旅が始まる
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─これは、旅が始まる前のこと。俺達は店長や舞姫、凪優達から見送られ、福島空港から大阪空港へと出発をした。
─そういえば、飛行機に乗るのは人生初───ではないが、ただ俺に記憶が無いだけだ。飛行機の窓越しに見える、地上の人間は、俺に何を求めているのだろうか。
「すう……すう…」
「希望さん、気持ち良さそうに寝てるな」
「そうですね…長い間、久々にぐっすり眠るん出来へんかったからね」
─この後俺達は無事に大阪空港へ着いたものの、土砂降りにより一時的にホテルの部屋で寛いでいたのだが、次第に雨が止んだことで梅田駅周辺で食事を摂ることになった。
「エスカレーター、右?左?」
「右やで…」
「大阪に来て間もないのに、分からないこと多くて大変だな…あれ?廉命は?」
「あ……あそこ……アクド行っとる」
「アックな…さっきもおにぎりとパン二十個ぐらい食っただろうが……」
「ん…だって……大阪のご飯、如月さんの故郷のご飯が美味すぎて…」
「もう……とりあえず、スーツあります?」
「あるよ。ワイシャツに「ちゃうっ!」
「ワイシャツちゃうっ!カッターシャツや!大阪来る前に皆で勉強したやろ…」
「ほらほら、猫みたいに怒らない」
─如月がカッターシャツだのエスカレーターは右だのアクドだの、猫パンチのように早く突っ込んでくる。
─猫のように怒る彼女だが、生粋の関西人なのが伝わってくる。
「これから福岡や神戸、広島も行くのに…西日本のこと、しっかり覚えなあかんで!」
「……そういうお前こそ、東日本のこと全然分かってねぇじゃんか」
「ふしゃーっ!」
「ほらほら、喧嘩しない…フルーツミックスジュースでも飲んで落ち着きなよ」
─如月の言う通り、俺と廉命は西日本の常識は知らず、逆に如月は東日本の常識を知らない─。如月と揉め合っていると、廉命がミックスジュースを俺達に差し出してきた。
「大丈夫。これは希望さんでも飲めるやつだから」
「そういう問題じゃ…」
「にゃあっ!ミックスジュース!そうそう!これ大阪の新世界で生まれた名物なんやで!」
「新世界か……あの串カツとか有名だっけな…あとくいだおれ人形とかあったよな!」
「それは心斎橋です……とりあえず、お腹空いたんで、行きましょか」
─ミックスジュースは、大阪の新世界で生まれた名物で、牛乳にバナナ、みかんの缶詰、砂糖が含まれていて、関東のそれと比べて、しっとりと甘く濃厚に作られてるのだとか。
─グイグイと押し付けられ、俺は一口飲んだ。それはキウイフルーツよりも全然濃厚で、とても甘くしっとりとしていた。初めての大阪の味に、俺は驚いた。
「ってこれ美味っ!めちゃくちゃ濃いな…如月、なしてこんな美味いもん教えなかったんだ」
「忘れとったんです…その、さっきはごめんなさい」
「おう。如月…ごめんな。てかお前も変わったなぁ…」
「え?」
「なんでもない……とりあえず、飯行こうぜ!」
─そういえば、如月と揉め合いになったのは、初めて出会った時以来だろうか─。当時の彼女はまるで、捨てられた野良猫のように、周りの人間を嫌っていた。当然そのオッドアイの奥にも、黒いモヤが見えていた。が、今じゃとても元気になっている。
─彼女と出会って一年以上経つが、思っていた以上に変わっていたとは───。
─俺と廉命の服の袖を引っ張り、人混みを避けながら前に進む如月には───俺達の知らない過去があったのだ。
「お待たせしました!とんぺい焼きと豚玉と海鮮のお好み焼き、たこ焼きに串カツセットでございます!」
「うおおおおぉっ!めちゃくちゃ美味そうっ!」
