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迷宮と掲示板  作者: Bさん
2章 森と草原の迷宮
18/125

14話

 翌日、オーガの居たボス部屋から続く階段をネクとタリスを連れて降りる。降りきった先には部屋があった。

 一見普通の山小屋の様な家だ。古い以外には特徴は無い。周囲を調べ何も無い事を確認し、入り口を開ける。


 開けるとそこは草原だった。


「なんだこれ……」


 久しぶりのなんだこれである。まさか野外に出るとは思わなかった。空はちゃんと青く天井が無い。


(どういう原理なんだろう?)


 どうせ気にしても回答はないんだろうな、と諦める。周囲を見渡し、敵が居るかどうかを確認する。

 マップを確認すると森と草原の迷宮とある。


(迷宮?草原だけじゃなくて森もあるのか)


 イチイチ突っ込んでもキリが無いな、と思いながらマップを確認する。近くには通路とかは一切ないようだ。

 ネクとタリスもキョロキョロ周りを見ている。


(大部屋みたいなものか)


 決め付けると、ネクとタリスに指示を出す。


「どこから敵が襲ってくるか解からない。周囲の警戒を怠らずにな」


 ネクは頷き、タリスははーいと返事をする。平常運転である。

 

「とりあえず、真っ直ぐ進む。付いてきてくれ」


 どっちという目標が全く無いため正面に進む。山小屋が見えないくらいまで進むとオオカミが数体居た。


(敵か。強さは解からないけど一気に行く)


 ネクとタリスも気が付いたようだ。


「ネクは俺と切り込む。タリスは上空から援護と周囲の警戒を頼む」


 小声で言う。2人とも声を出さずに頷く。ネクと俺は抜刀し、オオカミまで走って距離を詰める。


 途中気が付いたのか、オオカミは遠吠えをし、こちらへと突っ込んでくる。

 突っ込んできたオオカミを盾で殴りそのオオカミをネクがハンマーで殴る。オオカミは痛みに叫び声を上げる。

 

(敵は3体か。1体は一気に倒す!!)


 他の2体から奇襲を受けないよう周囲を警戒しながら先程ネクが殴り飛ばしたオオカミに向かって剣を振りかざす。

 だが、当たる寸前オオカミがステップをして回避し、剣は空しく空を斬り外す。

 しかし、それを予測していたのかネクがハンマーでオオカミを殴る。急所に当たったのだろうか。そのままオオカミは粒子になって消滅した。


(焦りすぎたか。慣れたようで慣れてないな)


「ネク、1体ずつ行くぞ」


 ネクが頷く。1対1ならどうにか……。これがフラグだったとこの時点では気が付かなかった。


 1対1で確実にダメージを与えながら戦う。先程のオオカミは急所に当たってすぐに倒れたらしい。3度は斬りつけているが未だ倒れない。

 すると上空で警戒していたタリスが声を上げる。


「遠くからオオカミが6体走ってきてるよ!」


「タリス!オーガの時のアレの詠唱をしてくれ!!ネク、急いでこいつらを倒すぞ」


 すぐさま判断を下し指示を送る。小さなダメージは上等くらいの気持ちで攻撃よりの姿勢に変える。左手腕の布の服の部分ががオオカミに噛まれる。だがすぐに剣でオオカミの腹を刺す。

 剣が深く入り、オオカミが粒子にになって消える。ネクもどうやら倒したようだ。


「ネク、オオカミが来たら防御体勢に移って時間を稼ぐ。タリスの詠唱が終わったら多少の怪我は無視して走って逃げるぞ」

 

 箱が現れるが無視し、ネクに指示を出す。するとすぐにオオカミが6体近くに来た。


(戦闘中だったら辛かったな)


 すぐにオオカミに囲まれる。ネクと背あわせに立つ。オオカミの突進は盾で受け流し攻撃は行わない。しばらくそれを繰り返しているとタリスから声がかかる。


「準備おっけー」


 俺とネクが同時に頷く。そして盾を前にし走って同じ方向に逃げる。そのすぐあと、俺たちの居た場所に火柱が上がる。


(着火地点そこかよ!!)


 恐怖に慄きながら逃げる。オオカミは突然の行動にすぐ動けないようだ。すぐに全て炎に包まれる。


「熱っ熱い」


 ちょっと服に引火する。範囲から逃れ、慌てて手で叩き鎮火する。ギリギリだったらしい。正に九死に一生である。

 炎が燃え盛っている場所を見ると、どうやらオオカミ全て炎に巻き込まれたようだ。完全に鎮火する前に全て粒子へと変化し消滅した。


「相変わらず凄い威力だな」


「でしょー」


 タリスが自信満々の顔で言う。


(俺たちは死に掛けたけどな)


 あえて口には出さない。俺の指示だし。

 箱を確認する。炎でくすんでいたものの残っているようだ。


(この箱って防御高そうだよな)


 そんな事を考えながら罠の確認をする。


(毒矢?初めてだな)


 解毒薬はアイテムボックスに入っている。失敗しても大丈夫だろう。罠を外すのを試す。

 どうやら特に問題なく外れたようだ。もう1つの箱も開ける。

 戦利品を回収するとアイテムボックスへ放り込む。


「オオカミは仲間を呼ぶみたいだな。援軍に気をつけて狩ろうか」


 ネクは頷き、タリスはりょうかーいと返事をする。

 

-----------------------------------------------------------


 しばらく探索し、オオカミも数十体倒した。しかし、出てくるのはオオカミばかりである。


(……他にいないのか?)


