表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
働きすぎた社畜、死んだらダンジョン核に転生して魔王に!? 〜自由に生きてたら、気づけば勇者と結婚してました〜  作者: 烏羽 楓
第五章 自由と欲望の戦い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/62

第46話「狂気と理性の狭間で」

 刃が交わり金属音が響き渡る。


 俺の剣撃を弾き返すとアキラの剣が再び閃光を描く。

 耳を裂く風切り音と共に、死線が空気を裂いた。


「――ッ!」


 紙一重で身をひねり、回避。

 頬に熱い感覚が走る。血が一筋、地面に落ちた。


「やっぱり、お前は危険だ。魔王ヴァルト」


 アキラはそう言いながら睨み付けてくる。しかし、どこかおかしい。目が、焦点を結んでいない。

 その視線の奥にあるのは、俺でもリルベアでもない――美月だ。


「先輩は俺が守る。……いや、俺のものだ。絶対に誰にも渡さない」


 剣を構えたまま、アキラは恍惚とした声でつぶやく。

 その言葉に、思わず歯噛みした。


「守る? 笑わせるな。お前のそれはただの執着だ」


 低く吐き捨てると、アキラの笑みを浮かべる。


「執着でもいい。愛ってのはそういうものでしょう?」


 ゾッとするほど真っ直ぐな声だった。

 次の瞬間、地面を蹴り、アキラが瞬間移動したかのような速度で迫る。


「ヴァルト!」


 リルベアの警告が飛ぶと同時に、俺は剣を横に払った。

 火花と火花がぶつかり合い、衝撃が腕を痺れさせる。


 ――速い。

 剣速も、間合いの詰め方も、常人のそれじゃない。


「くっ……!」


 押し込まれそうになるが、その瞬間、リルベアの魔力が爆ぜた。

 風刃が斜めに走り、アキラの背後から襲う。


「っと……!」


 アキラが跳び退く。

 床が切り裂かれ、砂塵が舞い上がった。


「ふふ……やるじゃないか。さすが“魔王”ってところかな?」


 アキラが息一つ乱さず、剣をくるりと回す。

 今の一撃を完全に見切られたわけじゃない――リルベアの狙いは当たっている。


「行くぞ、リア!」


「うむ!」


 俺は剣を構え、リルベアと同時に駆ける。

 風刃と斬撃の同時攻撃。互いのタイミングを合わせ、アキラを挟み込む。


「ははっ、いいね……!」


 アキラは笑いながら、その全てを受け流した。

 刃と刃が火花を散らし、剣風が回廊を切り裂く。


「っ……!」


 わずかに肩に痛みが走る。

 見れば、いつの間にか服が裂け、血が滲んでいた。


「油断するでないぞ!」


 リルベアが魔力を練り、再び風を巻き起こす。

 アキラの動きを牽制するように、回廊全体に鋭い突風が吹き荒れた。


「おっと……!」


 アキラが笑いながら後退する。

 だが、恐怖は一切ない。むしろ楽しんでいる。


「こんなに興奮する戦い、久しぶりだ!」


 剣を構え直し、瞳に狂気の光を宿す。


 その瞬間、結界越しに轟音が響いた。

 向こう側ではクゼスと美月が激突しているらしい。ゼトスの魔法の衝撃と共に結界が不気味に震えている。


「……くそ、長引かせると不味いな」


 汗を拭う暇もなく、俺は小さく息を吐く。

 胸の奥で渦巻く怒りを、ゆっくりと静めるように。


 ――集中しろ。怒りに呑まれるな。


 剣を握る手に、じわりと力が入る。

 リルベアが横で魔力を練り直し、わずかに口角を上げた。


「次で決めるぞ、ヴァルト」


「……ああ」


 俺は視線を前に据え、アキラを睨みつける。


 殺気が全身からあふれ出し、フロアの温度が下がったかのように冷える。


 剣が再び輝く。

 次の一撃が、戦いの天秤を決める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