集い
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※修正版です!
─ある日の夕方だった。その日は如月にとって、人生初のアルバイトで、今日はここでの規則や従業員を紹介し、一日の流れをざっくりと学んでもらおうとしていたところだ。
「よし、今日からだな……この前夜海ちゃん達と来た時は店長と廉命しか紹介してなかったよなぁ……」
「うんうん…。人によって休みの日や休憩時間も異なるし、今の時間帯、お客さんも少ないし、店内を周りながら行こうか」
─俺と店長は如月を連れて、彼女に職場の制服を渡した。彼女がそれを着てみると思った以上にダボダボではあったが仕方ない……のだが…
「あと、髪は結べ」
「え……ゴムないです…」
「それなら……舞姫から借りたこのヘアクリップで……留めるわ」
「ありがとうございます。てか生野さん……髪纏めるの得意なんですね」
「あぁ。これくらい簡単なことさ。それじゃ、売場回ろうか」
─俺と店長は如月を売り場の色んなコーナーへと案内しては、そこの担当する人々を彼女に紹介した。ゴルフにスポーツメガネ、シーズンに競技…カジュアル…そして、俺と廉命が担当するシューズコーナーへ……早速俺は競技コーナーに彼女を案内した。ラケットコーナーに立つ、男性の社員が立っていて、俺達と顔を合わせるとさっさと仕事戻れ、と言わんばかりだった。
「この人は加堂さん。今年で二十八歳の悪人面だけど、悪い人じゃないから」
「あ?何このガキ」
「色々あって、ここでバイトするようになった如月だ」
「へ〜、オッドアイが特徴的なのか……てかちっちゃいな……今すぐにでも飢え死にそうに見える」
「そういうとこだよ……こう見えて加堂さん、昔は有名なアメフト選手だったんだから…」
「……眼鏡、似合ってない……」
「んだと…生意気なやつだな?一発殴られたいか?あ?」
「ちょっと…加堂さん……ごめんね?如月さん……この人は「すみませーん、ガット張りお願いしたいんですけど」
「はい、お名前とご希望の日時、教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
「………仕事はちゃんとする人だから」
─俺の頭半分背が高く、肩幅広めで、悪人面で眼鏡が似合ってない男性は加堂霧也─。彼とは入退院していた病院で出会った。出会った当初、俺は一発殴られた。彼は結果重視の人間で、昔有名なアメフト選手だったが、大怪我により余儀なく引退はもちろん、就職活動に失敗し、今に至る。
─彼は今年で彼は二十八歳になる。彼の両脚に付けられた、アキレス腱断裂用サポーターと、ハーフアップに結われた黒髪、何よりもその悪人面を見るだけでも初対面の人は怖がる。
「ありがとうございます。こちらお控えになりますので、レジまでお持ち頂くようお願いいたします。ありがとうございます!」
「……いやぁ、悪人面って怖いねぇ…」
「お前の立場が俺より上で残念だわ……それで、このガキはどの売り場担当すんだよ?」
「一応シューズかなぁ……てかこの子は如月さんね?一応十七歳だからね?」
「はいはい……如月ちゃん、よろしくね」
「生野さん……この人の下で働いて怖くないんですか?」
「俺も最初は驚いたけど、大丈夫。悪い人じゃないからね」
「よし、次はスポーツメガネのところだ。それじゃ加堂君…ガット張りね」
「あぁっ?死ねっ!このガキ共ぉっ!」
─だが、仕事は一流だ。アメフトを中心に、バスケやバドミントン、テニスやバレー…サッカーや卓球、野球の知識が豊富で、少なくともスポーツ業界に必要な人材だ。俺と店長は次に案内したのはメガネ売り場だった…。
「やっほー福さん」
「あ、生野と店長……てかその子は?」
「この子は如月さん……今日からここでバイトすることになったんだよ」
「へぇ…オッドアイか……視力良さそうだね」
「だろ?てか、煙草臭くない?」
「悪かったね……一応売り場戻る前には消臭してるんだけど。あ、そろそろあいつ休憩から戻ってくるかも」
「福吉さん、休憩から戻りました」
「お、丁度良いところに……紹介するね、こいつは盾澤雷磨。俺の二つ下で、弟なんだ。雷磨、この子は如月さんと言って、今日からここでバイトすることになったんだよ」
「ちなみに、俺の一つ歳上でもあるんだよ…雷ちゃん凄いぞ〜?医大生なんだ」
「ちなみに俺も元医師だよ…と言っても研修医だけどね……俺達はメガネ売り場を担当してるんだ。スポーツに必要なメガネは勿論、視力も測るし、お客さん一人一人に合ったメガネをカスタマイズしてるんだよ」
「……にしても店長と雷磨さん…性格が正反対」
