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迷宮と掲示板  作者: Bさん
オマケ
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オマケダンジョン7話

 それから約1週間経過した。未だネクとティアは目覚めず、介護の日々は続く。そろそろ目覚めるといいんだが……。


「スズキさん、飛行装備が完成したよ」


 コクが言ってくる。その完成が本当に完成なのか怪しいが、一区切りは付いたらしい。目の前に出してくるが見た目だけだと以前のものと大差が無い。レバーが付いたくらいだろうか。


「そうか、訓練場に行って試してみよう。誰か一緒に……」


 コタツでゲームをやっているタリス、パステル、エン、クウを見ると何やら負のオーラを出している。触れない方がいいだろう。


「コク、2人だけで行こうか」


 コクに言って2人だけで訓練場に向かう。



 訓練場で以前のように背にコクが背負う。どうやら自分で実演をしてみるらしい。スイッチを押すと相変わらず良く解からないものが噴射しているが、以前のような勢いはない。


 その場で高度を維持したり別の所からの噴射で左右に移動したりしている。上下左右に移動は出来るらしいが、細かい動きは出来ないようだ。これでは攻撃を上手くかわすのは難しいだろう。


「こんなもんかな。操作はそこまで難しくないからすぐに慣れると思う。だけど、近接武器や盾の使用は難しいかな」


 俺の出来ることが全否定された。古代魔法で頑張らないとならないのだろうか。それ以外で出来るとしたら投擲くらいしかない。俺は寝室へと向かうと、そこにはリムが居た。


「そろそろ起きるのかのぅ?」


 リムが言ってくる。俺はリムの頭を撫でるとそうだな、とだけ言う。しばらくリムと一緒にベッドで2人の観察を続ける。管理者に2人の状態を聞いたら食料とかは必要ないそうだ。魂の修復中は肉体的な消耗は起きないとの事。


「んん……」


 ティアが何やら声を漏らす。起きたのだろうか。俺たちはティアのもとまで行く。そしてティアと目が合った。


「おはよう」


 それだけ言って挨拶を交わす。ティアは上半身を起こしこちらに抱きついてきた。


「ご主人様、大丈夫?」


 そう言ってくる。ティアからしてみたらあの日の続きなのだろう。


「ああ、大丈夫だ。助かったよ、ありがとう」


 抱きしめ頭を撫でながら言う。長く抱きついていると別の方面でやばいので離す。ティアをリムに預ける。ネクの方を見るとどうやら目を覚ましたようでこちらをじーっと見ていた。


「ネク、怪我は大丈夫そうか?」


 そう声をかけると頷く。ネクはこの手の事で嘘を付かないタイプだから、本当に大丈夫そうだ。ネクの頭を一度撫でる。この感触には未だ慣れないが、撫でたい気分は抑えようが無い。


「さて、2人共立てそうか?」

 

 そう聞くと2人は立とうとするが出来ないようだ。1週間寝続けた訳だし、慣れるまで体が思うように動かないのかも知れない。俺はティア抱き上げ、リムはネクを支えるとコタツまで移動した。



 コタツに戻ると負のオーラを出している集団は解散したようだ。タリスはテレビを見ており他のメンバーは居なかった。ネクとティアをコタツへ入れると、リムに他のメンバーを呼んでくるように言う。


「2人共無事で良かった……」


 タリスが2人に声をかけている。どうやら1週間も眠っていた事に気が付いていないようだ。2人に現在の状況を話すと納得してくれた。


「次は倒す……」


 ティアが呟くとネクも頷いている。どうやらうちの前衛は負けず嫌いらしい。


 

 皆で夕食を済ませ、コクの作った飛行装備の実演を兼ねて紹介をした。メンバーは俺、エン、クウ、パステル、タリス、リムで行く予定だ。ネクとティアは弓を扱えるが、今回は魔法主体で行こうと思う。


「さて、迷宮の閉鎖が解除されないので当面はこの装備の訓練になると思う。行く予定のメンバーは戦闘で使える程度になるまで訓練をしてくれ」


 そう皆に告げるが、問題は俺だ。魔法が発動されるまで相手の攻撃に対して盾で殴るくらいは出来ると思う。逆に言えばそれしか出来ない。


 自分で魔法を使うと言う発想はない。才能はスキルとして買えるから才能が無いという言い訳は出来ない。


(何と言えば良いのか、あのモヤモヤした感じが嫌なんだよな)


 恐らく魔力が体内を流れているのだろう。その感覚がどうしても気に入らなかった。なので使わない。


 皆解散して各自好きな様に過ごす。ネクとティアはまだ体を動かすのが大変なのか、タリスと一緒にゲームをやっている。俺はコクの所へ投擲武器を作ってもらう為に向かった。


 

