第39話 ブランドショップ
シャンゼリゼ通りで買い物を終えてから私達は宿へと向かった
宿も立派なホテルが用意されており快適に過ごすことができた
食事を南さんと彼氏役の山倉さんと済ませて
お風呂に入りベッドで寝た
次の日になり、私は南さんに予定を聞く
「南さん。今日から撮影だよね?」
「はい。でも今日は撮影だけではなく、衣装を購入しに行くようですよ。」
「今日買うの?」
「はい。せっかくフランスに行くので、有名ブランドショップで現地調達することになりました。」
「フランス限定品とか?」
「そうですね。」
「フランス限定はフランス人だからフランス限定なんじゃないの?私が着こなせるとは思えないんだけど…」
「迫田先生は165センチもあるし、スラッとした高身長のモデル体型ですからフランス限定品でもきっとかっこよく着こなせるはずですよ。」
「高身長といえるほどではないけれど…」
「気にしなくても大丈夫ですって!私達が選ぶんじゃなくてスタイリストさんが選んで迫田先生は着るだけですから!」
「服なんてこだわったことないから有名ブランドのかっこいい服なんて着こなせる気がしないわよ…」
「万国共通の美人なんですから自信持ってくださいよ!」
「自信はないけれど…言われたことは従って期待に応えられるように頑張る。」
「ダメ人間だった迫田先生の成長に感動しています!大人になって…!」
「働ける大人です。」
「儂が育てた!」
私達は朝食を済ませて集合場所のブランドショップへと向かった
「お待ちしておりました。迫田先生。スタイリスト担当の舞浜翔太と申します。迫田先生を今よりもっと輝かせられるように尽力致しますのでよろしくお願い致します。好みの服とかありましたら遠慮なく言ってくださいね。」
「舞浜さん。今日はよろしくお願い致します。私は服に詳しくないので、全てお任せします。」
「畏まりました。ではショップへ入りましょうか。」
私達は有名ブランドショップに入る
店内を回って服を見るが私には全くわからない
服を購入するなんて何年もやっていない
普段は家着を着ているし
家着はファンの方から頂いたものを着てインスタに上げたら
ファンの方から大量に家着を貰えたので
家着も買わないし
出かける服なんて大学生時代から変わっていない
ほとんど外に出ないから劣化せずに着ている
ここ5年ぐらい服なんて買ったことない私に善し悪しなんてわかるはずもなく
流行なんてもってのほか
全然わからないから店内をうろうろと歩いていると
「Foooooo!Bonjour belle soeur.Quel genre de vêtements recherchez-vous ?」
私はショップの店員のフランス人に話しかけられてびくっとする
どんな服を探しているのか聞かれているようだ
私はフランス語の聞き取りと読み取りは出来るが、話すことは出来ない
私は困ってあたふたしていると
「Je vais choisir ses vêtements et faire un livre photo.」
とスタイリストの舞浜さんが答えて助けてくれた
私に似合う服を探していると答えてくれたようだ
初めは舞浜さんとショップ店員のフランス人は和やかに話し合っていたが徐々にヒートアップしてきて何やら揉めてきた
どうやら私に似合う服について意見が食い違い揉めている
何分も言い合いをしているので
「えっと…どちらも購入して撮影すればいいのではないでしょうか…?」
とつい口出ししてしまった
「ここで購入する衣装は1つだと決まっています!毎回揉めて衣装が増えていくと収集がつかなくなってきますよ!?」
「C'est sûrement à cause de cette tenue ! Tu ne comprends pas son charme !」
「ひぇ…ご…ごめんなさい…」
普段から人と関わりを持たない私が喧嘩の仲裁なんて出来るわけがなかった
2人に怒られて涙目で固まってしまう
もう28歳にもなる大人なのに
南さんが頭をぽんぽんと撫でて
「気にしないでください。迫田先生は悪くないですよ。服を決めるのは先生の仕事ではありません。外で大人しく待っていましょう。」
「…わかった。」
私と南さんは店外へ出ようとすると
「Attendez ! Essayez cette tenue !」
と腕を掴まれて店員に止められる
服を試着しろと言っているようだ
「ふえええええ…服は買うので!見逃してください!こわい!こわいよぉ!!」
私は泣きながら懇願する
「迫田先生落ち着いて!ちょっと!ドントタッチ!!」
南さんは店員が私の腕を掴んでいるのを無理矢理剥がそうとしてくれている
「Veux-tu être mon amant ?Je t'achèterai tout ce que tu veux !」
「ひえ…」
急に恋人にならないかと言ってきた
腕は掴まれたままでこわい
「ノー!ノー!!」
私は泣きながら必死に拒絶を伝える
撮影スタッフが総出で私を庇い
店員と私を引き剥がしてくれて
私は店外へ避難させてくれた
「ひっく…こわ…こわかった…」
私はこわくて泣き出す
「申し訳ございません!迫田先生!!服はスタイリストが購入してくれますので!!少し落ち着ける場所で休みましょう!」
担当の中澤さんが必死に謝罪をして私を気遣ってくれた
私は一度、南さんとホテルへ戻り気持ちを落ち着かせる
「うっ…うっ…やっぱり外の世界はこわい。小説の中だけでいい…」
「そんなこと言わないでください!今日はこわいことがありましたが、昨日は楽しかったでしょう?外の世界も悪くないですよ?」
「現実世界で生きていけない…」
「大丈夫です!ほら!仮彼氏の山倉さんが守ってくれますよ!元気出してください!」
「えぇ!?僕!?」
「可愛い年下の彼氏いいじゃないですか!ヒナ君も後輩キャラだし意外と好みじゃないですか?」
「あ…あの…僕は昨日だけの仮彼氏なので…」
「迫田先生が泣いてるのよ!男として元気つけてやってよ!」
「そ…そんな僕が出来るわけ…」
「何もやってないのに出来ないとか言うな!今日の撮影が流れたら自由行動の日程が1日なくなるのよ?死ぬ気でやる気にさせなさい!」
「ど…どうすれば…」
「南さん…山倉さんが困ってますから…もう私のことはほっといてください…」
「殻に閉じこもってちゃダメです!迫田先生が思ってるより世界は優しいですよ?」
「だってこわいもん!!外出たくない!引き篭もりたい!!!」
「えっと…こわい人は僕が追い払いますから…頑張って撮影続けましょう?」
「やだ!!こわい!!」
「たまには恋人のお願い聞いてくださいよ。」
「…え。」
「腕を組めば大丈夫ですよ。何もこわくありません。フランス滞在の間は僕が守りますから。行きましょう。」
「…恋人のお願いなら仕方ないから行ってあげる。」
「凄い!山倉君!ありがとう!!意外とあざとくて可愛い後輩キャラいけるのね!」
と南さんが言う
「こんな美人の恋人役をやれるのは光栄ですから。恋人ごっこならかっこつけれるものですね。」
「最高よ!さあ!撮影に戻るわよ!」
私達は元気を取り戻して撮影現場へと向かった




