子供
俺たちはその後コタツへ戻り、クウの事を伝えた。皆は驚き、タリスが探知を行う事で確信を得たようだ。ティアの目がちょっと怖い。
ティアとクウはその日から性的に手を出すことを禁止された。ゴムがないと雑菌の関係で危険らしい。仕方ないので我慢してもらうしかない。2人が我慢するからと言って、俺は我慢する気はない。男は悲しい生物なのである。
そして数ヶ月経つと2人のお腹が目立つように大きくなってくる。さすがに料理とかさせるのは怖いので、俺とコクでやる。とは言え全く動かないのも駄目らしいので散歩は誰かが一緒に付いて行く事を条件に許可をする。過保護かも知れないが、何分初めてなだけあって本人よりも周りが警戒していた。
更に時間は過ぎ、その日がやってきた。まさかの2人同時だった。
ネクと俺以外は全員医務室に居る。ネクは俺の監視だ。恐らく居なかったら医務室に突撃をかましていただろう。俺は医務室の前はウロウロする。とても落ち着かない。
ネクが凄く鬱陶しそうな視線を向けてくるが、それに構っては居られない。ネクの我慢の限界が訪れたのか、落ち着けという意思と共に蹴りが飛んでくる。俺はまともに食らい通路を20mほど飛ばされて消滅した。
「ハッ!!」
ベッドで目が覚める。どうやら誰かが運んでくれたらしい。急いで医務室に向かうと誰もいない、どういうことだろうか。探知スキルを使うと今は使っていないベッドのある部屋に皆集まっていた。俺は急いでその部屋に走って向かい飛び込むように入る。
「どうなっ……」
全部言う前にネクのボディブローが炸裂した。凄く痛いです。
「主様、静かにしてください。ティアもクウも疲れて寝ているんですよ」
パステルが小声で言ってくる。2人の隣には赤ん坊が居た。どうやら無事生まれたようだ。その姿を見ると俺はホッとする。鳩尾を押さえながら……。
その日はそのまま部屋から追い出された。どうやら交代しながらしばらくの間は様子を見るらしい。当然の事ながら俺はその中には入れなかった。騒がしくて申し訳ない。
そういえば、名前を決めないとなーと思いながら仮眠を取る組と一緒に寝室へ向かった。リムに血を与えてそのまま抱き枕代わりにして眠った。
経過は順調なようだ。ティアの娘はティナ、クウの娘はクローディアと名付けられた。命名は俺ではない。名前を付けるのは苦手だから助かった部分はある。
赤ん坊の世話をしたかったが、他のメンバーが手際よく対処する為、俺の出番は全くない。実際にやってみると大変だと思うが、何も出来ないのも寂しいものだ。最近はよくネクとゲームで対戦している。
----------------------------------
雑談 part388
100 名前:名無しさん
生まれたぞぉぉぉぉぉ
101 名前:名無しさん
何だ?大便か?
102 名前:名無しさん
相当嬉しかったんだろうな
便秘は辛いから
103 名前:名無しさん
切れると辛いよな
食生活が偏ってた攻略初期はやばかったわ
104 名前:名無しさん
ああ、あったあった
今となっては随分と懐かしいなぁ・・・
105 名前:名無しさん
いや、そうではなく子供がですね
106 名前:名無しさん
さて、地雷はどこかな
107 名前:名無しさん
ちゃんと使ったら仕舞っとけよ
放置はしたら危ないからな
108 名前:名無しさん
ダイナマイト残ってねぇかな
109 名前:名無しさん
使っちまったなぁ・・・
残念だわ
110 名前:名無しさん
子供が生まれましたぁぁぁぁぁ
111 名前:名無しさん
うぜぇ
112 名前:名無しさん
NG機能が欲しいと思ったのは初めてだ
113 名前:名無しさん
まぁ、無事生まれたようでよかったじゃないか
爆発しろ
114 名前:名無しさん
そうだな
新たな生命が生まれるというのは良い事だ
爆発しろ
115 名前:名無しさん
お前ら祝福くらい普通にしてやれよ
------------------------
