Game set.
ガルガンディ・スケアロウ攻略6日目。
一日で倒せないほど強力なモンスターに流石に俺もビビった。
俺のレベルは、53。
100までレベルがある中のちょうど半分ってとこだ。
だが、モンスターは真逆だ。
俺が53なのに対し、あちらは75みたいだ。
いや、どう考えても普通の人間ー素人じゃ倒せない相手だ。
俺はその不可能を可能にするのが好きな人間だから、こういった戦いは好きである。
さて。どう戦うか・・・
コマンドは、攻撃、特殊攻撃、回復の3つか。
いきなり特殊攻撃にするか・・・
ピッー
コマンドを押したその時。
俺の武器であるこの剣に青い火が宿った。
そのまばゆい光を放ちながら、俺は剣を振り下ろす。
那由他も協力してくれるみたいで、共に剣を振り下ろした。
すると・・・
ホンの5秒ぐらいの出来事だった。
瞬時にモンスターは、真っ二つに切れた。
「す、スゴい・・・」
那由他が呆然として立っている。
「な、何だよ。これ・・・それでもゲームかよ・・・」
俺もそんな言葉しか言えなかった。
「お、お兄ちゃん・・・スゴいよ・・・75のモンスターを倒すなんて・・・」
里奈も言葉が出ないみたいでタジタジだった。
クリアしたのに7日もかかるなんて・・・よほど苦労したモンスターだな。
さて。安全圏に戻ろう。
この近くとはいえ、まだ2フロアだから1フロアに戻るか進むか・・・だな。
ん⁇あ、里奈が行きたいと言っていた50フロアに行くか。
えっと・・・ブルーユナイト・・・
ダンジョンではなさそうだ。
よし。テレポートしよう。
《転層‼ブルーユナイト‼》
叫ぶと一瞬で50フロアに着いていた。
「ここが・・・ブルーユナイト・・・」
里奈が目を輝かせていた。
俺は特にこのフロアについては、何も思わないが・・・
「那由他。里奈。これからブルーユナイトに行こう。少し休んだ方が楽だと思うから」
「そうだね。リクも無理しちゃだめだよ。」
「そうだよー。お兄ちゃん。お兄ちゃんは、このゲームをクリアしたいんだもんねー」
「ああ。とはいえ、俺と那由他は進むよ。里奈は、ゆっくりしていて構わないからな。」
「うん。分かった。気をつけてね。・・・死んじゃ、ダメだよ・・・。」
「ぷっ・・・分かってるよ。必ず戻るから。現実世界に。」
「うん・・・絶対、絶対だよ。お兄ちゃん」
「ああ。約束な。」
俺と那由他は、ブルーユナイトを離れた。
後ろから微かに里奈の泣き声が聞こえた。
俺は振り向かず、ブルーユナイトを後にした。
「さて。次は?」
「ま、待って・・・私も疲れたよー。休もう⁇」
「しょうがねーなー」
「やった‼」
俺と那由他は、近くのホテルに泊まった。
那由他のわがままに付き合うのも、あと何年だろうか。
静かな休日は、1ヶ月しかなかった。
その後、俺らの目の前で悲劇が起こった。
このゲームにログインしてから絶対に知らされなかった・・・
《死は、生身の人間を破壊する》ということを。
その言葉が意味するのは、その後の悲劇の出来事のコトである。