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普通を失った俺が、世に希望を与えるまで。  作者: 速府左 めろ
<第一章>希望とは。〜集われた意図編〜
3/85

虹色の予感

この度は閲覧頂きましてありがとうございます!

※修正版です!

「ふぅ……まずはシャワー浴びようか。あなたの髪、洗ったらサラサラになると思うの!頑張って洗うね!」

「………」

「このシャンプー私のなんだけど、細い髪に向いてるから、きっとあなたも気に入ると思う!あ、見てみて〜猫耳〜」

「人の髪で遊ばんとといてください……」


─昨晩、舞姫と夢玖がお風呂に入ってた時のこと。その間俺は皿洗いしてたので、二人の会話は知らないでいた。舞姫が如月の髪や体を洗ってること以外は─皆知らなかった。


「そういえば下の名前、聞いてなかったね…」

「あ、夢玖いいます」

「夢玖ちゃんかぁ……可愛い名前!わぁ…肌も真っ白…お風呂上がったら、スキンケアもするからね!女の子には色んなケアが必要なの」

「………たわわが……湯に浮いとる」

「あ〜!あんま見ちゃめっ!夢玖ちゃんも大きくなるから。私も高三の夏から胸が急成長してさ……」

「…メロン…?」


─舞姫と如月が風呂から上がってきた。風呂上がりの如月は、先程の見なりとは思えないほど変わっていた。風呂上がりで更に顔が見える─。そして彼女と目が合う。この子はただものではないのが、改めて分かる。

─風呂に入ってる時も、如月のオッドアイから見えるものについて考えたが、仕事の疲れもあり、その考えは途切れ、シャットダウンした。


「すう………すう………」

「うぅ…ううう………っ!」


─だが、猫のように丸く寝てる如月は何かに魘されていた。やっぱり彼女には、何かがある。そう夢の中で思いながら、夜を明かした。


「……ふわぁ…如月ー、起きろー」

「…ふにゃあ〜……おはようございます」

「おはよう……猫のように伸びるのか…昨日も猫耳みたいなくせあるけど……この猫耳のとこ…櫛で梳かしても梳かしても直らないな」


─朝目を覚ますと、舞姫は既に朝食の用意をしていた。化粧もヘアセットも終えていて、そして今は目玉焼きを焼いているが、俺が舞姫に話し掛けるタイミングが悪かったせいか─目玉焼きを焦がしていることに、舞姫は気付かずにいた。


「おはよう二人とも……ふわぁ」

「舞姫、おはよう…いつもありがとな。舞姫聞いてよ…こいつ猫みたいに伸びるし、何より猫耳、串で梳かしても梳かしても直らん!」

「にゃ……?」

「クセならしょうがないよ…てか、この猫耳のくせっ毛がある方が可愛いし!」

「猫っぽいし、飯食うからとりあえず髪結ぶからな」


─本当に、クセになってる猫耳の部分は櫛で梳かしても梳かしても直らないのだ。飯を食べるので如月の髪を結おうとすると────彼女は、瞳の色を変え、俺の腕を引っ掻いた。


「ふーっ!」

「痛っ!き、如月……?」

「希望君っ!止血しないと……っ!」

「………まだ触れるには早かったか…」

「大変っ!血が出てる…っ!」


─どうやら俺のことをまだ信頼していないらしい。彼女の爪は猫のように鋭く、引っ掻かれた傷口から、ポタポタと血が出ていた。そして髪の毛を逆立たせ、猫のように威嚇をしていた。

─きっと、大阪で人間の大人から酷い差別を受け、そして今日も外の大人に、強く警戒し続けるのだろう。

─急いで舞姫が止血をしてくれたことで大事には至らなかったのだが───


「はっ!ご……ごめんなさい。まだ信用出来ひん…」

「まぁ…外の大人に警戒するのも当たり前か…」

「少しずつ慣れていけば大丈……って、目玉焼き焦げちゃってる……」

「黒焦げ……俺が作り直すから、舞姫は如月にハグしといて!」


─如月は無意識に俺の腕を引っ掻いたそうで、彼女は凄く落ち込んでいたため、舞姫に如月をハグしてもらってる間に俺は目玉焼きを作り直し、それとミネストローネも温めていた。


