第14話 カフェ雑談
打ち合わせが終わり、部屋を出ると拓人さんは居なくなっていてホッとした。諦めて帰ってくれたようだ。
「ねぇなんで真中さんが来たの?」
南さんが言う。
「なんか意味不明な状況に巻き込まれてて…。」
「どうしたの?」
「端的に言うと、真中さんの愛人になって欲しいとお願いされてる…。」
「は!?」
「いやホントは!?だよね〜…。」
「それで受けたの?」
「そんなわけないじゃないですか…。」
「へー。あんな廃人になるぐらい好きだったからすんなり受け入れると思った。」
「昔の話です…。」
「まぁまた捨てられて私が世話すんのも大変だし。断ったならもう関わりないんじゃないの?」
「それが…拓人さんのお嫁さんの小説を書くことになって…。」
「何故そうなった!?」
「私のファンって言うから仲良くなって友達に…。」
「えええええ!!友達に!?貴方と!?」
「うん。」
「貴重な友達が元彼のお嫁さんって複雑ね。」
「本当にね。」
「それで小説がまだ書き終えてないからまだ関係が続いていると?」
「そうですね…。」
「ちょっと意味がわからない状況すぎる。始めから丁寧に話してくれない?」
「はい。私もどうすればいいのかわからなくて聞いて欲しいです…。」
私達はカフェに入った。私は出来るだけ今の状況を細かく南さんに話をした。
「貴方本当にバカね。騙されて壺買うタイプ。」
「賢くなりたい…。どうすればいいですか?」
「うーん。貴方は真中さんと美奈子さんが再構築することを望んでいるのよね?」
「そうです。」
「それってなんで?」
「なんでって…それが一番平和に解決出来るじゃないですか。」
「そうかな。一番難しいし、一番無理そうよ。」
「どうしてですか?」
「だって美奈子さんも真中さんも歩みよる気がないもの。」
「ミナは離婚する気ないもん。」
「離婚する気はなくても貴方を生贄にして結婚生活を続ける気なんでしょう?」
「生贄って…。」
「そうじゃない。」
「………。」
「貴方よくそんな人間を友達に出来るわね。」
「だって…可愛いから。」
「バーカ。」
「はい…。」
「とにかく再構築は無理。貴方は選ぶべきよ。」
「何を?」
「愛人になるか。離婚して真中さんと一緒になるか。」
「どっちも嫌なんですけど!!」
「どうして?今も真中さんが好きなんでしょう?」
「好きだけど…。」
「じゃあなんで嫌なの?」
「だって…私達は終わったのに。」
「終わってなかったのよ。だから今こんなことになってるの。よかったじゃない。あんなに大好きだったんだから。離婚して貰って真中さんとまた恋人になったら?」
「…無理だよ。」
「どうして?」
「私達は釣り合ってないから。」
「そんなことないわよ。」
「あるよ!私は本気で好きになられるなんて思ってなかった…。遊ばれてるだけだって。私は本気で好きでもそれでよかったんです。だから…」
「今更本気になられても困るって?ただ恋愛ごっこがしたかっただけってこと?」
「恋愛ごっこだなんて…私は本気で好きだったし…。」
「本気で好きだったけど、捨てられることを望んでたんだ。」
「………。」
「どうして?」
「…あんなエリート一家の親族になれるわけないじゃない。」
「え?それだけ?」
「…恋愛に溺れるようになるのがこわい。私って感情的に生きてるでしょう?だから大恋愛なんてしたら周りが何も見れなくなりそうで…。こわいの。せっかく運良く小説家になれたのに。小説家の仕事がなくなった私どうやって生きていけばいいの?」
「はー。なるほどね。ゼロか百しかないタイプだもんね。真中さんなら大丈夫じゃない?信じてついていきなよ。」
「絶対無理!!あの人私の小説読んでないんだよ?私の顔ファンってことでしょう?ばばあになったら急に冷めて捨てられちゃうよ!!」
「小説と顔だけが全てじゃないんだから…。」
「私から顔と小説取ったら何が残るのよ!」
「まぁほぼ何もないけど…。」
「でしょう!拓人さん私のこと好きって言うけど何処が好きなのか全然わかんない!そんな人信じて付いていけないよ!」
「じゃあなんで玲は真中さんが好きなのよ。」
「それは…初めは努力家で頑張ってる姿がかっこいいなと思ってそれからは理屈じゃなくてただ大好きになっていったの。拓人さんに大事にされてる時間が嬉しくて好きみたいな…。」
「それは真中さんも同じじゃないの?理屈じゃない。ただ貴方が好きなんだと思うけど。」
「…それでも信じて付いていけないよ…。だって拓人さん私には優しいけど、ミナにはめちゃくちゃ冷たいんだよ?信じられないぐらい!!いつか私もあんな扱いされそう…。こわ〜。」
「真中さんが信じられないから美奈子さんと再構築して欲しいってこと?」
「そういうことかな。」
「疑心暗鬼すぎない?もうちょっと人を信じて生きていこうよ。」
「そんなのバカな人がするのよ!あの人を信じていたのにーって捨てられた女に何が残るの?信じるからダメなのよ。絶対自分で勝ち取ったものしか信じてはダメ。人を信じて人生を捧げるなんてバカがやることよ。」
「結婚ってそういうもんじゃないのかな…。」
「人を信じる契約なんてやるもんじゃないわ。結婚するにしても予防線は絶対張るべきよ。いつ捨てられても大丈夫なようにね。」
「迫田さんは小説家だから捨てられても大丈夫じゃない。」
「小説家なんて不安定な職業いつ売れなくなるかわからないじゃない!!女子高生小説家としてデビューしただけの張りぼて小説家なのに!」
「それだけじゃないじゃないですか…。しっかり大賞も何度も取ってるし…。」
「私が取ったほうが話題になるだけでしょう?あんな話題性持たせる為だけの受賞なんて意味ないんだから!」
「凄い偏見だ…。ちゃんと小説で判断してますよ…。」
「絶対嘘!私より優れた小説なんてゴロゴロあるんだから!」
「自己評価低すぎますって…。迫田先生もいいもの書いてますから。」
「顔だけの小説家として売り出した犯人のくせに!」
「ポストカードがあんなことになるなんて思わなかったんですよ…。」
「私はばばあになったら何の価値もないんだ!こわいよー!!」
「迫田先生はばばあになっても美人だから顔売り出来ますよ。」
「ばばあの顔売りなんて聞いたことないわよ!」
「うーん。需要あると思いますけど…。」
「絶対やんないから!」
「売れなくなったらやってみません?」
「やだやだやだー!!こわいよー!!」
「写真集も一回とは言わず何回もやりましょうよ。」
「絶対やだ!!一生に一回だけ経験としてやるだけなんだから!!」
「人生経験もっと増やしましょうよ〜。」
「社会人って稼ぐことしか頭にないからやだ。」
「みんなやりたくないなーと思いながら働いてるんですよ。そんなこと言わないであげて下さい。」
「全ての社会人に感謝します。働いてるって素晴らしい。私にはとても出来ない。」
「私にも感謝して下さい。」
「いつもありがとうございます。」
「ふむ。宜しい。」
そう言って私達はカフェを出て解散した。私は小説の続きを書くためにミナのパソコンのデータからSDカードに転送させる為に真中家のマンションに行った。鍵は拓人さんがいつでも来ていいと言われたので有り難く頂いた。鍵をあげて部屋に入ると
「なにこれ…。」
私の私物のときめきダイアリーヒナくんグッズが部屋に運ばれていた。




