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第72話 友達以上恋人未満

釈然としないが、純也さんと月に一度のお出かけを始めてから小説を書くアイデアも湧きやすくもなり、小説のクオリティも上がって売上も上がってきている

外に出かけることは刺激が多いことで私の執筆活動にも大いに影響している

小説の売上が上がった原因は写真集の影響もあるかもしれないけれど

それでも右肩上がりに小説の売上が上がることはやっぱり嬉しい

おじさんの相手が苦痛すぎて嫌だったけれど、最近は純也さんもおもてなし力も上がってきて普通に楽しめるようになってきた

プライベートはポンコツだったくせに、成長スピードが早いのはさすがだ

ずっとポンコツでいて欲しかった

全部が完璧なったら面白くない人間じゃないか

欠点ぐらいあるほうが人間味があって面白いのに

プライベートで女性をエスコートが出来るようになってしまったら

まさに完全無敵のイケオジが爆誕してしまう

それはむかつくからなんとしてでも阻止したいものだ

プライベートも完璧な紳士に私が育ててしまったら

私との契約が終わった後に出会った女性と再婚なんかしちゃって幸せな家庭を育むことになったら

私はまさに完全な踏み台であり、練習台だったわけだ

用済みでポイ捨てされる運命なのだ

くそつまらない話を何時間も聞いた私は苦労したのに…

まぁ…そんなことも見越した上での契約だったのかもしれない

純也さんは大企業を支えている社長だ

相手が1枚も2枚も上手なのは当たり前なのだろうな

私としてはミナが幸せになるように動いてくれているから契約内容としては満足しているし

Win-Winの関係である

ミナが無事に婚約が決まった後に契約が終わることを名残り惜しく感じるぐらいだ

最近は寧ろ純也さんの方が苦痛なのではないかと思う

楽しくお話しすることも出来ないし

文句ばっかり言うし

私と一緒に過ごしても楽しいわけないのに

純也さんは私と違って話すスキルも上がって相手を思いやる行動も出来るようになってきたのに

私との契約を切って他の人と遊んだ方が楽しいだろうに

純也さんの考えることはよくわからない

私は人を見る目には自信があるのに心の底の考えが読むことが出来ない

私もまだまだ修行が足りないな

そして…何よりも1番考えが見えないの今目の前にいるこの人だ

「珍しいね。小説も読まずに俺のことをまっすぐ見つめてくれるなんて。嬉しいな。」

と拓人さんは言う

今日はミナが仕事で、拓人さんが仕事がお休みだから、拓人さんが私達のマンションに来て、私と拓人さんが2人きりでリビングで過ごしている

「いや…拓人さんの考えてることわからないなって…」

「え?なんで?俺の考えてることなんて1つしかないのにわからないの?」

「全然わからない。」

「俺はもう1度、玲と付き合う方法しか考えてないよ。」

「何故私とまた付き合いたいのかがわからない。」

「好きだからに決まってるじゃないか。」

「どこが好きなの?」

「全部好きだけど…特別好きなのは俺のこと好きで堪らないって瞳で見てくれるところかな。」

「…昔の話でしょ。」

「フフッ。玲は本当に嘘をつくのが下手くそだね。目を逸らして俯いて言うなんて…そんなところも好きだけどさ。」

「私と付き合ってもメリットなんて何もないでしょう?愛想もないし、会話も弾まないし、プレゼントだって喜んで受け取ったりしない。めんどくさい女と付き合っても何も楽しくないよ?」

「そんなことを気にしていたの?そんな些細なことなんて気にしないよ。俺は玲の側にいることで辛いことの方が多いかもしれない。それでも…それでもやっぱり玲の側にいたいんだ。玲と離れて生きていく方がもっと辛かったから。」

「他の女の子と付き合ったら幸せになれるのに?」

「他の女の子と過ごす幸せよりも、玲と過ごす地獄の方が俺はいいんだよ。」

「うん。やっぱり理解不能だわ。」

「仕方ないじゃないか。どうしようもなく。俺は玲が好きなんだから。俺はもう生涯玲しか愛せなくなってしまったのだから。」

「他の女の子を愛そうとしてないからじゃないの?」

「何度もチャレンジしたに決まってるじゃないか。無理だったよ。ベッドに上がれば玲の顔しか浮かばなくなる。そして涙が止まらなくなるんだ。俺はもう玲しか愛せないんだよ。」

