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第32話 勝ち組の男

俺の名前は北条健

年齢は28歳

製薬会社の御曹司として生まれ

幼少期から会社を継ぐように教育されてきた

俺の家庭は学年上位を維持していれば

ある程度自由に行動してもいい家庭だったので

モデル業やYouTuberもやっていた

大学を卒業してからは会社の仕事一本になった

俺の人生は順風満帆で

まさに人生の勝ち組の道を歩いている




仕事の合間に結構空き時間が出来た

どこかのカフェで休みながら過ごそうと会社から出た

表参道を歩き、どこのカフェに入ろうかと迷いながら歩いていると

ものすごい八頭身の美人が歩道に立っていた

すげぇ…俺もモデル業やっていたけど

こんな迫力ある美人初めて会った

纏っているオーラが違う

誰もが振り返る圧倒的美人

美人すぎて近寄り難い

でも興味が湧いた

絶対に断られるけれど

どんな声をしているのか

どんな断り方をするのか

とても気になった

「ねぇ。そこの美人なお姉さん。よかったら俺と一緒にお茶しませんか?」

定型文のようなナンパを俺はする

どうせ断られるんだから別にいい

「…いいですよ。仕事の打ち合わせがあるので30分ほどしかお茶出来ませんけどそれでもいいですか?」

「え!?は…はい!!」

意外にも美人はにっこりと微笑み俺のナンパにのってくれた

こんな美人と30分もお茶出来るなんてラッキーすぎる

俺は1番近くのカフェに入りコーヒーを2つ注文した

「俺は北条健。28歳。普通の会社員です。」

「迫田玲です。27歳。小説家です。」

「迫田玲…」

その名前は知っている

大学時代に学友だった真中拓人の想い人

女関係は常にだらしなく不誠実だったけれど

男の友人としては気兼ねなく話せて、身分で差別したりしない、いいやつだ

恋人はだいたい2ヶ月で変わり

寧ろ何人も重複して付き合っていて浮気もしまくっていたし

女遊びは奔放だったのに

迫田玲と出逢ってからの拓人は

全くの別人になってしまった

迫田玲の虜になった

拓人にとっての初恋だったのだろう

愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して愛して

拓人は廃人になった

美奈子と結婚しても忘れることが出来ず

忘れる為に仕事に没頭し

それでも忘れることが出来ずに

何年も離れてもずっと好きで

遂には精神を病んで自殺未遂を起こした

全ての元凶、迫田玲

「私のこと知ってるんですね。」

「…時々テレビで見かけますから。」

「あまりいい印象ではないですよね。先週炎上したところですから。」

「そんなことないですよ。噂以上の美人で驚きました。」

「嘘はよくないですよ。」

「嘘なんてついてないですよ。迫田さんより美人な人は見たことないですよ。」

「そっちじゃなくて。私のこと印象よくないですよねって話です。私の名前を聞いた瞬間に顔色変えて明らかな敵意を感じましたから。私達一期一会の関係ですよ?取り繕う必要なんてないはずですよ。ありのままを話してください。」

「…俺は拓人の友人です。」

「アハハ!なるほどなるほど。じゃあ印象最悪で当たり前ですね!」

「会ったこともないのに失礼ですよね。申し訳ない。」

「いえいえ。謝るのは私の方です。北条さんの大事な友人を地獄に堕としてしまったのですから。」

「迫田さんはいつもナンパについて行くのですか?」

「そんなわけないじゃないですか。初めてついて来ましたよ。」

「どうしてですか?俺のことタイプだったとか?」

「私のことを下心なく誘う男の人はとても珍しいんですよ。北条さんはただの好奇心だけで声を掛けてきた。とてもレアなんですよ。そういう人は。だから付いてきたんです。」

「どうして下心がないとわかるんですか?」

「感ですね。」

「直感を信じすぎではないでしょうか?」

「私は私の感性を1番に信じています。世間の声や噂話は全く信じていません。私は私の感じたことを1番に信用して生きています。」

「感が外れたら困りませんか?」

「これが不思議なことにほとんど外したことがないんですよね。驚きの的中率なんですよ。それもあって私は1番自分の感性を信じているんです。だってあってるでしょう?私とこれから先付き合ったりしようなんて考えなかったでしょう?美人と話せてラッキーぐらいに思っていたでしょう?」

