異世界への入口
俺は、あの《パーツ・リンク》という呪文を唱えた。
すると、そこには現実世界ではない異世界が広がっていた。
現実は冬なのに、こちらの世界は桜が咲いていて、暖かい風が吹いている。
まるで、春のようだ。
だが、1つ気になったのが自分の家とその周辺の街並みが広がっていないコト。
「あれ⁇君って・・・梨玖⁇」
「な、那由多⁉なんでお前が‼」
「そ、それはこっちのセリフだってば‼」
「俺は、ただ普通に《パーツ・リンク》って言って来ただけだよ」
「あ、私も・・・」
っと、雑談を交わしてる時運営側から謎のメッセージが入ってきた。
『プレイヤー諸君。ようこそ、我がキューブ・パーツ・キングダムへ。』
キューブ・パーツ・キングダム⁇
それがこの世界の名前なのか。
『君たちは、このゲームをクリアしなければならない。もちろん、セーブ機能付きだよ。』
へぇ・・・
最近でいうARみたいなモノか。
面白そうだな。
「ねぇ、梨玖。大丈夫なの⁇」
「え⁇何が⁇」
「だ、だから、この世界のコト」
「ああ。男にはたまらないな。」
「そ、そういう問題じゃなくてさ〜・・・」
『では、諸君。健闘を祈る』
プツン。
運営側の放送が終わった。
俺は、一度ログアウトしてみようと思っていつもスマホをタッチするかのように、空気中をちょんと触った。
ウィンドウが出てきて、下にスライドするとログアウトボタンがあった。
ピッ
押した瞬間、光が俺の全身を包んだ。
「え⁇ちょっと梨玖⁉勝手に落ちるなんてヒドイよ〜‼」
那由多のその一言が聞こえた時、俺はもう消えていた。
目を開けると、キューブ・パーツ・キングダムじゃなく、俺が知っている街並みがあった。
目の前には、パーツ・ステーションがあった。
パーツ・ステーションとは、パーツをセットしてそこから、QPKへフルダイブできる置き型の機器だ。
那由多も俺に継いで出てきたのか、俺の隣にいた。
「よかったね。戻れて。」
「ああ。・・・はっ、面白いじゃん。」
「へ⁇」
「QPKがだよ。」
「えーー⁉」