第25話 ライブ
今日は家政婦の鈴木さんと一緒にライブへ行く
JETSTERという国民的人気のバンドで横浜アリーナで今回はライブがある
私も鈴木さんもライブ初心者すぎてよくわからないけれど、とても混むらしいという情報だけはわかったのでライブ後は近くのホテルで泊まることにした
「うわぁ…こんなに人がたくさん集まってる所に来たの初めて…」
「私もです。凄いですね…。」
「圧倒されますね。」
「でもとても楽しみです。ほぼ毎日働いていましたし、休日に出かけるなんて何年ぶりでしょうか…」
「鈴木さんも仕事人間だねぇ。」
「他にやることがないだけですよ。」
私達は人混みに紛れながら、アリーナへと歩く
アリーナへ着き、開場時間まで少し時間があるのでグッズを買おうと思ったけれど、あまりにも長蛇の列だったので諦めて外で待つことにした
「あの…迫田玲先生ですか?」
外で待っていると20代の青年が声を掛けてきた
「はい。」
「わぁ!やっぱり!!俺迫田先生の大ファンです!いつもインスタ見てます!!」
「ありがとうございます。」
「あの…一緒に写真とかいいですか?」
「いいですよ。」
「本当ですか!ありがとうございます!」
私は青年とツーショット写真を撮った
「あの…SNSとか載せてもいいですか?」
「いいですよ。」
「ありがとうございます!本物はインスタの写真よりも数倍美人で驚きました!これからも応援しています!」
「ありがとうございます。頑張りますね。」
私は手を振って青年を見送る
「よかったんですか?SNS載せたりして…」
「私は芸能人じゃないから。知名度も一般的には高くないし、一部の人間が熱狂的に支持してくれるカルト人気なので。SNSに載せてもそんなに反応ないと思いますよ。」
「そうですか…?ここに立っているだけでほとんどの人が振り返りますよ。」
「それは私の容姿が気になって振り返ってるだけだから。私のことなんてほとんど知らないですよ。」
「美人すぎて芸能人よりオーラあると思いますけど…盗撮とかされてますよ?」
「人が多いとどうしても盗撮されることがあるから。仕方ないの。」
「変装とかしないんですか?」
「有名人でもないのにしないですよ。それにサングラスもマスクも帽子も苦手なの。邪魔になるから。」
「そうなんですね…」
開場時間になり、私達はアリーナへと入る
人混みに沿って歩いていると
「玲さん!!」
私は急に後ろから抱きつかれる
「えっと…どちら様でしょうか?」
「ハァ…ハァ…会えるなんて…嬉しい…実物可愛すぎる…いい匂いもする…」
「あの…離してくれませんか?」
「好きです…!俺…めっちゃ好きなんです…!!俺と付き合ってください!!」
「あの…とりあえず離して?ね?」
「無理…付き合ってくれるまで離せない…」
「あ…あの!困ります!離してください!!」
私が声を荒げると同時に警備員の方がやってきて
私と抱きついてきた男を引き剥がしてくれた
「大丈夫ですか?」
警備員の方が安全を確認してくれた
「はい…助けて頂きありがとうございます。」
「迫田玲さんですよね?」
「え?は…はい…」
「迫田さんがいると知られていることで会場が混乱しています。申し訳ございませんが、一般口ではなく、関係者席にご案内させて頂いてもいいですか?」
「え!?いやいや…私は関係者でもないので…迷惑になるなら帰ります。」
「せっかくライブに来たのですから帰るのはもったいですよ。会場の混乱を防ぐ為ですから。気にせず関係者席に座ってください。」
「でも…」
「お連れの方も1人でライブを見るのは寂しいですよ。2人ご案内出来ますからどうぞこちらへ。」
「…わかりました。」
私1人なら帰っていたが、初めてライブに来た鈴木さんを1人にさせるわけにはいかない
私達は警備員の人の案内により、関係席に通された
「相手の男はどうしますか?痴漢被害として警察にいいますか?」
「え!?いえ…抱きつかれただけなので…」
「抱きつかれるのは立派な痴漢行為ですよ。警察に届けた方がいいです。野放しにすると二次被害になりますよ。」
「あまり大事にしたくないので…反省してくれたらそれでいいです。」
「そうですか。怖い思いをしたと思いますが、ライブは楽しんで帰ってくださいね。」
「はい。お忙しい中、本当にありがとうございます。」
私達は関係者席でライブを楽しんだ
生演奏や生歌に感動して涙してしまった
ライブって凄い
ライブが終わり、ホテルへ帰ろうとすると
スマホに着信がたくさん入っていて驚く
担当の南さんから謎の鬼電話が来ていた
小説は書き終わったところなのに
何の電話なんだろう?
私は折り返し電話をする
「何やってんの!この馬鹿!!」
電話口で南さんが激怒している
「ライブに来てるだけですけど…」
「人が多いライブに変装なしで行ったらダメでしょう!?」
「ただの小説家なのに変装なんてしませんよ。」
「顔売りのインスタフォローワー20万人の美人小説家でしょうが!!」
「20万人なんて規模小さいですよ。」
「でかいわよ!実際、会場を混乱させたのでしょう!?」
「ちょっとだけ…」
「この馬鹿!!迷惑かけるな!!」
「申し訳ございません…」
「ライブ終わったんでしょう?今からタクシーで帰るの?」
「いや…近くにホテル取ったからそこに泊まるよ。」
「はぁ!?後つけられたらどうするの!?」
「そんなことされないって。」
「されるの!自分の美貌にもう少し危機感をもちなさい!」
「じゃあどうすればいいの?」
「私が着くまで解除の外で待ってなさい。」
「ええ…大袈裟な…」
「大袈裟じゃない。有名人なのことを自覚しなさい!!」
「疲れたから早く帰りたいのに…」
鈴木さんは1人で先にホテルに向かって貰った
私は会場の外で南さんを待つ
南さんはバイクで会場までやってきた
「ほら!乗って!」
私は南さんのバイクに乗り、ホテルへと向かった
「大馬鹿!!迫田先生のことがネットニュースになってるわよ!!」
「えぇ?」
「ライブ会場で迫田玲が痴漢被害。会場はパニックに。」
「抱きつかれただけなのに…」
「ファンとのツーショットをSNSに載せることは禁止します!!」
「どうしてですか?」
「危険だからです!今どこにいるとか知られたら凸されたりするでしょう!?危機管理をしっかりして頂かないと困ります!」
「もう外に出たくない…」
「もう出なくていいです!特に大勢の人がいる場所は今後避けてください!いいですね!!」
「わかりました…」
せっかくのライブだったのに
変な人に出会ってしまったせいで騒動になってしまった
やっぱり人混みは苦手だ




