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迷宮と掲示板  作者: Bさん
オマケ
111/125

獣愛好家と勇者、魔王

他のプレイヤーの話は微妙ですね。

*ケモナー視点*


「ただいま」


 俺は拠点に戻るとコボルトが1匹駆け寄ってくる。そしてそのまま俺に抱きついて来て小さく「おかえりなさい」と言って来る。俺は抱きしめ返してそのまま抱き上げる。体重が軽いから楽だ。


 俺の紹介をしよう。俺は掲示板でケモナーと呼ばれる獣愛好家だ。早い話がちょっと人間と違う種族も愛せる人だと思ってくれればいい。


 今、俺の拠点にはコボルトが50匹、フェアリー10匹、リザードマンが10匹、エルフが10人居る。当然全て性別は女である。もはや小さな村のようだ。俺は人も獣も愛せるハイブリッドって奴だ。もう何でもOK。


 抱き上げたコボルトを見る。このコボルトは俺が一番最初に使い魔にした奴だ。慣れるまでは全員同じようにしか見えなかったが、見ている内に違いが解かるようになってきた。


 俺も最初はケモナーなどと言われる人種ではなかった。どうしてそうなったのか、それを語ろう。



---------------------------------

「はぁ……」


 思わずため息が出る。戦闘が辛い、複数に囲まれると怖い。理由はいくらでもある。何より1人は寂しい。


 この訳の解からない迷宮に閉じ込められて早3日になる。他人との関係は掲示板のみである。その唯一の他人との繋がりである掲示板を見ているとテイムというスキルの説明があった。


「使い魔……か」


 少なくとも1人ではなくなる。話し相手が出来るかもしれない。そう思い拘束アイテムを購入し意気揚々と迷宮へ入っていった。


(確かお勧めはスケルトンだっけか。でもアンデッドは苦手なんだよな)


 正直ホラーとかは苦手だ。嫌がらせでわざわざ見せてくる友人は居たが、それのお陰で更に嫌いになった。歩いているとコボルトが見える。


(コボルトにしよう。食事は大変になるかもしれないけど、優先的に増やせばきっと大丈夫さ)


 そう思いコボルトへ攻撃を開始する。瀕死になった事を確認し拘束アイテムを投げるとそれに収まった。どうやら成功したらしい。俺はそのまま急いで拠点へと帰還した。


 牢屋で拘束アイテムを使うと犬型の魔物が現れた。身長は大体130cmくらいだろうか。かなり小柄に見える。手足を拘束されたままこちらを見ている。


「あの……使い魔になってくれませんか?」


 久しぶりに発する言葉は丁寧になってしまった。上からの交渉なのだからもう少し強気の方が良かったかも知れない。


「……はい」


 コボルトはそれだけ言ってくる。どうやら従順なようだ。俺は礼を言いコボルトにテイムをかけると、このコボルトの情報が身に入ってくる。変な感覚だ。


 それが終わるとコボルトの手足の拘束を外し、一緒にパソコンまで向かう。ステータスを確認すると性別が女だった。男女の違いが良く解からない。


 そして俺たちは2人で探索を始めた。最初は連携とか慣れなかったが、徐々に息が合うようになり、戦闘が楽になってきた。また、お互いに喋れるというのが大きかったのだろう。俺は気を許し始めた。


 また、コボルトは過剰なスキンシップを好むようだ。パソコンをやっていると膝に座ってきたり、抱きついてきたりするのは当たり前。食事中もずっと隣を離れない。俺もこいつが人間だったらな、と思いながらくっついていた。


 そんなある日の夜である。禁欲生活も1週間以上続き、辛くなってくる。一緒に隣で寝ているコボルトが可愛く見えてしまう。今までは、犬としては可愛いと思うが、性的な相手としては今まで何とも思わなかった。俺は遂にコボルトの胸を触れてしまう。


 コボルトはビクッと体を震わせる。そして目を開き、すぐに理解したのかそのまま俺に抱きついてくる。OKサインだろうか。そして俺は遠慮なく手を出してしまう。まさかコボルトを性的な目で見ることが出来るとは思わなかった。



 翌朝、後悔をしながらゆっくり食事をする。コボルトは相変わらず俺の隣にくっついている。動物的な可愛さは解かるのだが、どうして昨日の夜、俺は手を出してしまったのだろう。


「ご主人様、私はいつでも受け入れる覚悟はあります。好きなだけ愛してください」


 俺の表情を見て思ったのか、コボルトはそんな事を言ってくる。胸が愛しさで一杯になる。そして俺の中で何かが弾けた。コボルトでもいいじゃない、と。


 そしてその日、俺は1日中コボルトとイチャイチャしていた。




 それから徐々にダンジョンを攻略し、フェアリー、リザードマンを加え、遂にはエルフまで加えた。当然全てに手を出している。途中、コボルトの使い魔を増やしすぎたせいでひもじい思いをさせたりしたが、皆協力的でどうにか乗り切った。

 

 食費を稼ぐ為に進行より稼ぎを優先した為、未だにダンジョンをクリアしていない。だが、俺の幸せはここにある。先に世界があるようだが、そんなものには興味はない。俺はこの家族と一緒に過ごせればそれでいい。そう思うようになっいった。


 ただ、人数が多いから全員を満足させる為にそろそろ性神が欲しくなる。その為にラストダンジョンまで行こう。俺たちの戦いはまだ終わらない。



------------------------------------

*先行プレイヤー視点*


「フハハハハハ、勇者、この程度か!!」


 目の前で魔王と思わしき者が高笑いを発している。この光景はなんだろうか。


「くっ、私は世界の命運を賭けて戦っているんだ。この程度で!」


 次に言葉を発したのは女の戦士だった。こいつが勇者らしい。


 何で俺がこんな光景を目の当たりにしているのかと言うと、旅をしていたら目の前に凄い城があったから侵入してみた。それだけである。


(まさか、物語のようなラスボス戦に遭遇するとは……)