「エスパーですか?」

「小説家です。」

「恐ろしい観察眼ですね。」

「これだけが取り柄ですから。」

「底知れない恐ろしさがありますね。」

「私がですか?人生経験の浅いズボラな人間ですよ。何も面白味がないです。でもそう言って頂けるならありがたいですね。北条さんは人生経験豊富そうですね。」

「まぁ…色んな経験をしましたからね。学生時代はモデルやYouTuberもやっていました。」

「へぇ〜。アクティブですねぇ。YouTubeは何をされていたんですか?」

「趣味の釣り動画を上げていましたよ。登録者は5万ぐらいまでいきましたね。遊び程度に上げた動画ですがそこそこ利益になって面白かったです。」

「行動力があって素晴らしいですね。私は引き篭もってばかりなので別世界の話です。」

「やりたいことってないんですか?行動しないともったいないですよ。まだまだ若いんですから。」

「ないですね。私は小説を書ければそれでいいです。」

「家にいるだけだと飽きませんか?」

「全然!楽しいですよ!!1日中小説読んだり、ベランダから外を眺めて1日過ごすのも好きです。」

「ベランダから外を眺めて過ごす…?」

「はい。雲の流れとか見つめたりするんです。」

「た…楽しいんですか?」

「はい。」

「普通の感性ではないですね。」

「そうですか?うーん…私は現実世界で暮らすのに適していないらしくてどこのコミュニティでも浮いてしまうんですけど…小説を書く上ではある程度普通の感性って必要だと思っているんですよね。やっぱり民意に寄り添うことって大事だと思うんです。だから普通の感性を養いたいんですよね。」

「普通の感性を養いたいならたくさんの人と話すといいですよ。」

「とても的確なアドバイスありがとうございます。やはり人生経験が豊富だとアドバイスも的確ですね。」

「少しでも迫田さんの役に立ててよかったです。」

「友人の天敵なのに優しいんですね。」

「迫田さんは悪くないですから。印象は悪いですが…逆恨みするようなことはしませんよ。」

「ありがとうございます。」

「今日会って印象良くなりましたよ。色眼鏡で判断して申し訳なかったです。」

「いえいえ。ある程度有名だと色眼鏡で見られることばかりですからね。気にしていません。それに久しぶりにこんなに知らない人と話せました。とても楽しかったです。小説のネタにもなりそうですし…私こそ感謝しなければいけません。」

「俺が小説のネタにですか!?こんな短時間で小説のネタにして頂けるなんて光栄です。新作のモブキャラぐらいにはなれたでしょうか。」

「まさか。新作8作ぐらい書けそうですよ。」

絶句

やはり普通の感性ではありえない

天才型の小説家

「俺達の会話のどこにそんな面白味があったんですか?」

「会話が全てではないですから。その人の人生を聞くことで想像して世界を広げていくイメージですかね。」

「俺の人生はどんな想像が膨らんだんですか?」

「そうですね…私って美人じゃないですか。それなのに北条さんは全くと言っていいほど私に劣情を抱いていなかった。顔にドキドキすることもなく、胸元に目がいくこともない。これは本当に珍しいことなんですよ。考えられるのは…他に好きな女性がいるか。恋愛対象が女性じゃないか。」

「…本当に恐ろしい観察眼ですね。」

「フフッ。反応が素直すぎますよ。図星だと言っているようなものじゃないですか。」

「迫田さんの前では何も隠し事が出来ないと思っただけですよ。それに迫田さんが言ったんじゃないですか。一期一会だから腹を割って話せと。」

「そうでしたね。ありがとうございます。私の我儘に30分も付き合って頂いて。」

「いえ。恐ろしくも楽しい時間でしたよ。俺からお願いするのは出来れば俺の友人に優しくしてあげて欲しいってことかな。」

「ちょっと無理かも。」

イタズラっぽい顔で最後は笑って迫田さんはお茶代を置いて去って行った

興味本意で近づいて恐ろしい体験をしたな

全てを見透かすあの瞳を

拓人は恐いと思わないんだろうか

誰にも言ったことないのにゲイだとバレるなんて

本当に恐ろしい人だった

二度と会いたくないな






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