若者たち
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いい写真ないわよ?そうね……学生時代はバスケ部の主将と生徒会長してたわね…これとか?」
「えっ……愛先生…高校生の時も可愛い…!ショートヘアだったんだ…」
「意外でしょ?それでこれ、隣が舞姫よ…妹」
「舞姫さんも高校時代はショートヘアだったのか……姉妹揃って凄く美人…」
─ある日の昼休み。生野さん達は仕事中だったものの、私は学校だった。学校生活に忙しい日々だが、ある程度クラスには馴染めていた。しかし、私はオッドアイ、夜海は二十歳の高校生、仁愛は刺青─というレッテルを貼られてるため、私達はクラスから浮いてしまい、私達も基本三人で行動し、お昼は愛先生と食べているのだ。
「へぇ……ギャップ萌え凄い……でも高校生の時と比べると…凄く成長したよね…」
「うんうん……今は凄くボインって感じ…メロンが机に乗っかってるし」
「……それは、バスケ辞めてから…どんどん胸が大きくなっちゃって……昔は舞姫の方が少し大きかったんだから」
「生野さん羨ましいだろうなぁ……でも先生は…」
「………この前の合コン、最悪だったわ…酔ってたし服の下に手入れてきて、胸触られた」
「肩こりに悩まされるくらい大きいもんねぇ…」
「ほんとよ……それで、夢玖ちゃん、この土地はどうかしら?」
「……私が産まれ育った、大阪のあいりん地区よりも綺麗……皆いい人」
「そう。良かった……舞姫の制服あって良かった…サイズは大きいかもだけど、何とか着れてるわね……」
「ふふっ。学生時代の愛先生も舞姫さんも可愛い……こんな美人な人が担任なんて…ほんま嬉しい」
─夜海が興味本位で、愛先生に学生時代の話を聞いてきた。すると愛先生は携帯で写真を探してると、ショートヘアの女子高生の写真を私たちに見せてきた。それが、高校時代の愛先生らしい。が、今は髪を伸ばし、高くポニーテールに纏めている。それに何より──学生時代と今の、胸の成長具合が全く違う。当時の舞姫さんもショートヘアで、当時は美人で有名な姉妹だったのだとか…。
「まあこの写真…舞姫とは高校生別だったから、一緒にバスケした時の写真なんだけどね」
「へぇ……これですっぴんとか、凄い美人だよね」
「ね……ところで夢玖ちゃん…廉命君とはどうなの?」
「え」
─すると、愛先生の話に興味深々だった夜海と仁愛が私に質問をしてきた。あれから廉命さんとはどうなのかを─。正直、今の私には化粧や恋に何も興味が一切ない─。だから、廉命さんが私だけに対して好意的な一面を見せてきても、なんとも思わない…。そして、愛先生もその話に加わった。
「廉命君って……誰?」
「この子です……生野さんと夢玖ちゃんと同じバイト先で…実は私と同級生なんです」
「中々のイケメンだけど、ケロイド凄いわねぇ…」
「ですよね……凄い背も高いし、夢玖ちゃんとお似合いかなぁって思ってたんです…」
「…昨日、バイト先の皆でご飯行ったんですけど、廉命さんが私の隣で大盛りご飯かき込んでました…なんか、私の匂いをおかずにって…」
「……やること凄いわね…」
「はい…。ほんとに意味不明な人です」
「まるで私のお父さんみたいだわ……私のお父さん、医者なんだけど、料理にチョコだのいちごオレだのマシュマロだの入れてくるのよ…四十代のおじさんなのに」
「……そのお医者さん、大丈夫なんですか?」
「あれでも優秀な医師よ…。しかも今、ご飯作りに来て欲しいって連絡寄越してきたし…そうだ。今夜会ってみない?」
「…………奥さん、怒らへん?」
「大丈夫。煌星家は父子家庭だし、舞姫もよくお父さんの手伝いに来てるわ…希望君もお世話になってるし」
─幸い、その日のアルバイトはなく、学校が終わってから、愛先生の仕事が終わるまで私達は教室で時間を潰していた時に、仁愛があることを話してきた。
「夢玖ちゃんって……お化粧興味あったりする?」
「………いや?」
「バレないようにお化粧してみようよ。絶対可愛いからっ!」
「……スキンケアぐらいしかしてへんよ?」
「日焼け止め塗って…パウダーして……涙袋書いて……」
「可愛い〜!それじゃ私のリップ貸すね!色白だから凄く似合う〜!」
「ふぅ……やっと仕事終わっ……ってあなた達、何してるのよ…?」
「先生、来るの遅いから夢玖ちゃん可愛くしてました!」
「…はぁ。本当は生徒指導の対象に入るけど、お父さん心配だから、今回は見逃すわ…行くわよ」
