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迷宮と掲示板  作者: Bさん
1章 石の迷宮
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8話


(次はスキルと施設増強だな)


 スキルの罠解除は必須だろう。罠の種類も解除で解かるらしい。

 ただ失敗する事もあるそうだから過信は出来ないそうだ。

 これで罠解除で100ポイント使う。


 怪我した時に服に血がついたんだっけか。もう乾いてバリバリになっているが気分のいい物ではない。

 そうなると洗濯か風呂辺りか。無限箱に石鹸とかもあるな。

 簡易風呂400ポイント、石鹸箱1個/1日100ポイントを使う。

 石鹸が毎日出ても困るが、最小でこれらしい。

 食事関係は、パンは6時間ごとに1/2斤、肉は100g程現れる。一応肉は牛肉と表記されているが気にしない方がいいだろう。

 肉の種類に牛、豚、鶏以外にも熊やトカゲまであって驚いた。調理する環境も知識もないので選ばなかったが。


(あと100ポイントか……)


 100ポイントだと野菜、調味料などのどれか1種しか取れない。

 折角だから胡椒でもとっとくか。塩だけだと味気ないしな。

 これで全て使い切った。


「さて、飯でも食うか。ネクも食べるよな?」


 ネクが頷く。無限箱を確認するとパンは1斤、肉は200gほどあった。

 どうやら気が付かない内に半日過ぎていたらしい。


 肉に塩と胡椒をかけ窯に放り込む。パンを半分にし、それをネクに渡す。

 

(骨ってどうやって食べるんだろう……)


 パンを千切り、口に運びながら考える。ネクはパンを顔に近付ける。そして、顔にくっつく寸前でパンが粒子になって消滅した。


「え?食べたのか?」


 ネクは頷く。口に入れる訳ではないらしい。生気を吸収するとかそんな感じなんだろうか。


「あ、味はどうだった?」


 首を横にかしげ、悩むような困るような仕草をした。骨だから可愛気はないが。

 どうやらイマイチだったらしい。

 そうしている内に肉が焼けた。半分食べ半分をネクに渡す。味はそんなに良くは無い。質の悪い肉に塩胡椒を振っただけだしな。

 先程と同様に顔に近付けて肉を消滅させるネク。すると納得したように頷く。もしかしたら肉の方が好みなのかもしれない。


(肉を食べる骨ってどんな光景だよ……)


 風呂を作った事を思い出し、風呂場に入ってみる。

 最低の風呂を設置したから砂風呂とか五右衛門風呂かも知れないと思っていたがユニットバスだった。

 ただ、築4、50年くらい経って老化しているのをイメージして欲しい。ぶっちゃけ汚い。


(……ないよりはマシだ)


 石鹸を使い、手で擦りながら風呂を掃除し、お湯を張る。

 風呂場は脱衣所まで完備された部屋で思ったより広い。曲りなりにも400ポイント相当らしい。

 着ていた服をそのまま風呂場にもって行き石鹸で血と汚れを落とす。

 服は傷むかもしれないが、汚れたままよりはマシだろう。


(遠くない内に、布と裁縫で服を作れるようにならないとな)


 と言ってもやり方は一切解からないので使い魔任せになりそうではある。

 体を洗い、十分温まったら服を絞り脱衣所に戻る。


(あ、着る服が無い……)


 当然である。着の身着の儘でこの部屋に閉じ込められたのだ。下着すら洗ってしまったので、肌に直接鎧を着込み大部屋に戻る。

 ネクが訝しげな目を向ける。


(そういえば女なんだっけか)


 骨だからすっかり忘れていた。


(気にしても仕方ないか)


 ネクがそのまま風呂場に向かう。


「え?ネクも風呂に入るの?」


 ネクが頷く。骨なのに風呂に入るとか出汁が取れそうだ。人骨からは取る気はしないが。


「いってらっしゃい」


 ネクが満足そうに頷くとそのまま風呂場へ消える。白い骨を更に白くするつもりなんだろうか。

 それは本人だけが知る事である。


「先に寝るか。この格好は変に露出が高いから恥ずかしいし」


 ベッドに寝転がり、掛け布団代わりの薄い布に包まる。

 以前より慣れたとは言え、疲れている事に変わりは無い。すぐに睡魔はやってきた。


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「ふぁぁぁぁぁ」


 目を覚まし、欠伸をする。上半身を起こし、周りを見る。隣に女(骨)が寝ていた。

 思わず声を上げそうになる。目が覚めたら女が横に寝ていたというシチュエーションだが、相手が骨とかどう見てもホラーである。


(声を出さなかった俺を褒めてあげたい……!!)


 起こさないようにベッドから抜け出す。この思いを誰かと共有したいと思い、掲示板を立ち上げる。


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雑談スレ part 7


877 名前:名無しさん

やっぱり鎚だよな!!


878 名前:名無しさん

鎚とかマイナーすぎるだろ

弱くは無いんだろうけどさ


879 名前:名無しさん

実際使うと初心者向けでいいぞ

まぁ、ここの場合スキルがあるから他の武器でも十分いけるが


880 名前:名無しさん

なんてこったい

スキル、許すまじ・・・


881 名前:名無しさん

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!


『朝起きたら、隣に骨が眠っていた。』


な… 何を言ってるのか わからねーと思うが

おれも何をされたのかわからなかった…

頭がどうにかなりそうだった…

催眠術だとか超スピードだとか

そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ


もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…


882 名前:名無しさん

朝チュンおめ


883 名前:名無しさん

骨に手をだすとかすげーな


884 名前:名無しさん

よし、ここに881の墓を立てよう

一緒に眠ってやれ


885 名前:名無しさん

実際、ベッドで寝ないと回復しないのだから

ベッドが1つしかなければ一緒に寝るのはどうしようもないがな


886 名前:名無しさん

そういやそうだな

でも朝起きて骨が隣に寝ているとかホラーじゃねーか


887 名前:名無しさん

夜中に目を覚まさなくて良かったな

常に部屋は明るいが


888 名前:名無しさん

881が一緒に寝るように言ったんじゃね?

勝手に使い魔がベッドに入るなんてないぞ


889 名前:名無しさん

やっぱり、881の趣味か


890 名前:名無しさん

ちょ・・・ちが・・・


891 名前:名無しさん

恥じるなよ

後ろを見てみろよ

愛すべき骨がいるだろ?


892 名前:名無しさん

その後、881を見た者はいなかった・・・


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 思わず後ろを振り向いてしまう。そこにはネクがいつものように直立不動で立っていた。

 今回もまたニヤリと笑っていた気がした。

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