俺たちは今まで迷宮第一の生活だったが、子供が生まれるとそっちが優先される生活に変わった。早い話が夜に叩き起こされたりして寝不足になる為、迷宮の攻略に支障が出てしまう。
勘を鈍らせないように最低限の訓練はちゃんとしているが、本格的な探索はしていない。調子が優れない状態で入って無事で居られる可能性は低い。
子供を作るローテーションまで作られており、次はパステルとエンらしい。次がタリス、最後にコクとリムなんだそうだ。何の順番かはさっぱり解からない。俺はそれに従うだけだ。
(そういえば、子供たちのステータスって見てないな)
使い魔じゃないのに見れるかどうか解からないが、見れたな良いなくらいの気持ちで確認する為にパソコンへ向かう。
名前:ティナ
性別:女
種族:ハイ・ビーストLV1
職業:ファイター
種族適正
腕力強化、高速移動、行動制限(水)、獣化
職スキル
熟練度最適化、勇気
スキル
剣術LV1、軽業LV1、生体感知LV1、魔力感知LV1、盾術LV1、罠解除LV1、料理LV1
固有スキル
プレイヤーの血族(プレイヤーと行動するとステアップ)
剣聖(剣術スキルが上がり易く、熟練度上限+50)
盗賊(罠解除スキルが上がり易く、熟練度上限+50)
名前:クローディア
性別:女
種族:アークエンジェルLV1
職業:メイジ
種族適正
光属性付与、光属性耐性、飛行
職スキル
魔力の泉、魔法適正
スキル
剣術LV1、弓術LV1、鷹の目LV1、神聖魔法LV1、料理LV1、魔道具作成LV1、根性
固有スキル
プレイヤーの血族
神性(神聖魔法スキルが上がり易く、熟練度上限+50)
狂気の波動:改(周囲の格下の相手を即死させる。任意で発動可能)
(……何だこれ)
狂気の波動が何気に強化されている。ちゃんと教育をしなければ危険だ。
(使い魔との子供ってこんなに強くなるのか……)
何人も作って世界に出したら危険だ。俺の子供が世界征服をしそうな気がしてくる。管理者が使い魔との子供を中々作らせなかった理由が解かった。赤ん坊の時点で考えるのはどうかと思うが、ちゃんと家族の皆で相談した方がいいだろう。
俺は話し合う為に皆を集める。だが、そこで交わされたやり取りは予想外のものとなった。
「さすがは私とご主人様の子供、凄い」
「そうですね。まさかこれほどの素質になるとは思いませんでした」
と2人の母親は興奮しながら言う。人の事は言えない気がするが、親馬鹿にならないといいな。
「確かに、この素質は危険ですね。大人になる前にちゃんとした教育が必要でしょう。教師は私に任せてください」
とパステルが言ってくる。本当にこいつに任せて大丈夫なのだろうか。むしろ悪化しそうな予感がある。こいつの今の悪い顔を見る限りは。
「親子で鍛冶とか憧れるかな。素質がある状態で生まれたら教えるのも楽しみだよ」
コクはもう素質があるのを想定して考えているようだ。もうこれ以上マッドな鍛冶師を増やさないで頂きたい。
「我も早く子供が欲しいのぅ……」
そう言って上目遣いで見てくるのはリムだ。この子に子供を産ませるとか犯罪臭しかしない。コクも同様だが。
「子供は立派な戦士に育てたいですね」
コク同様生まれる前から展望が決まっているらしい。出来れば子供と相談してから考えて欲しい。生まれてすらいないけど。
(駄目だこいつら早く何とかしないと……)
俺はネクと視線を合わせて頷く。こいつに良識があって良かったと思う。
「教養はあった方がいいな。教えるのは俺とクウがやる事にしよう」
俺がそう言うとパステルが不満そうな表情をする。パステルの部屋の本棚の奥に隠されている書物の事を考えると、不安しかないのだから諦めて欲しい。
俺とクウならそこまで悪い事にはならないと思う。ティア、エン、ネクは戦闘技術をリム、タリス、パステルは魔法技術を教えると良い感じになりそうだ。コクは言うまでもなく生産だ。
まだ最初の子が生まれて間もない赤ん坊の状態なのに話し合う俺たちの姿はどこから見ても親馬鹿だった。