試験結果の発表
数日後、錬金術アカデミーの試験結果が王都の広場に張り出されるという知らせが届いた。エメリウスは朝早くから広場へと向かった。すでに多くの受験者が集まっており、ざわめきが広がっている。
「受かったかな……」
エメリウスは自分に言い聞かせるように呟きながら、人混みをかき分けて掲示板の前に立った。
試験結果は名前順に並べられていた。彼は緊張のあまり手を握り締め、ゆっくりと視線を動かす。
——あった。「エメリウス・フェルド 合格」
彼の目にその文字が映った瞬間、全身の力が抜けるような感覚に襲われた。
「やった……!」
喜びが込み上げるも、思わずその場で叫ぶことは控え、ほっと胸を撫で下ろす。
「おお、エメリウス! 俺も受かったぜ!」
カインが駆け寄ってきて、彼の肩を叩いた。
「カインもか、よかった!」
「まあな! でも、これからが本番だぞ。」
エメリウスは頷く。試験に合格したとはいえ、錬金術師としての道はまだ始まったばかりだ。王都の錬金術アカデミーは名門であり、入学後も厳しい授業や試験が待っている。
他の受験者の中には、悔しそうにうつむく者もいた。その姿を見て、エメリウスは自分が合格できたことの重みを改めて感じた。
「俺たち、これからどうする?」
カインが楽しそうに言う。
「まずは入学手続きだね。それと、寮の準備もしないと。」
アカデミーでは学生寮が用意されており、学内での生活が基本となる。エメリウスにとっては初めて親元を離れることになり、期待と不安が入り混じっていた。
「よし、行くか!」
二人は入学手続きを行うために、広場を後にした。アカデミーの門がこれからの新たな生活の始まりを予感させるように、堂々とそびえ立っていた。