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第77話 両家挨拶

結婚を前提にお付き合いをしているので今日は両家へと挨拶に行くことになった

こんなに気が重いことは久しぶりだ

自分の両親とは前回の私と拓人との結婚式以来顔を合わせていない

こちらも会いたくもないし、私も会いたくないから別にいいんだけど

今回も私の両親には挨拶しなくていいよって桜井さんに言ったけど

“挨拶だけはちゃんとしたいんだ”

と言われてしまった

私と桜井さんは私のトラウマの巣窟である山田家に来ている

私の実家だ

チャイムを鳴らすと使用人が出迎える

応接間に通されて私達は両親を待つ

「お待たせして申し訳ない。私は山田一だ。」

「山田洋子です。よろしくお願いします。」

両親は私達に丁寧に挨拶する

相変わらず外面はいい

吐き気がする

「初めまして。桜井隆臣と申します。美奈子さんと結婚を前提にお付き合いさせて頂いております。よろしくお願いします。」

「とても誠実な青年だね。美奈子がこんなに誠実ね男の人を選ぶなんて意外だよ。」

「見合う男になれるように日々努力中です。」

「アハハ!そんなとんでもない!美奈子は貴方にはもったいないですよ!」

「そんなことないです。美人で経済力もあって…僕はまだまだ美奈子さんに劣ることばかりです。」

「優秀な女なんて扱いずらいだろう?男を立てることを覚えないとまた逃げられてしまうぞ?バツ2になれば誰ももう貰い手なんていなくなるからな!」

「結婚の話はまだ早いですが…もしも美奈子さんが結婚して頂けるなら僕は生涯美奈子さんを大事にすると誓います。離婚はしません。」

「…本当に真面目で誠実な人だね。」

「美奈子さんの友人に釘を刺されましたからね。美奈子さんを1番優先して大事にしないと呪うと。」

「フフッ。この子に友人がいたことに驚きだよ。」

「とても友達思いのご友人でしたよ。美奈子さんの幸せを心から願っているようでした。」

「そうだね。私も願っているよ。桜井さんと結婚することで美奈子が幸せになることをね。」

「ありがとうございます。」

「私は放任主義でね。結婚しても結婚後もあまり関わることはないと思ってくれ。仕事が忙しいのでね。」

「はい。美奈子さんから事情は聞いています。お気になさらないでください。」

「…事情を聞いている?」

「あまり関わりがないと。」

「…そう。菓子折りありがとう。私からはもう何も言うことはないよ。美奈子をよろしく。」

「はい。もう二度と会わないです。美奈子さんは僕が幸せにするので安心してください。」

啖呵を切るように最後は言い放ち桜井さんは部屋を出ていく

私は桜井さんに手を引っ張られて部屋から出ていった

そのまま山田家を走って出て行き、暫くして足を止めた

「ハァハァ…もっと…かっこよく…美奈子さんを攫う感じにしたかったのに…まだまだダサいですね。」

と息切れをして桜井さんは言う

「そんなことない。かっこよかったです。」

「ハハ…手が震えて…情けない…」

「そんなことない。私の為にありがとう。」

「ごめん…美奈子さんは行きたくない場所だったのに僕の我儘に付き合ってくれてありがとう。どうしても…美奈子さんを苦しめた存在が許せなくて…一言言ってやりたかったんだ。」

