謎の部品
ミステリアス・パーツ。
それは、人々の心の中にある不思議なパーツ。
その名の通り、謎のパーツ。
パーツは、パズルのようになっていて、合わせると何かが起きるというホントに不思議なパーツ。
俺、飯室梨玖もそのミステリアス・パーツを持っていて、幼なじみの朝木那由多もミステリアス・パーツを持っている。
あの某パズルゲームの欠片みたいな形のパーツは、人それぞれ色が違う。
俺は黒で、那由多がピンク。
黒は、目立たないからネックレスとして使用していても怒られない。
那由多は、ピンクがお気に入りのようで話を聞くと、いつもパーツと一緒に寝ているという。
俺はそんなマネは、一切しないが、那由多はどうかしてると思う。
まあ、そんなことはともかく。
俺のパーツと那由多のパーツは、くっつかない。
何度も方向、角度を変えてみてもくっつかなかった。
じゃあ、一体誰が俺らが持っているパーツとくっつくというんだ。
探さなければ。
それに、今ニュースでこのパーツのコトをスゴく取り上げられている。
見ててとても回りくどいニュースばかりだ。
だが、現実はこのパーツを互いに奪いあうという犯罪事件が多数ある。
皆、自分のパーツをくっつけたくて奪い合いをしている。
俺は、そんなことはしたくない。
けど、那由多が別のヤツのパーツとくっつくのは、少し寂しく感じる。
「ねぇ、梨玖。私のパーツって誰とくっつくのかな⁇イケメンさんかな⁇」
「誰ともくっつくなよ。」
「え⁇何⁇よく聞こえないんだけど」
「あ、いや、なんでもない。」
「ふーん。怪しいな、、、」
「・・・」
お前とくっつきたい。そう言いたかったのに、くっつかないコトを知っているから言えなかった。
翌朝、俺は朝のニュースを聞いていた。
テレビが復旧せずに電力会社も何もしない、この不愉快な世の中だから、基本ラジオやワンセグが当たり前である。
『次のニュースです。今話題のミステリアス・パーツ。その秘密が少しずつ明らかになってきました。』
俺はテーブルに身を乗り出した。
そこには、俺が知らない研究家らしき人がいた。
『このミステリアス・パーツは、それぞれのパーツを首にかけた状態で “パーツ・リンク‼ ”と叫ぶコトで、このパーツの世界に入るコトが出来ます。
アバターも自分で決めて下さい。』
アバター⁇
それじゃ、オンラインゲームじゃないか。
まあ、いいや。
じゃあ、お言葉に甘えて叫んでみよう。
『パーツ・リンク‼』
数秒後、そこには現実でない世界が現れていた。
俺は、しばらくそこを動かなかった。