攻略組の企み
ガルガンディ・スケアロウ1F。
初のダンジョンとなるこの地だが、視界に入るのは薄暗い洞窟だけだ。
もう今レベルの高いモンスターが出て来て当然な状況だ。
俺のそばでただ一人おびえて、震えている少女がいる。
妹の里奈だ。
里奈は、学校に設置してあるパーツ・ステーションからログインしてこちらの世界にダイブしてきたらしい。
いつまでも俺の腰の位置まで体を下げているというのは、流石に怖がりすぎなんじゃないかと思うのだが。
そして、もう一人。俺の右腕側に同じく腰の位置まで体を下げているヤツがいる。
幼なじみの朝木那由多だ。
俺は、こいつらの怖がりっぷりに飽き飽きしてきた。
それにしても、この洞窟はよく出来ているな〜っと自分でも感心を持つ。
・・・と、少し歩いていたら人影が見えてきた。
「うっわ。来ちまったよ。やべぇじゃん。俺らが攻略組っつーコトバレちまう。」
攻略・・・組⁇
その言葉を耳にした時、急に感情が溢れてきた。
怒りという感情だ。
俺は、このゲームの主をスゴく恨んでる。
攻略組というのは、このゲームのスタッフ及び体験版プレイヤーだというコトが分かる。
彼らのHPバーは水色だった。
水色・・・というのは、このゲームで言うゲーム関係者というコトだ。
とすると・・・
殺れるのか。あいつらを・・・
はっ・・・じゃあ、都合がいい。軍を率いてとどめをさせてやる。
但し、もしそれがフロアボスだった場合には、決してダメージを与えることができない。
そう。少し自分がくらっても。
攻略組は、一体何を考えているのだろうか。
気になって仕方がなかった。
ガルガンディ・スケアロウクリアまで、
あと7日。
ちなみに、クリアを早くしない限り報酬は没収である。