第44話 フランス国立図書館
「自由だぁーー!」
長い長い撮影期間が終わり、今日からフランスで自由行動だ
「玲とまたデートが出来るなんて夢みたいだ。」
何故1日デートの約束をしてしまったのか忘れてしまったけれど
今日は拓人さんとフランスでデートだ
「私の好きな場所に連れて行ってくれるんだよね?」
「あぁ。玲の行きたい場所に行こう。」
満面の笑みで拓人さんはエスコートをしてくれる
「フランス国立図書館!!ヨーロッパに行ったら素敵な図書館に行くのが夢だったの!!」
写真集なんて似合わないことしたり
外に出ることも億劫で引き篭もりな私が海外旅行まで決行したのはヨーロッパの図書館に行ってみたいという夢があったからだ
期待に胸を膨らませて私は目を輝かせる
「…。」
拓人さんはあきらかに不満な顔をしていたけれど気にしていない
私の好きな場所に連れて行くと約束したのだから約束は守って貰う
フランス国立図書館に入っていまえば拓人さんなんて見向きもせずに本に夢中になる
私と半年間付き合っていた拓人さんなら私が読書すれば周りが見えなくなるぐらい夢中になることも知っている
拓人さんがフランスまで来て放置されるデートをさせられることを不満に思うのは当たり前だ
でもフランス国立図書館だけは譲れない
他の場所に行くつもりなんてない
私は拓人さんが用意した謎の外車に乗せられてフランス国立図書館へと向かった
車から降りて、フランス国立図書館を目の前にして感動する
「すごい…!!こんなに大きな図書館が存在するなんて…!!本を愛する人がたくさんいるってことよ!!今も昔もこれからも!!読書の文化は未来永劫続いていくんだわ!!人類は本を愛している!!」
「これから先の未来は電子書籍だよ。本の文化は淘汰されていくよ。」
「電子書籍は美しくないわ。本というフォルムが素敵なのよ。本を手に取ってジャケットやタイトルだけでワクワクさせられる高揚感!!この本はどんな物語なんだろう?と妄想しながら本を選ぶ時が1番楽しいんだから!!どの本も面白いんだけど稀に自分の価値観を覆させるような運命的な出会いをする本に出会えたりするのよ!!今日は私の知らない本がたくさんあるってだけで胸が躍るわ!!」
「玲はフランス語が読めるの?」
「ええ!私は色んな国の本を読みたくて英語、中国語、スペイン語、アラビア語、フランス語は学んだからね。」
「玲は国立大の哲学部を卒業していると聞いていたけれど…どこで5カ国語も学んだの?」
「どこって…独学だけど。」
「…え?5カ国語全て?」
「うん。本を読んで学んだよ。洋書を読む時に翻訳されたものを読むより原書を読まないと作者の真意を汲み取ることは出来ないって言われていたからね。原書で読みたくて英語を習得したの。世界中の本を原書で読みたくなって気づけば5カ国学んでいたわ。話せないけどね。本で学んだから発音とかはわからないから。私が出来るのは聞き取ることと読み取ることだけだよ。」
「そこまで学んだなら話せるようになろうと思わなかったのか?」
「必要ないからね。私は本が読みたかったから。」
「本よりも目の前の人の方が劇的な出会いをして運命的な経験をするかもしれないよ?」
「日本語で話すことも苦手なのに他の言語で話すなんて無理でしょ。」
「もう少しコミュニケーションの練習をすればいいんじゃないか?」
「コミュニケーションを取ることが普通の人はやっているのに私にはそれが出来ない。空気が読めなかったり話がズレたり噛み合わない。人と話すことに向いてない。」
「人と話す機会が増えればコミュニケーションを取ることも出来るようになるよ。俺と少しずつ練習しようよ。」
「必要ない!!私は本が友達!!本が恋人!!!」
「もう少し3次元の世界で生きて欲しいな…」
「待ちきれない!!早く入ろう!!」
私達はフランス国立図書館へと入る
