表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/76

第56話 カラオケ

文句を言いながら引き摺られて玲は純也さんとカラオケへと出掛けた

純也さんがプライベートの時間を作ることはしない

私が出会ってから一度もない

それなのに…たったの1日で玲は純也さんの心を掴んでしまった

純也さんが遊びに出掛けるなんてありえない

寝ても覚めても夢でも仕事をしているような人なのに

それなのにたった1日で玲は純也さんを変えてしまった

いとも簡単に

私は何年も思い続けて私のことを見て欲しくて努力したのに

私が欲しいものを玲は全て持っている

ずるい

私だって…純也さんの心が惹かれるような女になりたかった

仕事だけじゃなくて

プライベートなこともたくさんお話ししたかった

…あんなに感情的に怒る純也さんは初めて見た

羨ましい

妬ましい

私が純也さんにとって心を開けて話せるような存在になりたかったのに

愛されることはなくても、心が安らぐような存在になりたかった

どうして何年も努力した私じゃダメで

玲はたった1日で特別な存在になれるのだろう

いや…本当は少しわかる

玲は…人の本質を見つけることが得意だ

私のことなんて誰にも理解されないと思っていたのに

玲はいとも簡単に私のことを理解してくれた

どうしようもない孤独感を初めて埋めてくれた

自分の理解者が出来ることは嬉しい

私だって玲のことが好きになってしまった

でも…まさか純也さんまで虜にしてしまうなんて

羨ましい

妬ましい

誰かの特別になれる玲が羨ましい

有象無象と変わらない自分が嫌になる

「ねぇ。純也さんはカラオケが好きなの?」

よりによって今日は私も拓人も休みだ

「知らない。」

「そうよね…」

「何故あの2人は2人で出掛けるんだ?」

「そういう約束をしているらしいわよ。」

「俺だって玲と出掛ける約束したい。」

私だって純也さんと出掛けたいわよ

私達2人は険悪な空気を感じながら

玲が帰ってくるのを待った

「ただいま…」

玲が帰ってきたのは19時になってからだった

「遅かったわね。カラオケは楽しかったの?」

「全然楽しくなかった。二度といきたくない。」

「えー…」

「私も純也さんも歌える曲なんてなかったもの。」

「でもカラオケだから歌ってきたのでしょう?」

「カントリーロードを永遠に聞かされてきたわよ。」

「それは…大変だったわね…」

「何で私も純也さんも歌に詳しくないのにカラオケにしたの?って聞いたら昔、歌が上手いと褒められたことがあるって言ってたわ。」

「上手かったの?」

「上手かったわよ。カントリー・ロードしか歌えないけどね。流行りの曲を覚えてまた再チャレンジしたいとか言ってたけど、私は流行りの曲なんて知らないし、次の機会は他の人と行って欲しいって言ったら、迫田さんも流行りの曲を練習して来てとか言うんだよ。めんどくさい…」

「…どうして私とはカラオケ行ってくれないのかしら。」

「え?行きたいの?地獄だったわよ?永遠に聞かされるカントリー・ロード。」

「…。」

「もう少しレパートリー増やしてからじゃないとあんなの退屈すぎて死ぬわよ。」

「それでも私だって純也さんと2人でデートしたいわよ。」

「恋人相手にあんなつまらないことしたくないんじゃないの?全然ちっとも全く楽しくなかったわよ。」

「そう…次もカラオケに行くの?」

「知らない。あんな地獄二度と行きたくないわよ。流行りの曲なんか知らないし、私は絶対カラオケ向いてない。次もカラオケならミナが行ってよ。散々だったわよ。本当に。」

「純也さんはどうして玲と遊びたがるの?」

「知らないわよ。嫌がらせじゃないの?私はただでさえ出掛けることは苦手なのに…意味わかんない!!」

「純也さんは玲と出掛けることが楽しいから一緒に出掛けたいんじゃないの?」

「そんなわけないじゃない。今日なんて私、歌える曲が君が代しかないから国歌斉唱してただけだし、楽しいと思う?カラオケに不向きな2人すぎるわよ。」

「なんで君が代しか知らないのよ…」

「私は基本、本が好きだし、テレビとかもあまり見なかったし、今もネットとかあまり詳しくないし…」

「疎過ぎるわよ…」

「私は出掛けの練習台にさせられてるんじゃないの?あんなの大事な恋人と出来ないわよ。」

「だ…大事な恋人…」

「ミナ。純也さんと出掛けるのマジで全然楽しくないからデートする時は覚悟した方がいいわよ。」

「水族館デートとかしてみたいな…」

「純也さんは人を退屈にさせる天才よ。仕事しか出来ないバカよ。デート失敗しても絶対純也さんのせいだから気にしちゃダメよ。」

「私がリードして楽しませるからいいのよ。」

「凄い!!さすがミナだわ!!私には絶対出来ないもの!!」

「伊達に遊び人やってないわよ。」

「かっこいい〜!!遊び慣れてない2人が出掛けるから地獄になるのよ。純也さんだってもう懲りて私を誘ってこないかもしれないわ。やっぱりお出かけは大事な人と行くべきなのよ!!私は二度と行きたくない!!」

「でも月に一度行く約束なのでしょう?」

「最悪!!もう絶対いきたくない!!」

玲からの話を聞いているうちに嫉妬していた心が落ち着いてきた

遊び慣れていない2人が出掛けても楽しく遊べるわけもなく地獄のような空気になるのは安易に想像できた

玲と遊びに行くのは今まで出掛けたことがなかったから練習台として突き合わせているのかもしれない

私を楽しませる為に…

そうだといいな

今度私から純也さんに水族館デートに誘ってみよう

恋人と過ごす時間は楽しいことを教えてあげたいな

玲なんて必要ないって思わせたい

私の方が絶対楽しませることが出来るはずだから

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