「ふふっ。凄く美人ですね!大学生ですか?旅行で来られたんですか?」
「どうも……体育学部の大学生です。実は彼の出張の付き添いでここ来てはるんです」
「ほんまですか〜?いやぁ…そこのガタイの良いお兄さん、凄いイケメンですね」
「どもっす」
─それは大阪名物の飲食店にてのこと。ある店員に注文をし、それらが来たタイミングだった。彼女は俺達よりも如月にずっと興味を持っていて、如月はそれを怖がっていた。
「まあ!色白でふわふわの黒髪、長い睫毛に綺麗なアメジストの瞳……女の子みたい…」
「一応ですけど、二人とも私の彼氏ちゃいます」
「そうそう!あ、でも…こいつ…如月のことめちゃくちゃ大好きなんですよ!同棲してるし」
「ど、どどどど……同棲…じゃねぇ…し」
「まぁ!こん二人はそういう関係なんや!体格差が大きい美男美女が同居……メロい!」
─ただ、廉命と如月の関係にも興味深く思っていて、限界オタクと化している。如月はひたすら首を傾げつつ彼女の話を聞いていて、廉命は顔を真っ赤にしながらだった。
─すると腹の虫が鳴り、俺達は粉物を食べた。
─大阪は東京の次に、沢山の商業施設や観光スポットも沢山あり、外国人の観光客も多い。地下鉄や近鉄、飛行機やバスといった交通手段も、歴史を重ねて日本三大都市の一つにも認定されて、大阪で育った人間は皆暖かく、面白い。
─そしてこの美味い飯も、大阪が天下の台所と納得する理由にもなる。
「美味っ……これが大阪の味か……串カツも美味い」
「あ、串カツはソースの二度漬けはアカンで!久しぶりの串カツ………至高にゃ……♡ゴロゴロ」
「わっ!猫ちゃんみたい…昔、施設の外でよく木登りしとったよな」
「幼い頃から木登りしてたのか……お前のキャットタワーじゃねぇんだから、木登りは控え目にしとけよ……」
「ゴロゴロ……はい」
─如月はひたすら久しぶりの粉ものに目を輝かせている。喉からゴロゴロと鳴り、猫耳と尻尾が生えているように見える。
─というか、如月の木登りは幼い頃からの習慣だろう。木に登って日向ぼっこをする如月は、まるでキャットタワーで寛いでる猫のようだった。
「にゃあ……最高や……」
「可愛………」
「廉命?」
「っ!」
「ああ、こちらのイケメンも尻尾振ってる…可愛い」
「わんっ!べ、別にこの子のことなんか……!」
─とんぺい焼きも食べてみたが、熱々に炒められたもやしやキャベツ、豚肉と、薄く焼き上げた卵の相性が抜群で、もの凄い美味しかった。
─廉命は必死に照れを隠していながら、どんどんと皿を空けていった。少なくとも五十皿はあるだろうか─。俺達は彼の食欲に呆れるのだった。
「いやー、めちゃくちゃ美味かった!」
「やっぱり大阪の名物は最高やろ?最高やねんな?」
「圧掛けんなよ……やっぱり本場のものは違うなぁ……てか」
「廉命さん……」
─楽しい食事が続き、一区切りすると、俺と如月は満足と膨らんだ自身の腹を擦るが、高く積まれた皿と、その彼に視線を向けた。
─するとその先には、異常な量を平らげた廉命を見た店長は、廉命が店中の食材を全て食べ切ってしまったため、営業が回らなくなったのか怒りのあまり持っていた鉄のヘラを握り潰してしまったのだ─。
「兄ちゃん……うちの店の食材をよう一人で全部食い切るなんてなぁ……しかもパッと見三十皿は超えてるやねぇか…あっ!」
「っ!あ、あの……っ!」
「あっ!」
─彼はひたすら廉命に怒鳴りつけてるが、如月が仲裁に入った。本場の関西人が言い合いになると、とても空気が凍り、当たりも強過ぎる。関西人が気性が荒いのは本当なのだろうか。
「彼……凄いガタイええからよう食べはるんです………普段はツンデレやけど、私のこと凄く大事にしてくれてん…やから、ここは私が払います」
