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第54話 観覧車3周目

私が観覧車を3周させてくれと遊園地の係員に伝えると流石に怪訝な顔をされてしまったが、了承してくれて私と迫田さんは観覧車を3周することになった

「もう帰りましょうよー。なんで観覧車3周もしなくちゃいけないんですか…」

迫田さんは半ば無理矢理観覧車を3周させられていることに嫌気がさしている

「まだ話し合いは終わってないからだ。」

「もう終わりましたよ〜。」

「私と月に1度遊びに行く約束がまだ出来ていない!」

「断って終わったじゃないですか。」

「まだ終わっていない!取引をしよう。」

「取引?」

「そうだ。私と月に1度遊びに行ってくれるなら、迫田さんの味方になると約束しよう。先程言っていた拓人が迫田さんを諦めさせる協力をしてもいい。」

「えっ…うーん…何でも味方してくれるんですか?」

「何でもだ。美奈子と拓人を離婚させたいなら離婚をさせる協力をするし、美奈子と友人関係を続けて拓人だけ距離を置きたいと願うならそれも協力する。何でもだ。迫田さんの味方をしよう。どうだ?とても有益な取引だろう?」

「私が1番願っていることはミナの幸せです。」

「そうか。じゃあ美奈子が幸せになれるように私も協力しよう。」

「ミナと結婚して下さい。」

「ハァ!?」

「ミナは純也さんが好きなんです。幸せにしてやってください。」

「いやいやいやいや!!冗談…だよな?」

「冗談でこんなこと言わないですけど。」

「確かに…好意は持たれている気はしていたが…そんな…息子の嫁と結婚なんて…外聞が悪すぎるよ。NTRAVビデオの展開じゃないか…」

「ネット民は大喜びですよ。」

「一般のまともな感覚を持った人達はもう自社製品を購入してくれなくなるよ!!」

「もう仕事は辞めましょう。」

「私は生涯現役で働く!!」

「お爺ちゃんが張り切りすぎたら若手が育ちませんよ。65歳なんですし、現役引退してゆったりとした余生を過ごす老後にすればいいじゃないですか。」

「私が仕事人間なことを知っているだろう!?私は絶対死ぬまで現役で働く!!」

「目の上のたんこぶですよ。」

「失礼なことを言うな!私が1番現役で活躍して働いている!!」

「お爺ちゃん張り切りすぎですよ。もっと若手に仕事をさせてあげてください。」

「迫田さんはどうなんだ!?歳を取っても引退なんてしないだろう!?」

「私は小説家ですから。歳を取れば取るほど味が出るんです。」

「自分のことを棚に上げすぎだろう!?」

「そんなことはどうでもいいんです。私の味方をして協力してくれるならミナと結婚してくれますよね?」

「いや…それはちょっと…」

「じゃあ取引不成立ですね。パパ活でもして遊んでください。」

「待て!!わかった!わかったから!!ちょっと待て!!」

「ミナと結婚してくれますか?」

「私は結婚して失敗した人間だぞ?私が美奈子を幸せになんて出来ない。仕事しか興味が持てないんだから…良さそうな人を紹介すればいいんじゃないか?」

「ミナは純也さんが好きなんです。仕事人間なところも愛してくれる奥ゆかしいは立派な嫁になれますよ。」

「…いきなり結婚は無理だ。美奈子はそんなこと望んでいないかもしれないだろう?結婚を前提に美奈子と付き合おう。それならいいだろう?」

「まぁ…」

「じゃあ取引成立だな。」

「ちょっと待って!!月1回はやっぱり多すぎじゃないですか?」

「全然多くない!!今更出掛ける回数でごねるな!!」

「いやだって…絶対断ると思ったのに…」

「迫田さんと月1回遊びに行けるならなんでもするさ。」

「美奈子と付き合うのに私と月1回デートすれば浮気になるのでは?」

「迫田さんは友人だから浮気になんてならない。」

「なんで私と出掛けるんですか…」

「迫田さんを気に入ったから。このまま帰ってしまうともう2度と会えない気がしたから。」

「私と出掛けても楽しくありませんよ?」

「いいんだよ。楽しくなくても共に過ごした時間が思い出になる。無駄な時間こそ価値がある。そうだろう?」

「どうせなら私じゃなくて他の人ともっと有益な時間の過ごし方をしたほうがいいと思いますけどね。」

「往生際が悪いな。私は迫田さんの取引を飲んだんだ。月に1度必ず出掛けてもらうからな。」

「はぁ…わかりましたよ。ミナを絶対幸せにしてくださいよ。」

「出来るだけ善処しよう。」

私達の取引は成立し、観覧車は1番下まで降りた

3周目にしてようやく観覧車を降りて帰ることになった

「美奈子と拓人を離婚させたら迫田さんは拓人とよりを戻すのか?」

「私は拓人さんを幸せに出来ません。」

「私には美奈子を幸せにしろと言っているのに…」

「取引ですから。」

「拓人は幸せになんてなれなくても、迫田さんと生涯共に生きたいと願っているよ。」

「不幸にさせるのに?」

「どうせ離れていても不幸なんだ。それなら好きな人と一緒にいる不幸の方がいいだろう?」

「そうでしょうか…」

「気が向いたら拓人と付き合ってあげてくれよ。」

「気が向いたらね。」




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