オマケダンジョン8話
翌朝、気が付くとベッドの上は死屍累々という言葉が似合う惨状だった。どうやらやりすぎてしまったらしい。予想して避難したコクと空気を読むネクはいない。
俺がコタツへ行くと、やりすぎだという目を向ける2人が居た。
「すまん、止まらなかった」
俺は素直に謝る。もうあの薬品の使用は控えよう。だが、使わないとは言わない。
「この分じゃ皆起きてくるのは遅そうだね。先に出来た装備だけ渡すよ」
コクはそういってアイテムボックスから3つの何かを取り出した。剣とサークレット、そして刀だった。剣は大体1.2mくらいで持ってみてもそこまで重くは無いので、片手用だろう。サークレットは見ても解からない。刀は2m近い大太刀だ。重量もかなりある為、両手用だろう。
鑑定をしてみる。まずは片手剣だ
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聖魔の剣
効果
聖属性と闇属性を持つ片手剣
製作者：コク
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複数の属性を同時に持つのは初めてだと思う。試しに片手に鋼のナイフを持ってそれを斬ってみると簡単に切れた。大して力を入れないのにこの切れ味は恐ろしい。
次はサークレットだ
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黒龍のサークレット
効果
魔力増幅の効果を持つサークレット
徐々に魔力が回復する
製作者：コク
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またやばいものが出来ている。固有スキルの効果を持つ装備も初ではないだろうか。
最後に刀だ。この分なら期待できそうだ
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流☆星☆刀
効果
隕鉄を使った大太刀
重量、威力共に高く硬い相手も砕く
製作者：コク
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（……☆？性能は良いのに何この名前……）
太刀を鞘から抜いていみる。日本刀の独特の美しさなどはない。本当に無骨な刀だ。正直でかすぎて鞘から抜くのに苦労する。構えて振ってみるが、かなりの重量だと解かる。俺ではこれを使って戦えそうに無い。
（片手剣は俺、サークレットはリム、刀はティアだな）
ティアは武器重量無効を持っていたはずだ。既に両手剣でも戦っているし、大丈夫だろう。
「コク、ありがとう。全部良い装備のようだ。大切に使わせてもらう」
コクにお礼を言う。これだけの装備を作ったんだし、投擲用の装備は出来ていないだろう。ネクは大太刀を興味深く見ている。ネクに刀を渡すと構えを取っていたが、すぐに首を振り刀を返してきた。どうやらネクにも無理らしい。
装備は全てアイテムボックスへと入れる。俺専用の武器が出来たのは嬉しい。あの飛行装備も1機だけ作れたようなので練習は出来そうだ。皆が起きて来られたら、だが。
俺は1人で訓練場に来ると練習を開始する。レバーでの操作は無茶をしない限り問題はなさそうだ。ただ頻繁に動こうとすると片手が埋まってしまう為、盾を持てない。
（この装備に盾とか付けられないものかね）
ただ飛ぶというだけでは恰好の的となってしまう。俺たちは基本的にエン以外は盾や回避行動が主体だ。そう考えると盾もなく動きも遅いのは致命的である。
俺は鍛冶場へ向かうとコクにそれを伝える。
「確かにそうだね。盾もだけど、それ以外の部分が危険そうだし装甲を付けてみようか」
嬉しそうな顔をしながらコクが言い出す。全く別の装備になりそうな予感がある。ロマンの為、是非暴走して欲しい。自爆装置は要らないけど。
「装甲を厚くすると稼動部が……。それなら……射撃武器を……」
