表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
迷宮と掲示板  作者: Bさん
2章 森と草原の迷宮
20/125

16話

 目が覚める。動けない。またこの2人はベッドに入り込んできたらしい。

 時計に目を向ける。


「8時か……結構寝たな」


 俺が呟くとネクが動き出した。


(骨って寝る必要あるのか?怪我を治すには寝ないと駄目らしいが)


 こまけーことはいいんだよ、と誰かが言いそうだ。それに人間らしい方が共に生活をしやすい。

 ネクがこっちを見る。


「おはよう。起こしてしまったか?」


 気にするな、と感情を向けてくる。


(ネクの意思表示にも慣れたな。喋れるようになればいいんだが、無理か)


 ネクは起き出し、無限箱の方に向かう。肉が楽しみだったんだろうか。

 タリスを起こさないようにベッドを抜け出しネクの後を追う。


「お、入ってるな」


 ネクが頷く。早く食べたそうにしている。


「タリスが起きるまで待とうぜ」


 野菜でも煮込んで食べるか、と思いつき箱からキャベツと玉葱を取る。

 そしてコンロのある部屋に入った。そこで気が付く。


(鍋がねぇぇぇぇぇぇ)


 コンロと流し台は設置したが、調理器具なんて取っていない。

 DPも昨日全部使ってしまった。買い足せない。


 諦めて鋼のナイフで野菜を切っていく。野菜を洗い、器に盛り付ける。


「今日も生野菜か……」

 

 食べられるだけでもマシかもしれないと思い諦めた。

 ちょっと違う料理が出来ると思っていただけに残念である。


「ネク、コンロは使えない。窯に肉を入れてくれ」


 ネクは頷き、塩胡椒を振って肉を両方窯に入れる。

 しばらくすると肉の焼ける臭いがしてくる。すると臭いを嗅ぎ付けたタリスが起きてくる。


(焼いているってより蒸しているんだけどな)


 3人揃い朝食を食べる。良い方の肉を一口食べる。


(スーパーの特売肉くらいか。思ったよりマシだな)


 今までの肉が噛み切れないような屑肉みたいなものだったから遥かにマシだ。

 

「お、美味しい……!!」


 肉を食べたタリスが声をあげる。ネクも満足しているようだ。


(ごめんなさい、今まで屑肉で)


 この世界の住人からしてみれば十分美味しい部類らしい。現代の日本がいかに贅沢だったか良く解かる。

 さっさと食事を平らげる。そして今日の方針を発表する。


「今日は猫耳を捕獲する。何が何でもだ!!」


 俺1人だけが気合を入れて告げる。ネクはいつも通り頷く。戦力を増やす程度にしか思っていないのだろう。

 

「1つ聞いて良い?」


 タリスがこちらに質問してくる。


「いいぞ、何だ?」


「どうしてあのモンスターに執着するの?」


 それは決まっている。


「それは……猫耳少女だからだ!!」


 溜めも入れて断言する。全く答えになっていない。


「……そう」


 タリスはもう気にしない事にしたようだ。だって俺も男だし、エロい事とかしたいんだもの。

 

「探索は前回の続きからになる。猫耳の女が居たら捕獲を狙う。それ以外は全て倒す。これで行こう」


 台詞だけだとどう解釈しても盗賊である。

 ネクは頷き、タリスははーいと返事する。



-----------------------------------------------------------


 2階の探索を開始する。前回猫耳少女が居た所に行っても誰も居ない。

 猫耳を探し徘徊する。途中オオカミは何体も斬った。鋼スゲー。

 もはや虐殺である。レベルも大分上がってきたのでオオカミ程度では苦戦しない。

 攻略のコツは援軍が到着するまでに相手を全滅させる事である。そうすればただの連戦だ。

 スタミナポーションは今でも作り続けているので、大量に現れない限りどうにでもなる。


 そんな事をしていると、前方に人型の魔物が数体現れる。


(キター)


 確認すると猫耳(男)が5体だった。男に猫耳とか勘弁。


「ヒャッハー。男は予定通り虐殺だー」


 完全に悪人の台詞である。もうあの頃の純真な俺ではない。

 個別認識前の個体に対する罪悪感はもうない。

 

(気にしてたら進む事なんて出来ないしな)


 自分に言い訳をし、斬りかかる。昨日見た猫耳ほど素早くない。

 思ったより呆気なく全滅させる。


(昨日のアレは何だったんだろうか)