「よく言われるよ。でもこいつ、怒ると死ぬ程怖いからね」
─メガネ売り場のカウンターの前に立っていて、眼鏡のレンズを拭いている銀髪の男性は、目白福吉…。今年で二十九歳になる、元研修医の男だ。医大生の頃からここでアルバイトしていて、彼の興味本位で眼に関する知識や資格を得て、このメガネ売り場を担当している。元上司の影響で喫煙もしており、細身の割には大食いでもある…。俺も福吉さんから煙草を貰い、試しに吸ったことがあるが、即咳き込んでしまった時もあった…。
「よ、よろしくお願いします…!」
「こちらこそ。僕は盾澤雷磨。スポーツ眼科医を目指してる医大生です。もちろんネトゲも欠かせません。よろしくお願いしますね」
「……俺が初めて出会った時もそんな感じだったよなあ……最近の若者は分からないよ」
「福吉さんもまだギリギリ二十代だから大丈夫でしょ……」
「ん?なんか……隠れてたような……?」
「……雷磨は勉強のし過ぎで疲れてるんだよ…真面目なのもいいけど、自分自身を大事にしなよ…もう」
「早朝マラソンからの公園のゴミ拾いを毎日してる兄貴には言われたくない……本当にいたんだよ…ずっと後ろから僕らのこと見てたよ」
「…さすが、院長の手術…。肉眼でも感じる存在は見えてるのか…俺は見えなかったけどね。ほら生野、最後にシューズコーナーにも連れてあげな」
「だな。また後でなぁ〜。雷ちゃん、今夜のネトゲで加堂さん倒そうな」
「もちろんです。ぶっ潰しましょう!」
─雷磨や福吉さんと色々話をし、メガネ売り場を後にした。中々気付けずにはいたが、入店したての時も違い、如月は少しずつ人に慣れてきてるようだ。加堂さんと話した時は俺の後ろに隠れてはいたが、店長や俺、福吉さんあたりと話していくうちに前に出るようになった。でも雷磨が言う「隠れてた存在」の正体が俺にもよく分からなかったが、俺達はシューズコーナーへと向かった。
「ここが前来たシューズコーナーさ。如月さんにはここを担当してもらおうかなぁって考えてるよ」
「シューズ……」
「例えば…俺の履いてるシューズ、派手で凄いでしょ……運動だけじゃない。仕事にも日常履きとしても使える…」
「まぁ最初は分からないこと多くて辛いかもしれないけど、大丈夫だ」
「………なんか、雷磨の言ってたこと…俺分かったかも……」
「嘘…実は俺も……てか近くにいますよね?」
「だよね……全く。自分の図体を理解してないで隠れるのは不可能だ。影薄くても分かる……廉命、出てきなよ…」
「おら、廉命…お前ずっと俺達の後つけてたの?」
「いや…その……如月、さんが……」
「あ、なるほどね……」
「いや、話はまだ…っ!」
「……?」
「なんか、甘酸っぱい日々が訪れそうだね……そろそろ閉店時間近いから、閉店作業をしてるところを見ようか」
─しかし、シューズコーナーに来て…先程雷磨の言ってたことが分かったのだ。ずっと俺達の後をつけていたのは……日出廉命だった。諦めて俺と店長が彼の腕を引っ張り出すと、彼は如月に向き合うように立った。
「(……デカイ……巨人…?しかもブーツ履いてる……てかケロイド凄っ…!)」
「………ほら、如月さん怯えてますよ…」
「いや違う……お前が予想以上にデカ過ぎるからだよ……その体格じゃ隠れにくい…分かるだろ?」
「でも大丈夫だよっ!廉命のことは…大型犬だと思ってれば怖くない!犬っぽいし」
「わんっ!って……そうだ、生野さん…この在庫って…」
「それは明日俺がやっとくよ」
「……なんで、皆シューズなのに、ブーツ履いとるん…?」
「あ〜、それはね、俺に合うサイズのシューズなくて…この足型測定で測ってみたら、三十センチ以上もあってさ…だからブーツ履いてるんだよ」
─如月が廉命の顔を見上げる形なのだが、廉命は紅い瞳を彼女に向けない…。それに廉命の顔も赤くなってるような気もするが…。閉店時間になり、閉店作業をしてるところを如月に見てもらってる時だった。
「基本的に事務所での作業は社員達がやるんだけど、基本バイト達はトイレ掃除とハンガー回収ぐらいだからね」
「そうなんですね……相変わらず廉命さん、背高いですね…」
「だろ?俺にも分けて欲しいよ……でもあいつ、如月に何か違うこと思ってるぞ」
「おら生野…サボってんなよ」
「悪ぃ。如月に色々教えててさ…」
「そんなんだからチビなんだよ…」
「いや仕事と身長関係ないでしょって」
「………暴力…反対」
「あっ?…さっきからこのガキ……見てて腹立つわ…殴っちまうぞ」
「やめなさい!この子は今日が初めてなんだ!」
「歳下の女を殴ろうとするなんて……落ち着けよ」
「黙れ………俺はこいつが…っ!」