 1階層のケースから考えるともう少し進まないと出ないのだろうか。

 マップを見る限り全体の8割は探索済みだ。本当に草原しかない。

 

(次の階から出るのかね)


 そう考え、未踏地を探索する。数体のオオカミを倒しながら探索していると、遠くに山小屋が見えた。


「お?小屋?」


 この階に来た時も小屋だった。もしかしたらと小屋に入ると、奥に階段があった。


(この地形ってどうなっているんだろうな……)


 気にしても仕方ない、とすぐに考えを止め階段を降りる。降りきった所の小屋に5階から回収した転移の楔を設置する。

 階段付近はセーフエリアになっているらしく。今までも敵が出た事が無いので、設置するとしたらここが一番適している。

 小屋の扉を開けると、そこには相変わらずの草原が広がっていた。


(同じパターンか。見渡す限りの草原が広がっている)


 まだ時間はある。少し周囲を調べてみるか。

 辺りを見渡すと何かが居た。良く目を凝らしてみてみる。


(人型?新しいモンスターか?)


 身を屈め、気が付かれない様に慎重に音を潜めて近寄る。


(人だ……しかもあれは……)


 一気に立ち上がると思わず叫ぶ。


「ねぇぇこみぃぃぃみぃぃぃきぃたぁぁぁぁぁぁ」


 抑えられなかった。叫んでしまったので相手に気が付かれる。どうやら1人のようだ。

 

「ネク、タリス。捕獲するぞ!!」


 若干ネクとタリスが引いている。主がこんな奇行をしたら誰だって引く。俺だって引く。

 しかしそこは使い魔だ。解かっている様で戦闘態勢に移る。

 抜刀し血走った目で猫耳少女に襲い掛かる。この光景を傍から見たらこっちが完全に悪人である。

 しかし猫耳少女はこっちに向かって来る事は無くすぐに逃げる。


(何だこの速さは!!追いつけねぇ!!)


 必死だからだろうか。凄い速度で逃げていく。すぐに見失うと俺はがっくり肩を落とす。

 俺はケモナーではない。だが猫は好きだ。人に猫耳と尻尾を付けた程度の子は大好物だ。


(次は絶対使い魔にしてやる……!!)


 そう決心し、拠点へと帰還した。何か疲れたし。


-------------------------------------------------------------


 拠点へと戻り日課の戦利品の清算を行う。

 以下がリスト


鋼のロングソードX2

鋼のスピア

鋼のロッド

鋼のナイフ

鋼のアクス

鋼のハンマー

鋼のロングボウ

鋼の矢X50

鋼のロッド


鋼のカイトシールドX1

鋼のバックラーX2


鋼の鎧X2

鋼のグリーヴX1

鋼の兜X1


回復薬X20

毒薬X5

解毒薬X10


 他は今まで出ていた装備である。今まで拠点に放り投げていた鉄装備を含めて全て売却する。

 鋼の剣とハンマーは俺とネクで、鋼のロッドはタリスに渡す。鋼の防具は申し訳無いが俺が優先して装備する。

 これに関してはネクは承知している。むしろネクを優先しようとすると怒られる。


(俺が倒されたら拠点に強制転移だし仕方ないよな)


 そう考え自分を納得させる。鉄の装備を全て売ると2000DPが手に入った。

 衣食住の内、衣と住はそこそこ充実してきている。そろそろ食事に手を出すか。

 6畳のブランクルーム(空室)を作る。それを大部屋の隣に設置し、ガス台(コンロ付き)と流し台をその部屋に設置する。

 これで1500ポイントになる。最低の肉だけというのも侘しいので少し上の牛肉の箱を標準時間で取る。これで合計1800ポイント。

 

(ああ、時計も欲しいな)


 目覚まし時計のサイズでアラーム機能なしの時計を100ポイントで取り、残り100で拘束アイテムを2個買う。これでぴったり2000だ。

 時計をベッドの近くに置き完成。


「少し良い肉を用意したから明日は少しマシになるぞ」


 ベッドの方でだらだら会話していたネクとタリスがバッと顔を上げる。望んでいたらしい。


「本当に!?」


 タリスが聞く。この妖精も肉食か。顔が凄いにやけてる。


「あ、ああ、今無限箱を設置したからな。明日の朝にはそれなりに出来てるはず」


 若干引きながら答える。さっきの草原の時とは真逆である。


「楽しみね。今の肉も何とか食べられるけど、良いに越した事はないものね」


(明日の朝、ネクと取りあいにならないことを祈ろう)


 苦笑しながら、夕飯の準備に移る。コンロと流し台があるだけで料理の幅は変わるだろう。ようやく料理スキルが使えそうだ。塩と胡椒しかないがな。


主人公、覚醒する。

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