 考えながら探索を開始する。結局の所、今は答えがある訳ではない。

 しばらくオオカミを切りながら進むと今度は男2体、女3体の集団を発見する。

 まだこちらに気が付いていないようだ。


「タリス、試したい事がある。この距離からあの5体に範囲魔法は使えるか?」

 

 タリスに問い掛ける。


「いけるけど……威力がかなり下がるわよ?」

 

「それでもいい、頼む」


 そもそも倒す事が目的ではない。

 詠唱が完了し、タリスが魔法を撃つ。

 5体中4体が炎に包まれる。熱さで地面を転がっている。1人は咄嗟に範囲から逃げたようだ。


(昨日のあいつか?個体としての認識は拘束後だったはずだが……

 身体能力は拘束前にも発揮するのか?)


「ネク、お前はあいつの後ろにこっそり回りこんでくれ。タリスは魔法で援護を頼む」


 そのまま熱さで転がっていた4体に走りこむ。まだ起き上がっていないようだ。

 倒れている相手を攻撃するのは気分が良く無いが、そうも言ってられない。

 さっさと倒さないと囲まれるのはこっちだ。すぐに4体を粒子に変えて消滅させると、残りの1対の方を向く。

 腰が引けているようだが、こちらに剣を向けている。そのまま俺は斬りかかる。だが、剣は空を斬りかわされる。


(はやっ)


 2回、3回と斬ろうと振るが、全てかわされる。


(何だこの回避は)


 ネクが後ろに回った。それを見た後懲りずに相手を攻撃する。また、かわされた。

 ネクがチャンスとばかりに頭に向かってハンマーを振る。


(急所かよ)


 だが、猫耳少女はそれすらも回避する。


(何だそりゃ、回避率高すぎだろ)


 逃げられるのだけは防がねばならない。どんどん攻撃を繰り返し余裕を作らせない。

 ネクやタリスと協力して数分程戦闘を繰り返す。すると徐々に動きが鈍くなり、相手の腹に剣が突き刺さった。

 剣を抜き、すかさず拘束アイテムを投げる。捕獲は成功だ。


「ふぃー何だったんだ」


 やっと息がつける。あの時のオーガの気持ちが良く解かった。


(全部回避されるとか、ストレス溜まりそうだよな)


「さて、目的も果たしたし、箱を開けて帰るか」


 罠も外し戦利品をアイテムボックスに放り込む。

 そして拠点に帰還した。


-----------------------------------------------------------

 拠点に戻り、鑑定すらもせずに牢屋へ行く。そしていつもの筒に拘束アイテムを放り込む。

 すると牢屋の中に手足を拘束された猫耳少女が現れた。大体160cmくらいだろうか。種族柄かほっそりしている。胸はまぁ……今後に期待。

 そしてこちらを見る。


(!!)


 心が踊る。人で、しかも猫耳である。だが最初から下心を出すのはプライドが許さない。なので平静を装う。

 膝をつき、目線を近くにして相手を見る。

 震えている。しかも泣いている。


(いきなりこれか)


 気弱なんだろうか。そういえば、先程捕獲した時一度も攻撃してこなかった。

 可哀想だが、言わないといけない。


「君を使い魔にしたい。従ってくれないか?」


 震えて泣いている。返事すらない。


「従って欲しい。そうしなければ俺は君に酷い事をしなければなりゃない」


 なりゃない?緊張していたのか舌が回らなかったようだ。思わず口を押さえる。

 そんな事を気にもしないのか、猫耳少女は震えて泣いている。埒が明かない。


(さっさとその猫耳と尻尾に触れたいんだよ!!)


 願望が明確化する。駄目だもう我慢できない。

 牢屋を開け、中に入る。震える猫耳少女の頭を撫で耳に触る。ピクンと耳が跳ねる。

 撫で続ける。


(あー猫耳良いわー。ずっと触っていたいわー)


 もう片方の手で尻尾を触る。


(良い毛触りだ……)


 付け根から先端まで撫で続ける。

 猫耳少女が震えながらこちらを涙目で見る。


(やべ、我慢できね)

 

 だが、ここで震える少女を襲うなんて外道だ。そんな事許されるはずが無い。

 猫耳少女を見ると震えながらこっちを見ている。


「うぉぉぉぉぉぉおおお」


 結局、我慢できませんでした。


モンスターとして出てくる敵は基本的に目が隠れ特徴のないモブキャラみたいな顔をしています。

倒しても苦痛の表情とかしません。


喋って恨み言とか言われたら脱落する人多そうですし。

あくまで慣れるまではゲーム感覚での戦闘をイメージされています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