「コク、前の時の戦利品を忘れていた。受け取ってくれ」


 鉱石は3種類あった。1つは黒龍石、後2つは新しい聖魔鉱石、隕鉄だった。中二病の人が喜びそうである。


「これは……面白そうな装備が出来そうだね。楽しみだよ」


 コクの目が一瞬怪しく光る。見なかった事にしよう。ついでにもう1件頼む。


「次の階は遠距離が主体になると思うから投擲武器を量産してくれないか?魔法銀以上だと嬉しい」


 伝えるとコクの意識は新しい鉱石の方に向かっているのか生返事だけ返ってきた。今何を言っても無駄だろう。俺は一言別れを告げてそのまま鍛冶場を出る。


 

 夕食を食べ、俺たちは飛行装備の訓練の為、訓練場へと来た。試作機であるそれを俺は背負い起動スイッチを押した。背中の方から何か力がかかったと思うと俺の足が地面から浮く。


(これ……肩にくるな)


 背負っただけなのだから上半身の主に肩付近にかかる力が大きい。このまま使ったら1時間くらいで腕が上がらなくなりそうだ。これを何とも思わないドワーフ怖い。


「これって上半身全体に固定は出来ないのか?」


 全体に力が分散されれば少しはマシになる、と思う。左手前にあるレバーで手前に押し込むと高度が上がり、左右に倒すとそちら側に動く。これは面白い。


(まるでゲームの操作みたいだな)


 調子に乗ってレバーを一回転させてみた。すると俺は上下逆さまになった。


「うおっ」


 思わず声を上げ驚く。そしてレバーを手前に押してしまう。すると地面に向かって進み俺は顔を地面にぶつける。高度もろくに出ていないので怪我は無いが、飛行装備がずっと地面に向けて力を加えているので顔が凄く痛い。

 

「スズキさん、起動スイッチをもう1回押して電源を切って!」


 コクから指示が飛ぶ。俺は起動ボタンと思わしきボタンを見つける。


「これか!!」


 ボタンは1つしかなかったはずだ。勢い良く押す。


 すると背中の飛行装備が爆発した。俺は爆発の衝撃で訓練場の床へと投げ出される。命には別状はないだろう。死んで消滅して移動する事はないようだ。ただ凄く痛い。背中が焼けるように痛い。


(せめて一思いにやって……)


 威力が中途半端だ。これでは半殺しだ。一瞬で死ねれば痛みは継続しないだろう。


 パステルとクウがこちらへ走ってくるのが見える。2人とも丈が膝より上のスカートなので視界は良好だ。


 そのまま治療を受ける。傷が背中なのでうつ伏せだ。せめて横を向きたい。そんな下心を出していると治療が終わり痛みが消えた。2人の神聖魔法はかなりのレベルまで上がっている為、傷もないのだろう。


「2人ともありがとう」


 2人に礼を言い、コクの方を向くとこちらと目を合わせようとしない。


(これは後でお仕置きコースだな……)


「コク、これは自爆装置か?」


 怒りを隠し、冷静を装ってコクに聞く。コクはこれ以上誤魔化しきれないと観念したのか諦めてこっちにくる。


「うん、スズキさん、素晴らしい爆発だったよ」


 全然反省していないようだ。それなら遠慮はいらないだろう。


「皆、練習用の装置が壊れてしまったから今日の訓練は終わりだ。コク、鍛冶場に行くぞ」


 そう皆に伝え、解散していく。どうやら皆、察してくれたようだ。コクを脇に抱え俺は鍛冶場へと向かった。


 

 

 翌日、朝食を終えてミーティングに入る。コクは眠そうだが気にしない。


「今日は特に何もなしだ。練習用の飛行装備はないので、訓練も出来ない。好きな様に過ごしてくれ」


 皆に何も無い事を告げる。迷宮もなし、訓練もなしである。コクはそのままコタツで寝てしまった。さすがに昨日は無理をさせてしまったらしい。


(俺も眠いしもう少し寝るか)


 どちらかと言えば昼寝というより二度寝に近そうだ。俺がコタツへ寝転がるとティアが俺の右腕に抱きつき、リムが俺の左腕に抱きついた。どうやら一緒に寝るようだ。


 そのまま俺たちは午前中ずっと寝てしまった。



 気が付くとコクが居なかった。ティアとリムはそのままの姿勢だ。起きているのか寝ているのか良く解からない。まどろんでいるのかも知れない。そろそろ日課の調合をする為に2人に声をかけ席を立つ。リムとティアは何か思いついたのかどこかへ移動したようだ。


 調合の為に薬草をすり潰す。


(何かいいよね。このリズム感のある潰し方)


 性的なものではないが、変な趣味に走りそうだった。水を入れるといつもの様にどこからか瓶が出る。それに薬液を入れていく。


(そろそろ別の作り方をやってみるかな)