「ほら。如月、お前コーヒー好きだよな?」

「はい…」

「砂糖とミルク要るか?」

「要らへん…」

「オッケー。舞姫、ありがとな」

「うん…お腹ペコペコ」


─如月の気持ちも落ち着き、俺達は朝食を食べた。その際に今日の予定のことを話してみた。今日は俺の定期検診もあるので南北北病院に行くのがメインだが、その前に、如月にその土地に慣れてもらうためにまずは寿賀河市を一周しようと、今朝思いついたのだ。


「……美味しい」

「良かった。希望君、今日は夢玖ちゃんお願いね」

「おう。如月、今日の飯は舞姫の父ちゃんが奢るってよ」

「舞姫さんの……おとん…?」

「そう。私のお父さん、お医者さんなの。あとお姉ちゃんは教師をしてるのよ?私は看護師目指してるけど…」


─そういえば、如月に舞姫の父親について詳しく話していなかったような─。確認のため、もう一度話す。舞姫の父親は医師、舞姫の姉は教師をしている─。

─しかし、教師という言葉を聞いただけで如月は震え出した。やっぱり、教師からも生徒からも、想像を超える程の酷い差別を受けてきたのだろう。舞姫は如月の頭を撫で、俺は彼女の背中を撫でた。


「教師………っ!」

「もしかして…嫌、だった?学校の先生に嫌なことされた?」

「……実はオッドアイが原因で、犯罪者みたいってよく言われてん…」

「酷い…こんなにお目目くりくりで可愛いのに!大丈夫。お姉ちゃんは見た目で人を判断しない、最高の教師だから」


─舞姫がそういうと、如月の震えは止まった。

何とか朝食や後片付け、歯磨きを終え、俺達は家を出た。


「よぉし。まずは寿賀河を一周するぞ!」

「………怪獣みたいな銅像、多ない?」

「これはラルトラマンという作品に出てくる、怪獣なんだ。皆こいつに倒されるんだぜ?」

「…へぇ」

「ほら見ろ、文化センター。円谷幸助の記念館だ」

「知っとる……!」

「まあラルトラマンの作者も、円谷幸助も、寿賀河出身なんだよ」


─俺達は松明通りや牡丹園、文化センターや四号線などを巡った。ついでに寿賀河駅にも連れていった。休憩がてら某ハンバーガー店に寄った。何と彼女は初めて来たのだと言う───。これには驚いた。


「ちょっと休憩しようぜ。俺アイスティーにするけど、如月はカフェラテとかでいいか?あと俺アップルパイ食お…如月は何する?」

「私……アクド初めてや……」

「アクド………はっ!お前関西出身だからアクドか、そうか………舞姫が言ってたんだけどよ、アックシェイクのストロベリー味が美味いって…お前それ食えよ」

「うにゃああ……!他にパンケーキ食べたいっ!ゴロゴロ……」

「よし、頼んでくるから、席確保してくれ!」


─俺が注文し、如月が席を確保もらった。そして注文や会計を終え、注文したものを持っていくと─信じられない光景が俺を待っていた。席を確保して俺を待っていた如月が、他の客に蹴られたり、殴られたりしていた。


「オッドアイ…?へぇ…キモ」

「痛…っ!やめ…っ!」

「如月っ!おい、止めないか!」

「はぁ?コイツがオッドアイで…親が可哀想ってムカつくんだよっ!」

「……痛い……っ!」

「ふんっ!」


─当然俺は止めに入ったが、殴ってるやつは反省の色もなく、ひたすら如月を殴っていたり、見ている周りの客は皆、殴られてる如月を携帯で撮影していた。それほどオッドアイが珍しいのは分かったが────あまりの酷さに俺は何も出来ずにいた。


