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第4話:bump

俺は、空を見上げながら

ため息まじりで村の教会に向かって歩いている。


これから俺が受けに行く儀式だが、

この世には大雑把にわけて、スキルの基本となる四大型がある。


攻撃型、魔法型、感覚型、操作型の4つだ。

ただ、魔法型は四大型の中でもレア枠になる。


コイツは生まれた育った環境や血統によるものが大きい。

魔法型は代々魔法型の家系でもなければほぼ無理だろう。


例えば、今向かっている教会の神父とかがそうだ。

アレは世襲制で代替わりしている。


だので、大体の人は他の型に当てはまることになる。

どの型にハマるかは・・・、まあ、主に10歳までに育った環境で主に左右されるが、おおよそ想定することが出来る。


筋肉がつきやすかったら攻撃型。感覚型は目立ちたがり屋とか不思議ちゃん。操作型は指示厨だったり金にうるさかったりなどだ。


「・・・・何で俺は」


そこまで考えて、目的の場所についていた。


俺は教会に入り、神父に挨拶をしたのち、

小部屋に通された。中には看護婦が待機をしていた。


ーーー

ーー


「ーーーいいですか? わかりましたか?」


「はーい。」


俺は看護婦の説明を適当に相槌をしながら聞いていた。

看護婦は怪訝そうな顔をしていたが、しばらくして準備のために忙しなく動きはじめた。


「・・・はぁ。」


俺はバレないように小さくため息を付いた。

一度経験しているから余計に思うが、コレは何度も経験したい体験ではない。


10歳までにスキル型の適正は決まる。が、この儀式を12歳まで待つには一応理由がある。


「では、こちらを飲んでください。飲むとーーー」


俺が憂鬱な面持ちでいると、そんな事も意に介さず、看護婦は俺の眼の前に、お猪口のような小さいコップに注がれた白く濁った毒を渡して説明をしてきた。


「ーーー。」


・・・コレだ。この真っ白に濁った液体。

俺はこれから自分の体に襲う事態を思い出して本当に憂鬱になる。


深呼吸をして、心を落ち着かせる。

看護婦も俺を安心させるためになにか言っているようだが、正直何も聞こえない。


要は

この毒を飲むと、体が毒に対して防衛反応を起こすことで結果的にスキルに目醒めるらしい。

ただ、その代わりに風邪のような高熱をだして1~2日寝込むことになる。


10歳で儀式をしなのはこのためだ。

死ぬほどの毒ではないが、最悪、高熱による後遺症を患う可能性がある。

そのため、12歳になってからこの儀式をすることになっている。


「・・・ごく。」


俺はもう一度深呼吸をして、覚悟を決めてソレを一口で飲み干した。


「うぇええ・・・」


相変わらず味も最悪だ。形容し難い。

看護婦は吐かないように。と、俺になにか言っているようだが、そんなことはわかっている。


・・・戻しそうだ。気分が悪い。

毒の効果が出るには時間がかかる。


看護婦は俺をベッドに寝かしつけ、部屋を後にした。

俺も正直何もすることがないので、そのまま寝ることにした。


ーー

ーーー


その日の夜から、俺は高熱にうなされた。


ーーーそして、次の日の夜。


「では、モドー。いいですか。この灰を掴みなさい。」


症状が軽減してきていたが、今日はやることがある。


「はい・・・。」


神父が俺に灰を掴ませる。

俺はまだフラつきと気持ち悪さを感じながら、灰を掴む。


「・・・・では、掴んだ灰をこちらに。」


俺はしばらく灰を握った後、

パラパラと紙の上に静かに落とした。


「では確認をします。」


神父が指で灰を掻き分けている。

要は、四大型の何型に目醒めたのか?の判別をしているのだ。


風邪で高熱が出ている。というのは、

裏を返せば生命のオーラ、要はスキルを使うためのガソリンが活発に吹き出ている状態と同じだ。


スキルに目覚めたばかりの子供に生命オーラを出したり抑えたりと制御しろ。と言うのは難しい。

なので、制御出来ずに勝手に吹き出ているときを利用して判別しよう!というわけだ。


「・・・ふむふむ」


他にもいろいろ診断方法はあるが、これが1番詳細に分かる方法と言われている。


この灰の正体が何なのかはわからないが、

例えば、攻撃型なら灰の中に赤色の結晶が生成される。魔法型は青、感覚は橙、操作は緑だ。


型の判断は、結晶の色、数や大きさなどで評価される。

色が濃ければその型での適正が高い。

結晶の数が多ければ広く浅い適正。

数は少ないが、大きい結晶が有れば、なにかに突出している。

などだ。


「・・・ぉ! おお? これか!」


神父が結晶を見つけたようだ。

潮干狩りで大きめのアサリを見つけたお父さんのような反応をしている。


・・・今のところコイツ砂いじりしかしてないな。

コレだから魔型は。。


俺はベッドでその光景を横目で見ながら、また眠りにつくことにした。


ーーー

ーー


ーーーさらに次の日。


全快した俺は、教会を出て自分の家に戻っていた。

高熱を出していている最中、母親も来ていたらしいが、、、寝ていたのか記憶がなかった。


「ーーー。」


俺は家の近くの川で寝転がりながら、小さな瓶を見つめている。生成された結晶が、この小瓶の中に詰められている。


俺の結晶は

濁った灰色の結晶だった。


基本の、四大型と言ったのはこのためだ。

稀に四体型のうち、2つが組み合わさることがある。

灰色が出来るパターンは「①赤+緑」もしくは「②青+橙」のどちらかだ。


俺の場合は②だ。

父親もそうかはわからないが、たぶん、母さんは魔法型だと思われる。

直接聞いたことはないが、薬屋をやっていることを考えると錬金術師としての適性があるのかもしれない。


「・・・・よっ。と」


俺は起き上がり、無言で紙にリンゴの絵を描き、

そして、絵からリンゴを取り出した。


俺のスキルは、絵に書いたものを取り出せる能力。らしい。

これだけ聞くととてつもないスキルに聞こえるが・・・。


俺は取り出したリンゴを睨みつけ、

そして齧った。


「がぶっジョリ、ジャリ・・・。ぺっぺっぺっ!」


・・・砂だ。

こうなる前とやはり全く同じだった。


絵に描いた餅は、取り出せることが出来ても

見た目が餅なだけでソレが餅とは限らない。


「・・・魔法型でもこんなスキル。どうしろっていうんだ。」


砂のリンゴ。

浮かばない風船。

枯れないバラ。


水を生成したとして、味が無味で問題なさそうだったとしても、本当にそれが元素周期表でいう水と等しいか、確証がないのだ。

なので食べ物を生成して体に取り込むのは怖くてできない。


だから俺は、母親の薬屋の後をやりながら絵を描いて余生をほそぼそと過ごすしかなかった。


「どうせ魔法型なら、もっと電気とか使いたかったなぁ・・・。」


俺が物思いにふけっていると、後ろから声がした。


「・・・ほむ。なかなか面白いスキルを持っているようだ。」


声がした方に視線を向けると、

婆さんとフードを被った同年くらいの子供がいた。


俺は驚いていた。

本来、スキルは初対面の相手には隠しておくべきだ。

相手に先に情報を与える事は立場的に不利でしかない。


しかし、いまはそんな事ではなかった。



俺は

前の人生でこの二人に会ったことはなかった。



ーーー第5話につづく

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