「嬢ちゃん……いや、べっぴんさんからの多額な金は受け取れへん…わしゃこの大柄ガタイ良過ぎなコイツに言うとるねん」
「……彼なりに反省してはるんです…それに、明日の朝早くて………彼の講演会行かへんといけなくて……」
「講演会ねぇ…てか、この兄ちゃん…生野希望やんか!」
「せやで?福島から来て、日本中旅することになったんや」
「大ファン!わしゃ大ファンやっ!な、サインくれへん?色紙持ってくるわ待っとって!」
─彼はひたすら廉命に問い詰めるが、如月は廉命から視線を逸らすために、俺を上げてきた。すると彼は俺の大ファンだったようで色紙を取りに戻った。二人の視線が俺に集まった。
─すると周りの客も皆俺に視線を向けたのだ。
「まじか!明日の講演会行くんだよ!」
「俺も俺もっ!白血病を患ってたんに、沢山の人々に生きる希望をくれた……」
「丁度ネットニュース見たで。あんた、ドナーでこの兄ちゃんの命繋いだんだろ?」
「………生野さん、すっかり有名人やね」
「私もっ!実は娘が白血病で入院しとって…丁度生野さんのことを知って、外出許可降りたから明日娘と来るで」
「希望で……ゆめか。しっかり、俺らにも生きる希望を分けてくれよ」
─どうやら俺のことはネットニュースで最近話題になっているらしく、ファンとしている者も意外と多かった。その中で話は盛り上がり、気付けば皿も空になり、時の貼りは夜の十一時を差していた。
─その後、廉命は店主に軽く怒られてはいたが、何とか無事に会計を済ませたのだ。そしてホテルに戻り、俺と廉命が先にシャワーを浴びたのだが、如月は何か言いたげだった。
「如月、お前もシャワー浴びてきな」
「あ……はい」
「如月さん……覗かないから、さっぱりしてきな」
「覗く前提みたいに…ほな浴びてきます」
─重たそうな腰を持ち上げるようにベットから立ち上がり、如月はシャワーへと向かっていた。しかし如月は途中から部屋に出てきた。しかも裸体にバスタオルを巻いてる姿なので、俺達は目を隠し、見てないという意思表示をした。
─が、如月は見たな、という視線を向けてきたが、何とか如月がシャワーを浴びに行ってくれた。シャワーを浴びる前─如月は何か考えてるようだった。
「なぁ…如月、何か悩んでね?」
「うん……実は、俺達に見せたいものがあるみたいでさ…話そうか悩んでるみたい」
「…………まあ、明後日で帰るしな。如月にとって大阪は故郷だ。少しは付き合ってやろうぜ」
─しかしそれは廉命が知っているとのことで、俺達に見せたいものがあるとのことだった。明日は梅田と心斎橋で講演会と講習会で夕方からは自由時間で、明後日には福島に帰るので、少しは彼女に付き合ってやろうと廉命と約束したのだ。
─この時の俺達は─────本当の、如月夢玖についてまだまだ知らないことが沢山あったのだ。
「如月、どこ行くんだ?」
「………」
「如月さん……?」
「ほな、着きました」
─講演会と講習会が終わった。梅田も心斎橋の会場も人間で充満しており、まさに満員電車のように人口密度が高かったが、生野さんの言葉により大勢の人が感動し、涙を流してる人も少なくはなく、好評に終わった。母親が娘を抱き締めながら泣いていたり、中学生の兄が幼稚園の弟の頭を撫でながら泣いてたりなど─初めて見た反応に、こちらも感動した。そして私は、二人を連れてある場所に向かってる。
─私が昨夜シャワーを浴びてる時に、廉命さんがこっそり生野さんにこの事を話してくれたらしい。そのお陰で、私のある目的を達成出来そうである。
─新今宮駅を降りて南方を歩く。ここは通天閣も近い。が、私は構わず進む。進む中で目にする不法投棄された大量のゴミと、闇市、覚せい剤の密売──。そう。これらは全て────