「本当に馬鹿ね。そんなことする必要ないのに。」

「ごめん…」

「過去はもうどうでもいいのよ。私な気にしてないわ。」

「それでも…やられっぱなしはむかつくじゃないか。」

「フフッ。そうね。ちょっとスッキリしたわ。ありがとう。桜井さん。」

「少しでもそう思ってくれたならよかった。これから僕の家に挨拶に行けそう?」

「勿論。」

私達はタクシーで桜井さんの実家に到着した

「ただいま〜。」

と桜井さんは言う

「おかえりー!」

バタバタと走って桜井さんを迎えるのは、桜井さんの妹であろう高校生の女の子だ

「この子は妹のららだ。」

「初めまして!桜井ららです!」

「初めまして。山田美奈子と申します。」

「まだ玄関だから部屋に案内するよ。」

桜井さんは私を和室へ案内する

「こんにちは。桜井洋二です。」

和室にいたのは20代前半の青年だった

「初めまして。山田美奈子です。よろしくお願いします。」

「凄い美人だ…にいちゃん本当にこの人と付き合ってんの?」

「そうだよ。凄いだろう?」

「すげぇ…にいちゃんやるなぁ…」

「たまたま運が良かっただけだけどね。」

「ねぇねぇ!今日、美奈子さんが来てくれるって言うから私が頑張って料理作ったんだよ!!」

「お。凄いじゃないか。ららありがとう。」

「えへへー!オムライスと〜コーンスープだよ〜!」

「美味しそう。ありがとう。らら。」

「美奈子さんのお口に合うかわからないですけど…」

「オムライス大好きです。ありがとうございます。」

「本当ですか!?よかったぁ〜!!」

私はららさんが作ったオムライスを食べる

私が口にする料理はほとんどプロの料理だから新鮮だった

玲もよく料理を作ってくれるけれど玲の腕もほとんどプロ並だ

家庭の料理という味は初めて食べたかもしれない

「美味しいです。」

素朴な味だけど美味しかった

ららさんは料理に関しては初心者だろうけど

私の為に作ってくれたのだろう

なんの変哲もなく普通のオムライスが

私にとってはとても特別なものだった

「よかった〜!お世辞でも嬉しいです〜!」

「お世辞じゃないですよ。私はこのオムライス好きです。作って頂きありがとうございます。」

「やだ…感動して泣いちゃう…!!お兄ちゃん!美奈子さん天使だよぉ!!」

「そうだろう?僕にはもったいない素敵な人なんだ。」

「お兄ちゃん!絶対幸せにしなよ!!こんないい人逃しちゃダメだよ!!」

「選んで貰えるように頑張るよ。」

桜井さん達は和気藹々と食事をしながら談笑をする

「美奈子さん知ってますか?おにいは幽霊が苦手なんだよ。」

と洋二さんが言う

「ばっか!!お前!!何でそんなことを言うんだ!!やめろ!!」

と桜井さんは恥ずかしいのか顔を真っ赤にして言う

「ホラー映画は呪われてるから見たらいけないとおにいに禁止されてるから桜井家ではホラー映画は見てはいけないんですよ。」

「霊を冒涜するようなことに関わると呪われるんだ!!散々話しただろう!?」

「そんなこと言ったら世の中の大半の人が呪われてるよ。美奈子さんは自由にホラー映画見ていいからね。」

「えっ…見るの?ホラー映画…」

「見たことはありますけど…」

「お祓いした?大丈夫!?」

「お祓いは厄年だけしたわ。」

「今度またお祓いに行こう!!浄化しないといけないから!!」

「いや…普通そんなことでお祓いしたりしないから。おにいは幽霊を怖がりすぎだよ。」

「僕は美奈子を守りたいんだ!!」

「はぁ…ごめんね。美奈子さん。おにいは幽霊だけは幼い頃からダメなんだ…愛想つかさないで欲しい…」

「小さい頃に怖い幽霊の話を聞いて…それからずっと苦手なんだ…うぅ…知られたくなかったのに…」

「結婚する前に隠し事はダメだよ。おにい。」

「うぅ…だってかっこ悪いじゃないか…」

「隠そうとする方がかっこ悪いよ。」

「痛いところばかり突くなよ…」

「美奈子さーん!こんなお兄ちゃんで本当に大丈夫ですか?」

とららさんが私に言う

「桜井さんは私にはもったいないほどいい人ですよ。」

「うえええええ…本当ですかぁ!?お兄ちゃんのどこが好きなんですか?」

「えっ…と…手が好きですね。」

「手ですか…?」

「はい。男の人とは思えないほど綺麗な手をしています。桜井さんの手好きですね。」

「知らなかった…嬉しい…女みたいな手だってコンプレックスだったけど今日から自慢の手だよ…」

と桜井さんは言う

「よかったね!お兄ちゃん!」

「俺も美奈子さんみたいないい人捕まえる為に手の手入れ頑張るよ。」

「手が綺麗なだけで付き合えたわけじゃないからな!!」

桜井さんのお家は両親が亡くなったからこそか兄弟な仲がとてもいいようだ

家族の団欒なんてものを人生で初めて体験した

普通の家庭

普通の会話

その全てが居心地が悪く感じてしまった

私の居場所なんてここにはないのではないだろうか

楽しく話しているのに

素直に楽しく過ごせないなんて

私はやはり狂っているのだろう

幸せな家庭であればあるほど

自分が惨な気持ちになっていく

ちゃんと私は笑えているだろうか

こんな家庭に入れるなんて思えない

あんなに愛されたいと願っていたくせに

愛される家庭を手に入れたら居心地が悪く感じるなんて

私は普通の家庭を持つことに向いてないのだろう

こんな幸せな家庭を私のせいで壊したくない

私のような異物はこの幸せに溶け込むことは出来ない


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