何やらコクが物騒な事をブツブツ呟いている。これ以上は聞いてはいけない気がしたので、俺はコタツへと戻り調合を始める。
しばらくコタツで調合をしていると、他のメンバーが起き出して来た。表情にかなりの疲労が見える。申し訳ない。
風呂へと向かう仲間たちを見送り、調合図鑑を見ながら新しい薬品を作ってみる。基本的に回復薬の強化がメインだ。一時的なドーピング薬もあるが、副作用が怖いので作らない。
（そう考えると、副作用なしで一時的に身体を変化させるあの薬って凄いんだろうな……）
さすがは管理者である。物作りに関しては尊敬できると思う。本人が作っているかどうかは知らないが。
ある程度回復薬を作り終えると暇になる。折角図鑑があるのだから、何か珍しいものが無いか探してみると、湿布があった。筋肉痛に効くあれだ。
（元の世界では普通に使っていたけど、1から作るとなると面倒臭いな……でも、これがあればあの苦痛が……）
筋肉痛さえ抑える事が出来れば、もっと頻繁に狂王の瞳が使えるかもしれない。図鑑を見ていると湿布でも強力な物もあるようだ。俺は夜の生活の為に頑張って作る事を決意した。
翌日、訓練所にて目にした装備を見て驚愕する。飛行装備が鎧になっていた。何を言っているのか解からないかも知れないが、俺にも解からない。
「コク、これは？」
製作者であるコクに聞くとドヤ顔で言ってくる。
「昨日の要望に単純だけど武器を付けてみたんだ。ちゃんと飛行の制御もどうにかなるから大丈夫だよ？」
そこは心配していない。全身鎧である為、サイズは個別に作られているようだ。
「そ、それじゃ、試運転してみようか」
俺がそう言うと、コクが鎧の腋の辺りにあるボタンを押す。すると鎧の前面部が開く。まるでアイアンメイデンのようだ。俺は恐る恐るその中に入ると鎧は勝手に閉じる。そしてすぐに視界が開けた。コクの技術力はどこまで飛んでいくのか。どうせ鍛冶スレの連中が関わっているのだろうけど。
「左手の部分に操作部があるからそれで操作してね。首が動かせないから直接見れないのが難点だけど、慣れれば問題ないと思う」
コクが外から言ってくる。音声の通りも悪くないようだ。空でも普通に会話が出来そうである。コクは俺から少し離れたので操作を開始する。飛行スイッチらしきボタンを押すと宙に浮く。以前の飛行装備の様に上下左右は問題なく動くようだ。
「コク、腕が動かないんだが、これはどうするんだ？」
自力で動かす事は出来ないのはもちろん、そんな操作ボタンも無かった。どうやって攻撃すれば良いのだろう。
「え？動かないよ？」
コクが何言ってんだこいつみたいな口調で言ってくる。
「動かなかったら攻撃出来ないじゃないか。これは移動用だけなのか？」
これでは、的なのは変わり無さそうだ。生存率が上がっただけで大して変わらない。
「右手の方の操作をしてみて。そこに魔力を込めると魔法も使えるし、ボタンを押せば射撃武器も発射されるよ」
誰も居ない方向に向いて、射撃用のボタンを押してみる。銃弾のようなものが3発直線に撃ち出された。地味だが十分威力はありそうだ。下位の古代魔法を使う為に右手に魔力を込めてみる。そうすると弱い火の属性の矢が撃ち出された。魔法も問題ないらしい。
「攻撃は出来るみたいだが……関節が動かないと不気味だと思うんだが……」
全身鎧が空を飛び弾を撃ち出すとか不気味以外の何者でもない。次に作る事があったらデザインを考えて欲しい。
「あれ？このボタンは別の装備か？」
右手のちょっと離れた所にボタンがあった。テストは全てやっておくべきだろうと思い、押してみる。
「あ！！スズキさん、それは違う！！」
コクが慌てて遠くに逃げながら言ってくる。仲間たちも雰囲気を察したのか全員逃げる。そして俺だけが1人訓練所でぽつーんと棒立ちになる。
そして俺は爆発して消滅した。
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【迷宮】オマケダンジョン part2【閉鎖中】
321 名前：名無しさん
