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第60話 写真集

いよいよ今日は私の写真集が発売される

私は朝のワイドショーに宣伝の為に出演することになった

「いいですか?迫田先生。ワイドショーは生放送です。絶対に!!余計なことは言わないで下さい!!台本通りでいいんですからね!!」

朝のワイドショー出演前に担当の南さんから念押しされる

「わかってますよ。私もいい歳の大人なんですから言われた仕事をしっかりこなせますよ。」

「社会に喧嘩を売るのが趣味じゃないですか!!」

「世間をちょっと揶揄うのが楽しいだけですよ。」

「やめてくださいよ!!」

「わかっていますよ。この写真集の為に苦しみましたからね。きちんと宣伝してたくさん買って貰います。」

「台本読みました?」

「読みましたよ。南さんが鬼電話して絶対に読んでこいって言ったじゃないですか。」

「台本通りですよ!いいですね!!」

「はーい。」

本番始まりまーすと言われて私はゲストとしての席に座る

3、2、1…とカウントダウンされて本番が始まった

「今日は特別ゲスト小説家の迫田玲先生が来てくれました。よろしくお願いします。」

と司会者の川上さんが言う

「よろしくお願いします。」

私はにっこりと挨拶する

「今日は小説家としてではなく、別の本を出版されるみたいですね。」

「はい。恥ずかしいので絶対にやらないと思っていたのですが、ファンの方々からの強い要望で実現に至りました。私の1st写真集『last』です。」

「1st写真集なのに『last』なんですね。」

「絶対に今後は出さないぞという強い気持ちがこの名前になりした。」

「アハハ!!じゃあファンはこの待望の写真集を是非購入しないと今後は絶対に手に入らないですからね!!」

「はい。死ぬほど恥ずかしい思いをして撮影したので、私のファンは1人10冊をノルマにして購入お願いします。」

「アハハ!!ノルマ多いですね!!」

「男が全員好きそうな写真集なので、上司と部下の交流とか同級生とかに余ったら配って布教してください。」

「男はこの写真集を通じて仲良く出来ると言うことですね!!」

「そうです。気になるあの子に話しかけれないそんな時にこの写真集を渡してください。きっと仲良くなれます。」

「凄い交流術ですね!!」

「はい。だから是非買ってみてください。」

「私も少し写真集を見させてもらいましたけれど…男の人だけではなく、女の人も気に入ってくれそうでしたよ!」

「えぇ…本当ですか?嬉しいです。」

「今回の写真集はフランスまで撮影に行ったとかで…結構スタイリッシュでかっこいい迫田さんもたくさん撮られているんですよ!」

「お恥ずかしいです。」

「いやいや…まだまだたくさん写真集出して欲しいぐらい素敵でしたよ!ラストにするのはもったいない!!」

「最初で最後だからこそ気合い入れて頑張りましたので。」

「そしてさらに!ファンの方々は気になる部分だと思いますが…なんと!水着あり!!とのことで!!」

「28歳の大人のくせに出し惜しみするのも変かなと思って。」

「水着姿はインスタにも載せたことがないレアですからね!!ファンの方は必見ですよ!!」

「インスタには載せてないですけど、月に何度か行ってるジムではいつも着てる競泳水着ですからレアでも何でもないですけどね。」

「…それ言って大丈夫ですか?」

「え?ダメでしたっけ?」

「まぁ!大丈夫ですよ!!」

「そうですよね!大丈夫大丈夫!!」

「さらに!初回特典が付いてくるとか!」

「そうなんです。一応私、小説家なので…フランスで書いた小さな短編が特典で付いてきます。」

「これは迫田さんの小説ファン必見ですね!!」

「うーん…でもフランス語で書いてあるし、読める人はほとんどいないので本当におまけ程度だと思って頂いていいです。」

「フランス語が書けるんですか!?」

「独学で勉強したので。」

「これがその特典の短編小説ですが…表紙とか凝っていてとても可愛らしいですね。特典のおまけなのにこだわりを感じます!!」

「読む用としてじゃなくて飾る用のインテリアとして使えるように意識して作ったんです。だから表紙とかはとても可愛くしました。中身の小説はわかる人だけって感じです。」

「迫田さんの小説ファンも熱狂的な人が多いですからね!解読班とか出てくるんでしょうね〜。」

「今時ならアプリで翻訳出来ますから。全員読もうと思えば読めます。」

「便利な世の中ですよね〜。」

「私の若い頃にあれば独学で勉強しなくてもフランス語読めたので最近の子は羨ましいですね。」

「アハハ!!それではゲストの迫田玲先生でしたー!ありがとうございましたー!!」

「写真集『last』是非購入してくださーい!!」

私は出番を終えて出演者の皆さんに挨拶をして楽屋へと帰る

「このバカ!!全然台本通りに話してないじゃない!!」

と南さんが怒っている

「だいたいこんな感じの台本だったもん。」

「特に!!ジムに通ってることは言うなってNG出してたのに!!何で言っちゃったんですか!!」

「え?そうなの?何で??」

「あのねぇ…迫田さんのファンはストーカーまがいの熱狂的なファンが多いんです!!住んでいる地域がインスタの投稿で漏れたのに…ジムが特定されてファンが押し寄せたらどうするんですか!?」

「心配しすぎだって。そんなことされるわけないじゃん。」

「危機感が足りなさすぎです!!しばらくジムには絶対に行かないでください!!」

「えぇ…会費もったいないじゃん…」

「襲われたいならどうぞご自由に。私は忠告しましたからね。」

「わかりましたよ…」

その後も宣伝の為に今日はテレビや雑誌の取材に出ていた

こんなに外で働いたのは初めてかもしれない

へとへとになり私はやっと家へと帰宅した

「ただいま…」

私がそう言うのは珍しい

だってずっと家にいるから

「おかえり!玲!!」

ミナはまだ仕事中らしく、拓人さんが出迎えてくれた

「疲れた…外で働いてる人達凄すぎる…私は1日で限界だ…」

「遂に写真集が発売されたね!おめでとう!玲が出ているテレビも雑誌も全部逃さずに取ってあるよ!」

「ありがとう…」

「この辺りの本屋に積んである玲の写真集は全て買い取ったから!!」

「えぇ?」

「ほら!見てよ!」

私は拓人さんの部屋に案内されて見ると、買い占められた私の写真集があった

「何これ…」

「まだ100冊程度しか買えなかったけれど…明日は別の地域に行ってまた買い占めるよ!!」

「いや…他の人にも買って欲しいからもういいよ…」

「何言ってるんだ!!こんな競泳水着姿の玲を他の人間に見せるわけにはいかない!!出来るだけ買い占めて誰にも見せないようにしないと!!」

「…そうですか。」

もう私には突っ込む気力もなくなっていた

「それに!この特典!!俺にだけの小説だと思っていたのに!!ひどい!!」

「いや…おまけ程度だし…そんな大した小説じゃないから…」

「もう既にネットで話題になってるよ!!玲の小説ファンは絶対に手に入れるべき最高傑作の短編だって!!」

「そんな大層な小説じゃないのに…」

「俺だけの写真集と小説だったのに…出来るだけ買い占めて回収するから!安心して!!」

「…私疲れたからもう寝るわ。」

考えることを放棄して私は眠りについた

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