「…可哀想ね。」

「そうだろう?哀れな男を拾ってくれよ。」

「私、責任持って育てられないタイプなの。ごめんね。」

「拾ってくれるだけでいいんだ!家事も仕事も俺がやるから!!」

「家事も仕事も自分でやるから必要ないもんな…他には?」

「他とは?」

「他に拾ったらいいことないの?」

「えっと…毎日愛してるって言ってあげる。」

「プッ…アハハハハハハハハハ!!何それ!!女口説くの下手すぎじゃない?よってくる女しか相手にしなかったからダメなのよ!!」

「モテる男は辛いよ。」

「残念だったわね。」

「でも俺がイケメンで仕事が出来て高収入じゃなければ玲は好きになってくれなかっだろうからいいんだよ。」

「そんなの関係ないわよ。私な努力している人が好きなの。」

「イケメンで高収入じゃなくても?」

「うん。夢を追って毎日努力しているバンドマンとかに会っていればその人を好きになったかもしれないわね。」

「バンドマンはろくな男がいないから絶対にダメだよ。女を道具のように扱って捨てる男だよ。」

「別に捨てられてもよかったからいいのよ。拓人さんだって私と出会った頃はそうだったじゃない。女遊びしまくって飽きたら捨ててたでしょう?」

「大昔の話だ!!今は玲しか見てない!!」

「なんで私だけは違ったのかな。」

「初恋だったからだよ。本気で恋をしたのは玲だけだ。」

「初恋は実らないって言うからね…残念だったね…」

「まだ終わっていない!現在進行形で口説いている途中だ!!」

「現在進行形で振られてる途中じゃない?」

「俺が諦めなければ終わりじゃない!!」

「無敵の理論掲げるのやめてね。」

「恋人にしてくれるまで一生付きまとうからな。」

「ストーカーで逮捕されるわよ。諦めなさい。」

「そんなこと玲はしないよ。だって俺と過ごす時間を苦痛だと思わないだろう?」

「それは…まぁ…そうだけど。私が小説読んでもゲームしてても邪魔してこないし…」

「じゃあ問題ないだろう?」

「私は問題ないけど…拓人は私と一緒にいても私と会話するわけでもなく一緒にいるだけなのに嫌じゃないの?」

「嫌じゃないよ。側にいられることが幸せだから。」

「ふーん…よくわからない。私じゃない子を選んだ方が絶対いいのに。」

「玲以外の女なんで興味ないさ。昔の玲はさ。俺が会いに来て欲しいとかお願いしたら絶対に会いに来てくれたりしたよね。どんなに夜中でも会いに来てくれた。今では考えられないや。今思えば凄く頑張って俺と付き合ってくれていたんだなって」

「当時は嫌われたくなかったからね。必死だったのよ。今はもう頑張れない。」

「昔のように頑張らなくていいから。付き合っててしんどいと思うようなことはしなくていい。側にいてくれるだけでいい。だから俺と付き合って欲しい。」

「付き合うことがしんどいんだけどな…」

「気負わなくていいんだ!ありのままでいいから!!」

「セフレならいいよ。」

「え!?」

「セフレなら気楽だし、なってもいいよ。」

「…いやっ…え?…うーん…やっ…やっぱりダメだ!!セフレなら他に男を作るかもしれない!!俺はそんなの耐えられない!!」

「遊んで捨てられるぐらいの関係性の方が楽なのにな。」

「無理だ。俺は一生玲と添い遂げる覚悟で付き合って欲しい。」

「重すぎ…」

「そんなに重く考えなくていいんだ!側にいてくれるだけでいいんだよ!!」

「でも一生でしょう?」

「そうだ。」

「重いよ!気軽に付き合えるわけないじゃん!」

「愛してるよ。玲。俺と付き合って欲しい。」

「ちょっと…ずるい…そんな真剣に言うのは…」

「愛してる。」

「…わかったから。口説くのやめて?」

「愛してるよ。玲。愛してる。」

「…。」

「フフッ。ごめんね。困った顔も可愛くて。つい止められなくなっちゃった。」

「…もういいよ。小説読むから静かにしてて。」

「うん。大人しく待っているよ。玲のこと愛しているからね。」

「…意地悪。」

「これぐらいの意地悪は許してよ。静かにしてるから。」




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