 勇者vs魔王である。物語としては最後の戦闘として華々しいものだろう。それでも俺の目からしてみると大したことが無いように見える。


「殲滅しましょうか?」


 使い魔のエルフが銅の剣を持ち言ってくる。杖でなく銅の剣なのはどう考えても変だが、昔に買ったものなのに未だに高性能すぎて使っている。


「いや、様子を見よう。もしかしたら面白い事をしてくれるかも知れない」


 そういって柱の影から見守る。戦闘は継続され、どうやら勇者が劣勢のようだ。この当たりで切り札とか出てくるのだろうか。そう思っていたのにあっさり飛ばされ俺たちの近くの柱にぶつかる。どう見ても致命傷だ。


(終わりか、呆気なかったな)


 俺は何となく勇者の近くへ寄ると言葉を放つ。


「助けて欲しいか?」


 そう聞くと勇者は頷く。かろうじて意識があるらしい。俺は拘束アイテムを投げ捕獲する。そして魔王の方を向く。


「き、貴様何者だ。何だその力は……」


 魔王がうろたえている。どうやら俺たちの強さが解かるらしい。ある意味哀れだ。


「こいつを助けると言ってしまったんでな。すまないが倒されてくれるか?」


 それだけ言うと魔王が真っ青になる。圧倒的な力量差がある相手に宣言されたからだろうか。と後ろを見るとソードマスターの威圧を放っている使い魔が居た。これらしい。


 そして俺は剣を抜くとそのまま一気に距離を詰め剣で一閃する。それだけで魔王は崩れ落ちる。どうにか生きてはいるようだ。女のようだったので拘束アイテムを使い捕獲する。


「ご主人様、捕獲したのですか?」


 後方に下がっていたエルフの魔術師が聞いてくる。


「ああ、勇者と魔王とは面白そうだったからな」


 俺は体裁を整えながら言う。どうせ両方女だったから、ばれているだろう。使い魔たちがため息を付くのを確認すると俺たちは拠点へと戻った。


 皆に帰還後の後片付けを任せると俺は牢屋へ急ぎ足で向かう。何だかんだで仲間が増えるのは嬉しい。牢屋で勇者の方のアイテムを使うと手足を縛られた女の戦士が出てくる。どうやらこちらを睨んでいるようだ。


「貴様、一体何を」


 自分の姿を確認したからかそう言ってくる。どうやら俺を敵とでも思っているのだろうか。面倒なので、魔王の方も出す。そちらも手足が拘束されている。魔王はこちらを見ると怯えているようだ。


「……こいつは魔王か?」


 勇者は魔王を見るとそちらも成す術も無く捕まっている事を知る。どうやら勇者は混乱をしているようだ。


「ああ、お前たちは俺の使い魔にさせてもらう。従うならそれで良し、従わぬのなら……」


 そう言いながら2人の体を嘗め回すように見る。2人はその視線を感じたのか震えだす。心を折って使い魔にしても時間がそれを解決してくれる。慣れとも言うが、死ぬ事も出来ないのだからその内調子を取り戻してくる。それならそういう手を使っても問題は無い。


「わ、私は従うぞ」


 魔王が先に降参する。どうやら強さを敏感に感じ取る能力を持っているせいで勝ち目が無いと理解したのだろう。テイムを使い勇者より先に拘束を外す。その様子を見て勇者は信じられないものを見たような顔をしている。


「魔王め……お前には誇りはないのか?」


 そんな事を言っている。それなら遠慮する必要はない。勇者に手を伸ばそうとした矢先に……。


「ごめんなさい、降参します」


 と勇者が言った。触る前に降参されると正直どうして良いか解からない。


(お前……それでいいのか?)


 少し残念に思いながら俺は手を引っ込めてテイムを使う。こうして勇者と魔王は俺の使い魔となった。




 それから数ヶ月後、勇者と魔王はお互いのライバルとして切磋琢磨している。俺が手を出さない訳が無く、牢屋で強引にかベッドで優しくの違いでしかない。


「フハハハハハ、勇者、この程度か!!」


 魔王はそう言って目の前のオークを魔法で焼く。そして勇者はその魔王に迫っていた別のオークを剣で切り伏せる。


「魔王こそ、油断しているんじゃないか?」


 口元をニヤリとつり上げ勇者が言う。2人は背中合わせでオークの集団と楽しそうに戦っている。


「あの……私たちは何もしなくていいのですか?」


 隣のエルフの魔術師が言ってくる。


「楽しそうならいいんじゃないか?楽できるし」


 俺たちは迷宮では他のプレイヤーと競い合うように進めてきた。今では競う事も無くただ自分たちの為に戦っている。あの頃は進めない事で使い魔の皆に八つ当たりをしたり酷い事をしたと思う。


 自分も変わっていかなければならない。俺は迷宮をクリアし世界に飛び出てそう思うようになった。こいつらを大切にしながら楽しもう。


ケモナーLV1:耳と尻尾程度(獣人がこれに当たる)

ケモナーLV2:LV1+手足が毛むくじゃらになっていたり肉球付き

ケモナーLV3:全身毛むくじゃら

ケモナーLV4:獣が二足歩行、若干顔が人間寄り

ケモナーLV5:完全な獣が二足歩行(コボルト、リザードマンやオーク、ゴブリンなどがこれ)

ケモナーLV6:完全に獣(犬や狼とかその辺)


こんな感じです。常人には到底無理ですね。

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