「如月……(クソっ!助けたいのに助けられない……っ!)」

「ふーっ!」

「コイツ目の色変わった!まじキショい」

「(クソ…俺は何も出来ないのかよっ!)」


─しかしその時、ある男がこの絶望から守ってくれた。彼は物凄く知ってる存在で、ほぼ毎日顔を合わせている──。全身に派手なケロイドを遺し、その力強い手で、如月を殴っていた男の手を握り、紅い瞳で睨みつけた。


「力強っ!手首折れる……!」

「あ?お前ら…止めろ」

「はぁ?なんでアンタに指図されなきゃ…!」

「生野さん、こいつ聖陵の生徒っすよ。後で動画送るんで、愛さんに見せて下さい」

「お、おう……てか廉命、どうして……?」

「たまたま飯食ってたら、この子が殴られてたんで……それに俺と目が合ったんで、助けました」

「ううう……モテモテなのに一ミリも恋愛に興味なかったお前が女の子を助けるとは…今夜は赤飯だなっ!」

「…………俺赤飯あんま好きじゃないっす」


─廉命だった。たまたま午後からバイトだったのか、廉命もここで飯を食ってたらしい。何とか廉命が助けてくれたのはいいが──ここで蒼い瞬間も、俺は見逃さなかった。モテモテなのに一ミリも女の子に興味がなかった廉命が、如月に手を差し伸べていたことに。

─この二人に、何かが始まる予感もした。


「ほら……大丈夫?立てる?」

「……はい」

「生野さん、隣来て食ってもいいすか?」

「あ、おう……」


─廉命は席を移動し、俺達も飯を食った。初めて食べるものに如月はオッドアイをキラキラさせていたのを、廉命はじっと見ていた。


「……てか、この子は?」

「…こいつは如月。昨日の黒猫……こいつだったんだよ」

「黒猫…確かに猫っぽい」

「にゃ……?」

「ほら、誰も取らないからゆっくり食えー」

「てか、今日生野さんこの後何かあるんすか?」

「この後院長に呼ばれててさ…南北北病院に行くんだよ」


─その後廉命と別れ、俺達は南北北病院に向かった。昨日から思うが、如月は伝えたいことや気持ちで瞳の色を変えられることだ。先程も廉命の紅い瞳と同じ、如月の片目が紅い瞳に変わっていた。

─もし如月の片目がピンクに変わるとするなら、何を思ってその色になるのだろうか───。


「アクド……美味しかった」

「ふふっ。よし、南北北病院に行くからな」


─水色の瞳には健康な俺の姿も映っていた─。

─それはきっと、俺がまだ知らない未来の姿だったのかもしれない─。

─もしかしたら、未来視も出来たりするのだろうか─。もしそうなら、この白血病で苦しんだ時間に終止符を打てるのだろうか。



……To be continued



━━━━━━━━━━━━━━━


〔キャラクター紹介②〕


名前 : 煌星舞姫(きらぼし まき)

血液型 : O型

誕生日 : 5月12日

身長、体重 : 164cm、53kg

MBTI : INFP

好きなもの : 茄子、紅茶、希望

嫌いなもの : キムチ(匂いが無理)

趣味、特技 : 料理、子守り、化粧


希望の恋人であり、彼と同棲している21歳の看護学生。訳あって中学生の頃から希望と生活を共にすることで彼に恋をする。家事は人並み以上に出来て、容姿端麗で頭も良く、完璧な彼女だが、お菓子作りだけは壊滅的に苦手で、彼女の作るお菓子は皆炭と化する。姉の愛とは仲良しで、お互いを溺愛している。

閲覧頂きありがとうございました!

コメント、いいね、感想お待ちしております!

次回作もお楽しみに!では。

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