─その日の売上や接客率を計算し、それを終礼で読み上げる…。それは基本的に社員がやることで、他にも営業日報書いたり、店内のゴミを回収したりする。逆にアルバイトの社員は、トイレ掃除やハンガー回収が閉店作業に割り当てられることが多い。それらの様子を軽く如月に見てもらい、休憩室で説明をしていると、加堂さんが事務所から顔を出してきた。普段の悪人面より更に悪人面で、どうやら如月が気に入らない様子だった。俺や福吉さんが止めようとするが、加堂さんは片腕で俺達を振り払い、拳を如月に振り掛けようとした…のだが、その拳は…廉命が受け止めた。
「………廉命…?」
「はあっ……はぁっ……!」
「何でてめぇが止めた……なぁっ!」
「……何の罪もない如月さんを殴るなら…俺を殴って下さい…」
「………如月さんっ!大丈夫ですか…?」
「…ら、雷…さん……ヒック!」
「…終礼どころじゃないよ……加堂、この前も似たようなことあったでしょ………ムカつくからって、それで何人もの社員やバイトがここを辞めたか、分かってるのかっ!」
「……ちっ…」
「………如月さんを傷付けることを…俺は許さない……」
「んだと……おらっ!」
─その日の廉命に割り当てられた閉店作業は…トイレ掃除…。休憩室から入口付近のトイレまでの距離はある…でも息を荒らげている。危険を察知して走ってきたのだろう。如月は後から来た雷磨大丈夫かと確認はされているのだが…加堂さんの怒りが収まってはいなかった。すると彼は廉命の胸ぐらを掴み、ロッカーに思い切り叩きつけた。
「うっ………」
「いい加減にしなさいっ!」
「………如月さんは今日がここ初めてなんだよ…本当は加堂さん、仕事は一流だけど社員に対する暴力が目立つから、クビにして欲しいって本社の人から何度も言われてるんだよ……でも俺は…それを何度も反対してる…」
「……」
「…確かにあの時は想像以上に辛かったと思う…。でも今は、加堂さんを受け入れてくれるところはここしかない。もしクビになったら、犯罪者同様になるんだよ?」
「………当時の気持ちは加堂さんにしか分からないよ。でも俺も、あんたがいない職場なんて嫌だよ」
「…………如月さんを傷付けたこと、謝って下さい…じゃないと殴ります」
─その衝撃で廉命は吹き飛び、ロッカーにが少し凹んだ。正直、過去に何人もの社員やアルバイトの社員はいたものの、加堂さんの暴力的な態度により、それを怖がり、続々と辞めていってしまったため、今いるメンバーでこの店舗の営業を回しているのだ。本社からも彼をクビにするように言われているものの、俺達は彼をクビにはさせたくない。理由は一つで…加堂さんは、俺達にとって必要な存在だからだ。すると福吉さんが携帯である飲食店を見つけた。
「……めんどくせぇなぁ……如月ちゃん、嫌な気持ちにさせちまって悪かった……ごめん。実は俺、周りの人から裏切られた過去があってな…」
「………ぐすっ…」
「……そういえば。確かここ…もんじゃ焼きのお店じゃん。喫煙所もあるし」
「福吉さん空気読めよ……確かに俺でも食えるやつあるな。お好み焼きは…?」
「お好み焼き…?もんじゃ焼きは東京で…」
「違うよ…如月は大阪出身……だからお好み焼きとかたこ焼きに目がないんだよ」
「凄っ…あ、でもお好み焼きとかたこ焼きも一応ある……」
「めちゃくちゃ美味そうじゃん……なら、決まりだね。明日の終業後、如月さんの歓迎会っていうテイで皆でこのお店に行こう。もちろん加堂さんの奢りね」
「なんで俺が…」
「俺らと如月への迷惑料だ……まあ、俺達も二割ぐらいは出すから」
「兄貴、食べ過ぎないようにね……そういえば加堂さん、この前、ネトゲで僕をわざと殺してましたよね?」
「あ〜、悪かったよ……」
「まあ僕も少し出すので……」
「よし、それなら明日の朝、俺予約しときます」
「分かった。気を取り直して、終礼します。お疲れ様でした。今日の予算と接客率はこんな感じ…。明日の終業後は如月さんの歓迎会だから、如月さん…遠慮なく粉もの食べなね〜」
そこはもんじゃ焼きの店なのだが、そこではお好み焼きやたこ焼きもメニューにあった。如月と暮らすようになってから分かったことなのだが、彼女は粉ものには目がないのだ…。もちろん、お好み焼きに麺を入れるのも嫌っている。急な開催にはなったが、如月の歓迎会ということで、明日の終業後に某粉もののお店に皆で行くことになったのだ。ほぼ加堂さんの奢りだが……でも如月が来てくれたことにより、加堂さんは少しは反省したようだった…。
……To be continued
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