第46話 VIP部屋
私は拓人さんと一緒にVIP部屋へと入った
「ほら見て玲!フランスの街並みを一望出来るんだ!!とても美しいだろう?」
「私高所恐怖症だから見れない。ごめんね。」
「え…じゃあヘリコプターで花火を見た時も…」
「あの時は気絶して倒れるかと思ったなぁ。懐かしい。」
「女は夜景が好きだと思っていたから…ごめん。」
「いいのよ。私は夜景を見にきたんじゃなくて禁書を読みに来たんだから。どこなの?禁書は。」
「…お楽しみは後。」
「他にやることなんてないけど。」
ブーブーブーブーと私のスマホが鳴る
「はい。もしもし。」
「ちょっと!!何ホイホイVIP部屋に入ってるんですか!?喰われちゃいますよ!?」
と南さんから心配の電話がかかってきた
今日はホテルに帰らず、拓人さんが用意したVIP部屋に泊まると連絡したからだ
「私が心配ですか?」
「当たり前です!早く帰ってきてください!」
「諸事情でまだ帰れないんですよね。だから来てくれませんか?VIP部屋に。」
「え。」
「私が喰われちゃう前に助けに来てくださいね。」
私は場所を伝えてブチッとスマホを切る
「俺は他の人間を招待することに了承していないけど。」
「さすがに2人きりは危険だと思ったからね。」
「今日1日だけでも昔のように恋人として過ごしたかったんだけどな。」
「既婚者のくせに何言ってるんですか。ミナに悪いと思わないんですか?」
「その美奈子が早く俺と玲が愛人関係になって欲しいと強く願っているんだけど。」
「変な夫婦だね。」
拓人が私に近づいてくるので私は拓人後退りして逃げる
「そんなに警戒しなくてもいいのに。」
「警戒するに決まってるじゃない。取って喰ってやろうって顔してる。」
「男がホテルに誘ってついてきたのだから覚悟はしているだろう?」
「私は禁書を読みに来ただけ。それに助けは呼んだから。」
「タダで禁書が読めると思っていたの?」
「それは体で支払えってことかしら?薄汚い権力者と同じようなことをするのね。見損ないました。」
「…そうだよ。俺は悪い大人だ。こんな卑怯な手を使って体から玲と繋がれば心も取り戻せると信じている。」
「こんな卑怯なことして好かれると本気で思っているんですか?」
「思ってる。きっかけなんてなんでもいいんだよ。体関係に持ち込めば玲は昔のように愛してくれる。」
「幻想がお花畑すぎてドン引きです。」
「玲は…セックスの時だけは俺のことを愛おしく見つめてくれるんだ。俺はその顔しか知らないからね。」
「私はセックスしたら禁書を読ませてくれるって言うなら拓人さんでも他の人でも平気で体を売る人間だよ。そこに愛なんてない。」
「そうだね…だからまた恋人になったときは気をつけないとな。玲が悪の手にかからないようにさ。」
「こんな悪いことしてくるの拓人さんだけだと思うけど。」
「そんなことない。どんな手を使っても玲とセックスしたいと思ってる人間なんて山程いるんだ。」
「思ってても行動する人は稀よ。人間はそんなに悪人になれないものよ。」
「手に入るなら手段を厭わない。悪い人間は玲が思っているよりたくさんいるんだよ。」
「それで?私はこれから悪い人間に喰われちゃうわけ?」
「そうだよ。」
拓人さんは私をベッドに押し倒して服を脱がす
ピンポーン
部屋に呼び鈴が鳴る
拓人は無視して続けようとするが
ピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーンピンポーン
と呼び鈴は連打しているので仕方なく拓人さんは扉を開ける
「はい。」
「あ。迫田先生の担当の南と申します。今宵はお招きありがとうございます。」
「呼んでない。帰ってくれるかな?」
「いえいえ。呼んで貰ったんですよ。入らせて貰いますね。」
「邪魔しないでくれるかな?」
「邪魔するように呼ばれたんですよ。これも私の仕事なのでごめんなさいね。」
南さんはドンッと拓人さんを強引に押して部屋に入る
私がベッドにいる姿をみて南さんは安堵していた
「よかった。まだ未遂だったみたいね。」
「南さん…迷惑掛けてごめんなさい。」
「いいのよ。ちゃんと助けを呼べて偉かったわね。早く帰るわよ。」
「ダメなんです。この部屋には禁書があって読ませてくれないと帰れません。」
「あー…そういう感じで釣ったんですか。」
ハァとため息をついて南さんは言う
「あのですね。禁書は読めないですよ。迫田先生。」
「え?VIP部屋なら読めるって…」
「展示品として見ることは可能でしょうけど、禁書は読めないはずです。ショーケースに飾られていて読めないようになっているはずです。」
「えぇ!?そんなぁ…」
「当たり前です。禁書なんですから。ほら。わかったら帰りますよ。」
「じゃあ禁書を見たら帰る。」
「…真中さん禁書ってどこにあるんですか?」
「俺の切り札をそんな簡単に見せるわけないじゃないか。」
「うちの大切な看板作家に枕営業のような真似させないでくださいよ。」
「こうでもしないと玲は手に入らないからね。俺だって正攻法でいきたかったけど仕方なかったんだ。」
「…真中さんは仕事上では有能でとても有難い存在ですが、プライベートでは大嫌いです。今も。昔も。本気でも遊びでも迫田先生に近づかないで欲しいですね。」
「南さんはどんな権限があって玲の交友関係に口を出しているの?」
「私は仕事上でも良きパートナーであり、プライベートでは大事な親友だと思っていますよ。悪い男に騙されそうなら口出しする権利ぐらいあります。」
「…ずっと側にいられる南さんが羨ましいよ。」
「担当はどんだけお金を積まれても変わるつもりはありませんよ。私は生涯迫田先生の1番のファンでありたいんです。」
南さんは部屋を物色して金庫を見つける
金庫の鍵は空いていて禁書はあっさりと見つかった
「ほら。迫田先生。禁書ですよ。」
「わぁ!!本当だ!!」
「はい。見ましたね?じゃあ帰りますよ。」
「写真!写真撮ってから!!」
私はスマホで禁書の撮影をする
「じゃあお邪魔しました。真中さん。」
「拓人さん!禁書見せてくれてありがとう!」
「このバカ。禁書を探したのは私よ。」
「あ。そっか。」
私は南さんに連れて行かれて自分達のホテルに戻ろうとすると
「玲。明日は10時に迎えに行くから。準備して待っててね。」
「わかった。」
「…デートは1日だけじゃないですか?」
「明日はルーヴル美術館に行くことになったんだよ。」
「そうでしたか。では私もご一緒させてください。」
「…どうして?」
「旅は大勢の方が楽しいですから。待ってますね。真中さん。」
こうして私と南さんはホテルに帰った