「如月、ここは何だ?いかにも危険な場所だろ。帰るぞ」
「如月さん、もしかして、これが俺達に見せたあものなの?」
「………………ここ、私の産まれた場所なんです」
─私の故郷だから。実は生野さんが日本中を巡ってドナーの講演会とランニングシューズの講習会をすることが決まったこと、初めの出張が大阪だということは、盾澤店長から聞いて、彼らより早く知ったのだ。
─そこで私は考えた。本当の私を─話せるのではないか、と。
「嘘…だろ?うっ……!おええ…っ!」
「嘘やなかったら…ここに連れてこうへん……」
「けほ…おえ……っ!なんで俺らをここに連れたんだよ?」
「………本当の私を………分かって欲しいから」
「えっ?」
─大阪府大阪市西成区に存ずるあいりん地区。そこは闇市や不法投棄のゴミ、覚せい剤の密売で溢れている─俗にいう日本三大のスラム街の一つともいえる地で、私は産まれたのだ。
─住人はホームレスや日雇い労働者が多いのだ。不法投棄されたゴミの匂い、ホームレスや日雇い労働者の汗や皮脂の匂い─それらに集る多くの虫─私はその光景には何とも思わなかったが、生野さん達はあまりな悲惨な光景に耐えられず、吐いてしまった。
─不法投棄された多くのゴミ、所々で横になる多くのホームレスを横目に、私は二人に自分の過去を話した。
『瞳の色が左右違う子なんて…うちの子やない!』
『痛……お母……?お父ちゃん……?』
『失敗作やなぁ……お前、春売って鷲らのパチンコ代稼いでこいや』
『お前、オッドアイでキモイっ!』
『やめっ!』
『こいつに触れるとオッドアイが移るで〜』
『うわあきったない……』
『オッドアイ…?厨二病やない?現実見ろや』
『まあっ!オッドアイ穢らわしい!施設に入れてやるっ!』
─瞳が生まれつきオッドアイというだけで、私は小学生になる前、両親に捨てられたのだ。ちなみにこれは後で知った話なのだが、両親は梅田での売春を通じて私を産んだのだとか─。
─気付けば周りの人に対する関心を失くしていて、私のことを良く思ってくれる人はいなかった。
『ふー………落ち着く』
─施設に入れられた後でも、私を好んでくれる人は誰もいなかった。むしろその逆で、生まれつきのこの瞳なのに、周りは皆それを毛嫌うのだ。
─だから周りと同じ地上にいれば必ずいじめられ、殴られた。だから施設を飛び出してはいつも、高い木に登って月や日を眺めていた。
『(私……生きてる意味あるんかな)』
─その頃には、両親と思われる二人は人身事故に巻き込まれ亡くなったが、私は一切悲しみもしなかった。この瞳というだけで、産まなきゃ良かったと言っていたのだから。
─初めの施設は天王寺にある、児童養護施設だった。が、この瞳というだけで居づらくなり、施設を転々としていた。天王寺だけでなく吹田や阿倍野区、港区…更には京都や神戸へと渡っていった。が、場所が変わっても、周りの人の反応は変わることはなかった。
『あんた…またトラブル起こしたんやって?』
『……私は悪ない…悪いんは、この瞳をアホにするアイツらやねん』
『人のせいにするなっ!この地球上、あなたを好きになってくれるんは─何処にもおらんでっ!ほら、荷物持って出てけっ!』
『嘘っ……や、やめっ!』
─そして、私は施設から追い出された。他にもタライ回しのように関西中の施設にて私のことを共有したらしいが、どこも受け入れはしてくれなかったらしい。
─夜の道頓堀の橋に一人、月を見上げている時─ふと何かが直感的に来て、私は歩き出した。
─目的は福島─。つまり東北だ。その理由は─ 何かしらの意図が、私をおびき寄せているように感じたからだ。猫でいう、猫じゃらしのように─それに心が繋がったと思ったからだった。