 薬草の知識には複数の薬草を混ぜ合わせたものがある。もしかしたら変な……ではなく効果の高い物が出来るかも知れない。ここに無い薬草もどっかの王都で買えばいい。


 久しぶりにパソコンの本の一覧から高めの調合図鑑を調べる。


(調合レシピ極?なんだこれ)


 もしかしたら最高ランクの薬品の作り方なのかも知れない。興味が出たのでそれと通常の図鑑を買う。2冊の厚い図鑑と薄めの冊子が出てくる。どうやらレシピはそんなに多くは無いらしい。


「さて、何が書いてあるかな」


 図鑑の方は何となく予想が出来る為、後で確認すればいい。レシピ極を開く。そこには


・拘束薬:身動き出来なくする。麻痺とは違う為、感覚は残ったまま。拷問などで使用すると便利。他の薬品と併用可。

・気付薬:気絶をさせない。気絶した人を起こすのではなく、気絶自体をさせない。拷問などで連続して苦痛を与えるのに便利。他の薬品と併用可。

・感覚強化薬:与えられた感覚を強化する。これを使って痛みを与えるとかなりのモノになる。拷問などで大活躍する。他の薬品と併用可。

・瞬時回復薬:一瞬で完全回復する。部位欠損まで直る為、回復薬としては最高峰。拷問などで大活躍する。他の薬と併用可。


(これは……凄い性能だな。しかし、著者は拷問が好きなのか?)


 拘束し、気絶もしない。痛覚が増加し、酷い扱いにも回復薬で瞬時に回復。酷い拷問になるだろう。別々で考えれば回復薬は便利だし、気絶せずに戦えるというのは激戦ではかなり良いだろう。


(ただ、拘束と感覚強化がなぁ……ハッ!!そういう事か!!)


 俺は気が付いた。気が付いてしまった。拘束し、気絶も出来ない。感覚を強化されるという。その組み合わせはつまり……!!


 俺はにやける表情を止める事もせずに調合をする為、世界中を回った。全ては俺の欲望の為に……。



--------------------------------


調合スレ part120


447 名前:名無しさん

俺は・・・俺は遂にやったぞ!!


448 名前:名無しさん

何だ?何をやらかした


449 名前:名無しさん

拘束薬で動きを止め、気付薬で気絶をさせず

感覚強化薬で感度を増す


そんな薬品を作るのに成功した!!


450 名前:名無しさん

なん・・・だと・・・

今までの拘束用の薬品だとどうしても麻痺していたな


451 名前:名無しさん

気絶させないとかある意味やばいな

拷問じゃねーか


452 名前:名無しさん

どこでそんなレシピを知ったんだ?

作りてーわ


453 名前:名無しさん

レシピの話は職人関係スレではNGだぞ


454 名前:名無しさん

そうだった、すまん

だけど、これだけは言わせてくれ

売ってくれ


455 名前:名無しさん

作り方は気になるけど効果は本当に表れたのか?

半端な品物だとつまらんぞ?


456 名前:名無しさん

出品した

ほぼ原価だからこれ以上は安く出来ない

俺は既に試したけど凄い効果だったぞ


457 名前:名無しさん

ちょwwwwwたけぇよwwwwww

1個当たり3万DPとか消耗品にかける金額じゃない


458 名前:名無しさん

効果時間は?それによるが・・・


459 名前:名無しさん

大体3時間くらいだな

効果が高すぎてそれ以上だと被験者が耐えられないと思う


460 名前:名無しさん

そんなにこの薬がやばいのか

そんなにやばい使い方をしたのか解からんけど


461 名前:名無しさん

うーん、効果は魅力的だよな

高いけど試してみるわ


462 名前:名無しさん

良くこの閉鎖中でそこまで出せるな

稼げないから辛いだろうに


463 名前:名無しさん

今を逃して買えない方が悔しいしな

今晩試してみるわ


464 名前:名無しさん

毎度ー楽しい夜になるといいですね?


465 名前:名無しさん

ああ、今日は性神の力を解放するわ


466 名前:名無しさん

性神取得者かよ

これは使い魔が耐えられるのか?


467 名前:名無しさん

一応、数人に分けて使った方が良いぞ

効果時間は短くなるけど、1人に使って性神の相手をさせたら廃人になりそうだ


468 名前:名無しさん

もはや性神は伝説だからな


469 名前:名無しさん

もうそっちの世界では宗教が出来上がったんだっけ?


470 名前:名無しさん

え?ああ、何故か崇められてるぞ

ちょっと2、3個の国を襲っただけなのに


471 名前:名無しさん

襲ったのかよ

性神怖いな


472 名前:名無しさん

子供に悪い事をすると性神がくるぞーと教え込むのか


473 名前:名無しさん

それって倫理的にどうなんだろう?


良く解からないモノはロボットモノで見る様な青い炎のようなモノではなく

黒い何かです。だから良く解からないモノと形容されています。

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