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第26話 会見

翌朝、ホテルで目が覚めて開口一番に南さんは言う

「会見を行います。」

「何のですか?」

「昨日の痴漢騒動のです!」

「抱きつかれただけだって…そんな大袈裟な…」

「大人気バンドの会場で痴漢騒動があったんですよ!?見てください!これを!!」

テレビのニュースは昨日の痴漢騒動の話で持ちきりになっていた

「なにこれ…」

「迫田先生が痴漢を許してそのまま解放してしまったことも批判されています。犯罪者を野放しにするなと。」

「当事者同士の問題を他人にとやかく言われたくないんだけど…」

「大勢の人の前で問題を起こしたのです。説明会見はしてもらいますよ。」

「めんどくさい…」

「本当に相手を訴えないつもりですか?」

「だからファンが気持ちが昂って抱きついてきただけだってば…そんなのよくあることでしょう?」

「訴えた方が穏便になるんですが…」

「可哀想じゃん。」

「急に抱きつくやつなんて全然可哀想じゃないですけど…」

「お騒がせしてすみませんでした〜って言えばいいんでしょう?」

「余計なこと喋らないでくださいよ!」

「わかってるって。」

私と南さんはそのまま出版社に向かい

私は出版社の会見ブースで会見を開いた

「この度は私の痴漢騒動でお騒がせしてしまい申し訳ございません。」

「大勢がいる人の場で私の配慮が足りていなかったです。」

「私のファンの方の気持ちが昂って抱きついてきてしまってそれが痴漢騒動になってしまいました。」

「抱きつかれたことは事実ですが…私も一般人ではなく、一介のプロの小説家としてファンが抱きつくこともあります。」

「彼にだけ痴漢被害として届出をすることはしません。」

「批判もわかりますが、これは私と彼の問題でもう終わったことです。これ以上は騒ぎにしたくありません。」

「最後に、素晴らしいライブをして頂いたJETSTERさんには感謝と騒動に巻き込んでしまったことを謝罪します。」


「迫田さん。痴漢が迫田さんに抱きついている映像がSNSで拡散しれていますが、どう見ても抱きついただけには見えません。首筋を舐められているようにも見えましたが…明らかに痴漢行為に見えます。それでも許すのはやはり犯罪を野放しにしていると言われても仕方がないのではないでしょうか?」

「え。」

まずい

全く記憶にない

確かに抱きつかれたけれど…

数秒で警備員が助けてくれたような気もするし…

「えっと…数秒でしたし…あまり不快な思いもしなかったので…」

「相手の男は交際を迫っていたという証言もあります!これからストーカー化する可能性もあるんじゃないですか!!」

「えぇ…こんな騒動になって過激なことはしないと思いますけど…」

「何を根拠に!痴漢を野放しにするのとは痴漢を助長することになりますよ!?犯罪者を庇うんですか!?」

「私のファンはちょっと過激な人が多いので…大目に見てあげてください…彼も反省してもうしないと言っていますので…」

「示談されたのですか?」

「え?いや…別に…」


「会見は終了です!ありがとうございました!!」

南さんが叫んで無理矢理会見が終了した

私はそそくさと裏の会議室へと入る

「はぁ…しんど…二度と出かけたくない…ろくなことにならない…」

「はぁ…ボロ出る前に会見終了してよかった…しばらくは自宅待機ですよ。表に出ないでください。」

「やっぱり家が1番だよ。人と関わりたくない。」

「本当は外に出かける機会を増やして引き篭もりはやめてほしいんですけどね…」

「やっと家に帰れる…」

「何言ってるんですか?これから謝罪行脚ですよ。」

「ええ!?私も行くんですか?」

「当たり前です。」

「私何も悪いことしてないのに…」

「社会は厳しいんです。ほら行きますよ。」

私は南さんに連れて行かれてそれからご迷惑をお掛けした方々に謝罪をして回った

へとへとになりようやく家へと帰る

「「玲!!!」」

とミナと拓人さんが2人で出迎えてくれた

「あはは…なんか大変なことになっちゃいました…」

「心配したのよ!大丈夫!?散々な目に遭ったわね可哀想に…」

「痴漢されている動画を見たよ。怖い思いをしたね…あんなゴミ庇う必要ないのに。俺が制裁を加えようか?」

「もう会いたくないからあの男の人はほっといていいの。はぁ…まさかこんな騒動になるなんて…暫く家に引き篭もる…」

「そうしなさい!ここは安全だから!ゆっくり休んで!」

「痴漢された感触は気持ち悪かっただろう?俺が上書きしてあげるよ。」

「ちょっと!!拓人!!今玲はデリケートな時期なんだからやめなさい!拓人も痴漢するつもりなの!?家が安全だと話したところなのにそんなことをしたら玲の居場所がなくなるでしょう!?」

「こわい思いをした恋人を抱きしめて慰めることに何か問題でもあるのか?」

「いつ玲の恋人になったのよ!余計なまねは絶対にしないこと!いいわね!!」

「嫌だ!俺の玲だ!!」

そう言って拓人さんは私を抱きしめる

ミナが拓人の顔面にストレートパンチを喰らわせた

「この!!変質者!!出ていけ!!」

「いってぇ!何すんだよ!美奈子が出ていけよ!俺が傷ついた玲を慰めるから!」

「好きでもない人から抱きつかれるなんて恐怖心しかないわよ!この変態ストーカー野郎!!」

「俺と玲は両思いだ!!」


「あの…疲れたので部屋に篭ります…」

私は言い争う2人をスルーしてヒナくんを愛でる部屋に入って引き篭もる

「やっぱり外は苦手だよ…ヒナくん…早く老化して私の小説だけ評価される時代になりたい…」



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