─名古屋と東京を渡り、二週間ほど歩き続け、着いたのだ。が、ほぼ水だけで生きてきて、あまりの空腹に耐えられなくなり、あのスポーツ用具店の壁に寄りかかっていた。
─嗚呼。自分は誰にも愛されずに、死を迎えるのだと見込んだところに、私の人生を変え、私に希望を与えてくれる人がいた。
『こんなところで何してんの?風邪引くぞ?』
『……っ』
『オッドアイ……?』
『君の行動力で感動した…っ!うちの子になろう…っ!』
─それが、生野希望という存在だった。彼という生きる意味だけを求め、学校も施設も、故郷も犠牲にして福島まで歩き続けて、今に至る。
─彼に出会ってから、毎日が希望に満ちていた。見た目が普通とは言えない自分が、人間らしく生きれてるのだから。
─生野さんに教わったことは両手では数え切れない普通だった。院長、愛先生や舞姫さんという─義理の父と二人の姉。つまり普通の家族─。そして普通の学校生活、アルバイト、そして青春。彼と出会っていなかったら、今の私がまた大阪に来ることもなかったはずだ。
─そして何より────日出廉命という、こんな私を想ってくれる人も、身近にいるのだから。
「ここはホームレスや日雇労働者も多い…あと闇市や覚せい剤の密売、あと売春………も。穢れとる私を、生野さんが導いてくれたんや」
「如月………俺はなんにも感じなかったけどな?お前が勝手に来ただけだ」
「そんな………ま、そういえば私の過去、あまり話してへんかったなぁって思て、道案内ついでに、本当の私を見てもらいたかったんです」
「………俺は、どんな君でも絶対嫌いにならない。なれない、か。確かに、俺もあの時自殺しようとしたけど………希望さんに止められて、もう少しだけ生きてみようってなってたら、君に出会った……辛かったでしょ?」
「うん……ヒック…ぐすっ!」
─大阪市西成区のあいりん地区で、私は二人に心配されながら笑顔で大泣きした。二人は私を抱き締め、廉命さんが私を背負ってくれた。それはまるで、犬が猫の首根っこを咥えて猫を連れ歩くみたいだった。
─次第に泣き疲れた私は、寝てしまった。
「如月、如月」
「ん………にゃわあ……朝…?」
「お前、あれからずっと寝てたんだぞ?何度揺すっても起きなかったんだから」
「ほんま……?はっ!化粧そのままやシャワー浴びてへんっ!急いで浴びてきます」
「色々驚いたけど、如月さんの身支度が終わったら、大阪城と新世界、道頓堀に心斎橋、くいだおれ横丁、夢洲、アメリカ村に海遊館も案内してもらうよ」
「にゃ、にゃんでやねんっ!私疲れて倒れてまうやんか〜!こんの〜!」
「まあまあ。どうせなら、大阪城と道頓堀を回ってから福島に帰ろうぜ」
「っ!……ほんなら、午後一の豚まん、お土産に買ってこなあかんな」
「肉まんじゃないんだね…あれ」
「豚まんやっ!ほなシャワー浴びてきます」
─翌朝、目が覚めると生野さんと廉命さんが私の顔を覗き込んでいた。が、化粧を落とさず寝てしまったことで、シャワーを浴びてないことをはっと思い出し、私は急いでバスルームへと駆けた。
─湯と泡で身体中を洗い、タオルで水分を取り、着替えて鏡を見ると─私の口角は、上がっていた。
─今思うと、私の人生はまるで野良猫と変わらない日々を送っていたが、居場所を見つけた家猫のようになった今では幸せである。
─過去はそれぞれだが、猫も人間も、こうして育っていくのだろうと、学んだ。
……To be continued
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次回作もお楽しみに!では。




