表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
働きすぎた社畜、死んだらダンジョン核に転生して魔王に!? 〜自由に生きてたら、気づけば勇者と結婚してました〜  作者: 烏羽 楓
第二章 動き出す利権争い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/62

第18話「青焔の一閃、そして現る災厄の影」

 タンク役の冒険者――筋骨隆々の大盾使いが、正面から飛びかかってきた第二形態のオーガキングと衝突した瞬間、空気が震えた。


 ズドォン!! と鈍い音が階層に響く。


 が、当然のように──


 加速が乗ったあの体格からの突進、質量と速度の暴力に人間の身体が耐えられるわけがない。

 案の定、タンクは吹き飛ばされ、石床を転がりながら柱に叩きつけられて停止した。


 モニター越しに見てる俺ですら痛みを感じそうだった。


 ていうか、生きてんのか……?


 だが、それを待つ間もなく、前衛の剣士が駆ける。炎を纏ったロングソードが閃光のように振るわれ、オーガキングの肩口を斬り裂いた。


 轟音とともに火花が散る。

 即座に距離を取る剣士。


 冒険者の動きに対応するように、オーガキングも身を翻し、再び膨大な魔力を拳に込めて構え直していた。


 だが、ここで後衛が動いた。ヒーラーの少女が魔力を練り、即座にタンクへ回復魔法をぶち込む。

 ぐん、と体が跳ねるようにタンクが立ち上がり、再び前衛へと戻った。


「全体強化バフ、入れます!」


 少女の詠唱が終わると、全員の身体が淡く発光した。攻防両面を引き上げるバフスキル……チームの質が高い証拠だ。


 ……思ってたより優秀だ。立て直しが早すぎる。


 一度でオーガキングの挙動を把握した彼らは、すぐさま連携を取り直し、再び攻勢に出る。


 一手。

 また一手。


 攻撃が続くたび、オーガキングの巨体が翻弄されていく。


 その攻撃の波の中、剣士の剣が再び燃え上がった。その勢いが強くなり、青白い炎へと変化する。


 瞬間、剣士が低く構えた。足元に魔方陣が展開され、魔力が渦を巻く。空気が揺らぎ、炎が絞り込まれ剣先へと集まっていく。


 ――青焔・一閃。


 次の瞬間、剣士の姿が霧のように消えたかと思えば──


 ズバン!!!!


 青い閃光が描いた斬撃は一直線にオーガキングの首を捉え、剣士の姿がその向こうに現れたのと同時に、巨大な肉塊が地面に落ちる。


 オーガキング、沈黙。


 階層は深い静寂に包まれた。


「……やった……か?」


「終わった?」


 冒険者たちが息を整えながら周囲を確認し始める。緊張の糸が、緩みかけた――そのとき。


「ゼトス!!」


 思わず、俺の声がモニター越しに漏れた。


 モニターの片隅で、黒い影がゆらりと現れたのだ。


 冒険者たちの死角──オーガキングの死体の影から、巨大な狼の姿が浮かび上がる。灰色の毛皮。赤く光る双眸。

 凍狼王ゼトス。レイラと対を成すイレギュラーボスの一角にして、討伐記録ゼロの災厄級魔獣。


「おいおい、嘘だろ。イレギュラーエネミーって、ボス部屋にまで入ってくんのかよ……」


 モニター越しに聞こえるのは、タンクの呆然とした声。


「流石にきつくないですか……。魔力量も、そんな余裕ないですよ……」


 ヒーラーの顔も青ざめている。でも、パーティーの中で一人だけ、まだ冷静な声があった。


「大丈夫だ。奴の戦いは、想定していた。準備はできている」


 剣士が、再び剣を構えた。


 ああ、そっか。こいつら──

 ……マジで、S級なんだな。


 仲間同士で視線を交わし、ひとつ、またひとつ、呼吸を合わせる彼ら。

 その眼差しに、怯えも、迷いも、ない。


 今、S級冒険者たちとゼトスとの戦いの幕が、静かに切って落とされようとしていた。


「だったら――俺も、黙って見てるわけにはいかねぇよな」

 

 部下が命張って頑張っているってのに、責任者が何もしないなんて論外だろっ!


 ――ダンジョンの最深層で、魔王ヴァルト・ノクスの魔力が、静かに、再び、脈動を始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