1話
他の小説の方々に触発されて書いてみました。
初投稿になります。宜しくお願いします。
ピピッピピピッ
目覚ましに設定していたアラームが鳴る
「……朝か」
二日酔いで痛む頭を振りベッドから体を起こす。
そして、目を開けると・・・・・・
目の前に扉があった。
「何だこれ……」
そりゃ、室内なのだから扉があるのは当然だと思うだろう。
だが、その扉は壁にあるのではなく空中に浮いていた。
扉自体に浮いている以外には不審な所はない。
ただ浮いているだけである。
「これ……邪魔だな」
何せ部屋のど真ん中にどーんと浮いている。
中々の存在感だ。
「良く解からんけど、開けてみるか」
普段であればこんな不審物をこんな簡単に手を出したりしないだろう。
二日酔いで痛む頭はその程度の判断すらも失わせる。
何の変哲もないレバー型のドアノブを持ち扉を開ける。
ガチャ
そこには石造りの部屋が広がっていた。
後ろを見ると自室、正面を見ると石造りの部屋である。
軽く混乱しながら、未だ完全に覚醒していない頭を振り足を上げ部屋に入ってみる。
部屋は大体30畳程だろうか。部屋の奥には巨大な扉があり、その近くに何かの台がある。逆に言うとそれ以外何もない。
とりあえず、奥の扉は何か威圧感を放っているのでその近くにある台の方に行ってみる。
そこにあったのは、パソコンだろうか。何かを映せるようなモニターとキーボード、マウスがある。
「今時モニターがブラウン管とか」
思わず懐かしさの余り苦笑してしまう。そして、何となくキーボードのキーを押してみるとモニターが点灯する。
「うおっ」
突然の光に驚いてしまう。
モニターの画面を見ると日本語で”ようこそ、迷宮へ”と映し出されている。
(迷宮という事はこの扉の先は迷路か何かになっているのだろうか?)
威圧感を未だ放つ扉を見ながら思う。
(っと、この先は帰ってきてからだな)
今日は平日である事を思い出し、出社の準備をしようと入ってきた扉の方を向く。
「あれ?」
振り向くと石の壁しかない。部屋を見渡しても扉は例の威圧感を放つ扉とパソコンのみしかない。
(まさか、閉じ込められたのか……?)
数秒だろうか、呆然としているとパソコンからこっちを見ろとばかりに音楽が鳴り出す。
何事かと思いパソコンを見ると……
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ようこそ、迷宮へ。
貴方の事を心から歓迎します。
目的を果たすまで、貴方はここから出る事はできません。
諦めて迷宮探索を行ってください。
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(マジかよ・・・)
いきなりの理不尽さに唖然としてしまう。
数秒経過し、気を取り直し何が出来るか考えてみる。
(あるのはこれくらいだな)
扉以外にはパソコンしかない。説明か何かあるんじゃないかとパソコンの前に座る。
キーボードを押してみると、画面が切り替わった。
そこには
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
・マニュアル
・掲示板
・売買
・ステータス
・???
・???
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(マニュアル……説明書か)
迷わずマウスでクリックする。すると画面にびっちり文字が出てくる。
(契約書かよ)
面倒だが職業柄、俺はこういった文章は全てちゃんと読むタイプだ。
要約すると
目的
迷宮の最下層まで踏破する事。
ルール
1.プレイヤー、使い魔全員にスキルを覚える能力が与えられる。
2.目的を果たすまで外に出ることは出来ない。
3.他者とはコンソール以外での交流は出来ない。
4.プレイヤー、使い魔は死ぬと拠点に強制転移され復活する。(プレイヤーが真っ先に死ぬと使い魔も一緒に戻される)
5.死亡時、その探索で獲得した品物は失われる。(前の探索までに獲得した装備品やアイテムは消滅しない)
6.各階層のボスを倒すとショートカットが出来る。
7.スキルは1人10個まで。消去出来るが同じのを再度セットしてもLV1からになる。
死ぬ事はないらしい。まずは一安心である。
だが、現代人の俺にいきなりモンスターと戦えとか無理な話だ。
スキルというのがどんなものかは解からないが、サポートはしてくれるらしい。
使い魔というのがあり、1人でやれという訳ではなさそうだ。
次はコンソールの機能の説明に移る。
1.ダンジョンポイント(以下DP)を消費し、部屋の拡張、家具の購入、装備の鑑定などが出来る。
2.掲示板の閲覧、記入が出来る。
3.攻略の進行によって開放される機能がある。
最後に迷宮の説明に移る。
1.モンスターを倒すと経験値が貰え、一定数溜まると種族やスキルのレベルが上がる。
2.1階層は5階で区切られていて、階層毎に全く違う迷宮になる。
3.モンスターを倒すとDPを得られる。
4.生産スキルを使っても経験値は貰える。
5.迷宮へはプレイヤーを含め6人までしか同時に入ることが出来ない
以上がマニュアルに記載されていた説明になる。
(まるでRPGみたいだな)
昔一時期流行ったダンジョンRPGに近い感じだろうか。当時は良く遊んだものだ。
死ぬ事がないという安心感からか大分緊張が薄れていて楽しくなってきた。
(次はステータスを見てみるか)
名前:スズキ
性別:男
種族:人間LV1
職業:プレイヤー
種族適正
なし
職スキル
経験値全体化(待機メンバーにも経験値が入る)
テイム(弱った敵に拘束アイテムを使うと使い魔に出来るかもしれない)
マッピング(自動で作られるマップを表示出来る)
スキル
なし
装備
武器:なし
盾 :なし
頭 :なし
胴 :布の服
足 :なし
装飾:なし
名前、種族、職業、種族適正は特に目立った所はない。名乗り忘れていたが俺の苗字は鈴木だ。
目に付くスキルがマッピング。手作業で書かなくても自動らしい。
(見事に戦闘関連のスキルがないな)
武術なんてやった事はないので、当然といえば当然である。むしろ、あった方が驚きだ。
話術やスポーツは含まれないようだ。
(スキルとか家具とか買った方が良いんだろうけど、とりあえず掲示板でも見てみるか)
パソコンを操作し掲示板をクリックするとスレッド一覧という項目が出てきた。
一覧と言っても雑談スレッドしかなかった訳だが……