─化粧についてだ。ファンデーションやアイシャドウなんて単語も知らない…。でも仁愛は構わず、化粧ポーチから何本かのペンシルとパウダーを取り出しては私の顔を化粧した。仕上がったタイミングで愛先生が教室に入ってきて、彼女は今回に限って見逃してくれた…。夜海達と愛先生の車に乗り、その医者が勤める病院まで足を運んだ。
「南北北病院……」
「そう。私のお父さん、ここの院長なの」
「思ってた以上に大きい…ってことは、愛先生のお父さん、中々家に帰れないのか…」
「そうよ……定時で上がれたとしても、緊急外来でそれどころじゃなくなって、朝帰りすることだってあるのよ……だから、私と舞姫がたまにご飯作りに来てるの」
「……料理にマシュマロとかいちごオレ入れてる医者が……愛先生のお父さん……」
「…会えば分かるわ。中に入るわよ」
─車を走らせ、三十分ほどが経過し、愛先生の言う病院に着いた。思っていた以上に大規模な病院で、驚いたが、愛先生の言ってたことがすぐに頭をよぎった。愛先生に手を引かれ、病院の中に入った。階段を登り、ある部屋の前に着き、愛先生がノックすると、ドアが開き、その向こうから細身の中年男性が出てきた。
「なんだ愛……病院に着いたら電話しろと言ってるだろう……」
「お父さん、疲れて寝てるのに起こしたら悪いかなぁって…ほらこれ、ケーキとご飯……」
「すまないな…ありがとう。それで…この子達は……」
「とりあえず、お父さんお疲れでしょ?今日も定時上がりだし、お父さんの部屋まで行くわよ」
「あ、お姉ちゃん……お父さん手術後でお疲れだから、部屋まで送ってってあげて…私ももう少しで来るから」
「舞姫もお疲れ様。あなたの好きな茄子の揚げ浸しもあるし、お父さんとこの子達連れてくわね」
─愛先生は彼女の父親の手を引き、廊下を歩く。舞姫さんもいて、「また後で」と彼女と一度別れ、そして病院を後にし、愛先生は私含め皆を車に乗せ、某マンションまで車を運転した。
「すう……すう……」
「あの……お父さん、寝てますけど…?」
「ほら、お父さん起きて」
「ん……愛…」
「今ご飯温めてるところだから。あとこの子達紹介するわね」
「ん……悪いな…」
「この子は如月夢玖……大阪出身で気分でオッドアイの色が変わるのよ?猫ちゃんみたいでしょ」
「んん…ゴロゴロ…」
「この子は影食夜海……実は家庭の事情で二年間高校休学してて、二十歳の高校生なのよ」
「そしてこの子は松寺仁愛…。刺青入れてたり、ピアス開けてたり……色々複雑なのよね…でも明るくて美人な子よ」
「最近の若者は個性が強すぎる……皆、娘が世話になってるな……私は「お父さ〜ん!」
「舞姫……家に入る時はインターホン押せと何度言えば……まあいい。私は煌星癒…四十五歳独身…愛と舞姫の父親だ。先ほど来てた南北北病院の理事長兼院長だ。娘が世話になってるね」
「よろしくお願いします…」
「……この人が…料理にいちごオレ掛けてる人…」
─愛先生の父親を部屋に入れ、彼をソファに座らせ、愛先生はバッグから大きなタッパーを取り出しては電子レンジに入れ、それを加熱する。相変わらず疲労でボロボロになっているが─それに構わず愛先生は私達を彼に紹介する。彼は煌星癒─。四十五歳独身で、南北北病院の理事長兼院長をしてる医師だ。彼が自己紹介しようとすると、舞姫さんが部屋に入ってきた。そのタイミングで電子レンジの音が鳴り、みんなで食べることになった。
「ってことがあって……初めは希望君が夢玖ちゃんを見つけたの……今では私達と一緒に暮らしてるよ……希望君少食だから食費は変動しないけどね」
「それに……猫ちゃんみたいなの……あ、お父さんは触れちゃだめよ?猫アレルギーなんだから」
「雰囲気だけで十分だ。にしても如月君、良き仲間に恵まれて良かったな」
「はい……」
「生野君は……小さい頃から私が担当しててな…舞姫と出会って良い二人組になれたのが嬉しいんだ」
「舞姫さんと生野さんの出会った当初、気になる〜」
「分かるっ!」
「それはまた今度話すよ……お姉ちゃんもいい加減彼氏作りなよ…」
「……この前合コンで会った男の人に胸触られたもん……暫く恋愛はいいかしら」
「……愛も、良い人はすぐ近くにいるんじゃないか?」
「へっ…?」
「いや、失礼…。まあ、君達の担任が愛なら安心だな……私のことは院長と呼ぶといい。皆からもそう呼ばれてる……愛、この子達を頼んだぞ」
─その夜は楽しい夜となった─。だが、夜海にも仁愛にも──凪優にも、愛先生や舞姫さんにも─それぞれの辛い過去があるとは─この時まだ知らなかった。
……To be continued
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