天井が高く本が開いているかのような内装だ
バロック様式、ルネサンス様式になっている芸術的な作りだ
内部には深い森が広がっており、落ち着ける雰囲気になっている
本好きの人の為の空間
最高傑作だ
「うーん…私の本はさすがに置いてないか。残念。」
「フランスには日本の小説は置かないだろう。」
「私のベストセラーは一応洋書翻訳版があるのよ。だからワンチャンあるかなって思ったけれど…まだまだね。いつか私の本が世界中で楽しめるぐらい有名になりたいなぁ。」
「小説に関しては野心家だね。」
「老若男女、世界中で愛される小説なんて書いてみたいなぁ。やっぱり感動系が1番受けがいいかしら。」
「今はアニメ業界がグローバルだからね。異世界の話とかが流行りだそうだよ。」
「ふん。私だって異世界の話も書いてますよ。私の小説を読んでいない拓人さんは知らないでしょうね。」
「へぇ。そうなんだ。グローバルに流行ったのか?」
「全然。全く。異世界の話は難しいわね。勉強不足だったわ。流行っているなろう系とかそういうのは全く知らなかったし、斬新な異世界の話だからこれでいいって南さんが言うから出版したけど一般受けはしなかったなぁ。」
「そうなんだ。意外だね。流行りに乗って書いたりするんだね。」
「私をなんだと思っているの?私は基本的に南さんの提案したテーマに沿ってしか話を書かないわよ。」
「え?そうなのか?意外だな。玲は自分の書きたい話しか書かないと言っているものだと…」
「今回は恋愛物にしましょうとかミステリーにしましょうとか結構無茶振りされるわよ。1番難しかったのはSF系だったなぁ。SF小説はほとんど読んだことがなかったからまずはSF小説をたくさん読んで、自分なりに解釈して書いたけれど…最後まで不安になりながら書き上げたなぁ。全然自信がなかった作品だけどめちゃくちゃな設定がよかったみたいで結構売れたのよね。またSF小説書いて欲しいです!ってよく言われるけど不安だからあまり手を出したくないのよね…まぁ南さんがSF小説また書きましょうと言えば書くんですけどね。」
「…玲はそんなにジャンルが違う小説を書いているのか?」
「うん。ちょっと珍しいタイプよね。だから私のファンって派閥がたくさんあるのよ。恋愛系とミステリ系はよく内部抗争を起こしているし、顔ファンは1番多いけれど、小説ファンが少数精鋭の真のファンとして熱狂的に支持しているから顔ファンは肩身が狭い思いをしているらしいわよ。」
「知っているよ。俺は玲の小説ファンが1番の理解者としてデカい顔をしていることが許さなくて、玲のネット掲示板でレスバをして争っていたからね。」
「何やってるんですか…ネットでレスバするなんて暇人のやることですよ…」
「玲の1番の理解者である俺を貶めたからね。許せなかったんだ。よく戦っていたよ。勝つまで執着してやったからね。負けなしだよ。凄いだろう?」
「拓人さんみたいな顔ファンがいるから顔ファンは厄介ファンが多いって言われるんですよ。」
「俺のどこが厄介ファンなんだよ!俺は玲の恋人だ!」
「元恋人ね。ネットでレスバするなんて恥ずかしいからやめてくださいね?レスバしている様子を見てみんなに笑われているだけなんですから…」
「何故だ!俺は勝ったのに!好感度が急降下している気がする!!」
「ネット掲示板でレスバしている人間は普通嫌だと思いますけど…」
「何故だ!?玲のことを1番理解しているのは俺なんだ!!それを理解していない有象無象を1人でも多く蹴散らしたいだけだ!!」
「うん。とっても迷惑な厄介ファンだわ。」
「何故だ!!」
「厄介ファンは置いといて本を読むわよ!!今フランスで流行ってる小説から読みましょう!!まずはトレンドを知りたいわ!!」
「俺は厄介ファンじゃねぇ!!」
私はフランスで今流行りの小説を今日は大量に読んで閉館時間まで居座った
拓人さんはもちろん放置して