おい、自動販売に変なものが出たぞ
322 名前：名無しさん
販売スレじゃなくてこっちかよ
何が出たんだ？
323 名前：名無しさん
飛行用全身鎧 サイズL
効果
飛行用に開発された全身鎧。
物理射撃、魔法を使えるサポート装置がある。
関節部は稼動しない為、細かい動きは出来ない。
また、歩行が出来ない為、飛行での移動のみになる。
自爆装置付き
製作者：コク
324 名前：名無しさん
また随分とピンポイントな装備だな
あの人らも2階攻略に乗り出してたのか
325 名前：名無しさん
見た目はともかく性能は十分そうだな
関節部が動かないとかキモイが
326 名前：名無しさん
棒立ちの鎧が浮いてゆっくりこちらへ向かってくるとか
ホラーじゃねーか
327 名前：名無しさん
デザインも西洋鎧だしな
雰囲気は出ていると思う
328 名前：名無しさん
お前ら、俺のリビングアーマーに謝れ
後ろで落ち込んでんぞ
329 名前：名無しさん
何でリビングアーマーと一緒に仲良くモニター見てるんだよ
330 名前：名無しさん
見てきた
便利そうなんだけど、1着20万DPは高いな
331 名前：名無しさん
仕方ないだろう
てか、良く技術規制に引っかからなかったな
332 名前：名無しさん
ここ以外では使えそうにないからな
その辺りが考慮されているんじゃないか？
333 名前：名無しさん
確かに
歩ければ別なんだろうけど、飛行のみとか1階の通路で使ったら頭ぶつける
334 名前：名無しさん
更に罠に引っかかって大惨事だな
そう考えればバランスはいいのか
335 名前：名無しさん
こういう装備が出てきたんだし
迷宮の封鎖が早く解けないかなー
336 名前：名無しさん
2階の敵の情報すら出ていないんだっけか
対策が取れないわ
337 名前：名無しさん
飛ぶ敵だろうけどな
そう考えれば天使とかハーピーとかその辺じゃないか？
338 名前：名無しさん
飛龍とか居るかも知れんぞ？
奴らがどこで羽を休めているのか解からんが。
339 名前：名無しさん
どっかに陸とかあるのかもな
入り口付近が空だったってだけで
340 名前：名無しさん
可能性は否定できないな
早く迷宮攻略したいよ
341 名前：名無しさん
中毒症状が悪化しそうだ
毎日手が震える
342 名前：名無しさん
迷宮に入れないだけでそんなになるなんて・・・
世界の方にダンジョンってないの？
343 名前：名無しさん
遺跡はあったな
そっちを調べて来るかなー
344 名前：名無しさん
それじゃ俺は魔王城でも攻略するか
良いモンスターがいたら捕獲しよう
345 名前：名無しさん
魔王さん逃げてー
346 名前：名無しさん
いやいや、魔王は捕獲しないぞ？
良い女だったら解からんけど
347 名前：名無しさん
女だったら結局捕まえるんじゃないか
しかし、この世界の勇者は空気だよな
348 名前：名無しさん
仕方ないだろ
魔王より魔王らしい奴や勇者より強い奴が居るんじゃ仕方ないだろう
349 名前：名無しさん
勇者も魔王も称号みたいなものだし
死んだらどんどん湧いてくるからいいんじゃないか？
350 名前：名無しさん
所でお前ら
>>323の自爆装置にそろそろ突っ込もうぜ
351 名前：名無しさん
え？標準装備だろ？
352 名前：名無しさん
基本だよね
353 名前：名無しさん
これがないと落ち着けないわ
354 名前：名無しさん
自爆装置のお陰で彼女が出来ました
355 名前：名無しさん
え？自爆すると彼女が出来るの？
買って来るわ
356 名前：名無しさん
南無
遂に刀が登場しました。
主人公は使えない上に見た目よりも威力を重視した無骨な刀になりましたが。
日本人ではなくファンタジーの住人がイメージから作った刀です。
どうしても硬い敵が多いので、斬るよりも叩く方に近いですね。
全身鎧
おい、ファンタジーとでも思っておいて下さい。
鎧は直立で関節も曲げられません。そんなのが飛んできたら異様な光景ですね。
