの迷宮です。


あと、羽と打とうとして何度も金と打ってしまいます。どうにかなりませんかね。

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