表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
意図という足跡は希望である。〇か✕か  作者: 速府左 めろ
<第一章>希望とは。〜集われた意図編〜
3/58

始まりの日々

この度は閲覧頂きましてありがとうございます!

※修正版です!

「ふわぁ……」

「夢玖ちゃんおはよう……朝ごはん出来てるから、顔洗っておいで」

「……え」

─翌朝の八時。俺達が朝飯を食おうとする頃に如月は目を覚ました。本来なら一時間前から起こそうとはしていたが、あまりにも如月が魘されていたので、俺達は起こすのに躊躇っていた。しっかり寝たせいか寝癖が少しある。十分ぐらいすると、如月は顔を洗い、歯も磨いてきた。あれだけ寝たというのに、彼女は眠そうにあくびをしている。椅子に座ると俺は如月にある質問をした。

「いただきます」

「……ねぇ如月」

「んにゃ?」

「昨晩魘されてたけど、悪い夢でも見たの?」

「………」

「いや、言いにくい内容なら無理しなくてもいいんだ」

「とりあえず、温かいコーヒーでも飲みなよ……あ、ジャムもあるよ」

「ありがとうございます……」

─やはり言いにくい内容だったらしい。それに、オレンジの瞳が少し紅いような─いや、寝起きのせいか。時間を掛け、ゆっくりと朝飯を食べた。舞姫の服を着させ、歯磨きをした。

「希望君、夢玖ちゃんをお願いね」

「ああ。気を付けて行きな」

「うん!行ってきます!」

─この日は舞姫も大学があり、早く家を出なくてはならなかった。俺は如月を車に乗せ、母校へと出発した。車を走らせて十分ぐらいが経過─。時間帯的に通勤ラッシュで道路が渋滞していて、中々前へと進めなかった。如月は初めて見る渋滞を窓越しに見ているが、彼女が気まずい思いをしない為にも、俺は如月に話し掛けた。

「如月、緊張してるか?」

「いやぁ……緊張してへんとは嘘になりますけど、とにかくドキドキしてます」

「そうだよなぁ……でも舞姫の姉ちゃんは教師なんだよ」

「教師………うっ!」

「はっ!ごめん……っ!」

─緊張してるかを、如月に聞いた。そこまでは良かったものの、俺が教師というワードを口に出したせいで如月の顔は青ざめてしまった。

─彼女は瞳の色が違うというだけで、大阪で捨てられ、周りからはよく思われていなく、暮らしていた児童養護施設も転々としてきたのだった。特に学校の先生から、瞳の色で犯罪者になるだろと決めつけられて以来、教師がトラウマになっているのだとか。瞳の色が変わってるというだけで、如月が何をしたというのだろうか。でも、その気持ちも少し分かる。何故なら、俺も"捨てられた側"の人間だから。通勤ラッシュによる渋滞してる道路を通り抜けてから、まずは市内を軽く一周した。如月にこの地に慣れてもらうためだ。

「ねぇ生野さん、この…怪獣…は?」

「それはカジラだ……この市は別名光の姉妹都市ともいわれてるんだよ」

「へぇ…他にも色んな怪獣おるんやなぁ…」

「そう。でもこいつらはラルトラマンによって倒されるんだけどね……ラルトラマンは実は宇宙人なんだけど、作者は有名なマラソン選手で、ここの出身なんだよ」

─まずは松明どおり。ここにはラルトラマン関係のグッズや銅像、市民センターやパン屋さん、居酒屋、ホテルなどで市の中では栄えている。それに、日本三大の火祭りや天王祭の開催地でもある。車が大きな通りを通るにつれ、如月はラルトラマンに出てくる怪獣の銅像に興味深々だ。昨日あれだけ俺達を警戒していたオッドアイは、今凄く輝いている。

「ラルトラマンのカジラ……大阪の通天閣みたいやった…」

「あはは……それじゃ次は…」

─他にも回った。牡丹園や駅や碧ヶ丘公園もだ。それぞれ見るものに、如月は目を輝かせていた。そして今日一つ目のメインである、俺達の母校に移動した。

─愛さんに連絡するためにスマホを取り出し、スマホのパスコードを入力してはその頃の時刻を確認すると、十一時になろうとしていた。如月は初めて見た景色にドキドキしてるようだが、俺はそのまま車を走らせていた。

─勢いよく走る電車を見た如月は、大阪じゃ地下鉄ばかり見るとか、快速で神戸や京都にも行けるとか楽しそうに話す。俺はその表情を見て、良かったと思った。何故なら昨日まであれだけ俺達を警戒していたのに、信頼してくれてるから。車を走らせて二十分ほど経過し、俺達の母校に着いた。着いたぞ、と如月に話すと先ほどまで輝いて瞳に光がなくなった。そりゃそうだ─。何の罪もない彼女は、瞳の色が原因で学校で辛いことが沢山あったのだから。それでも俺達は、如月には高校を卒業して、将来社会に出れるようになって欲しいと思って、昨晩教師をしている愛さんに相談したのだ。

「大丈夫。皆悪い人じゃない……着いたし愛さんに電話電話……あ、愛さん?」

<もしもし希望君、おはよう>

「おはようございます。その、今そっちの駐車場に着きました」

<お疲れ様。私も授業終わったところだから、そっち向かうわね。また後でね>

「はい。お願いします」

「うっ……学校…怖い」

「大丈夫。人を見た目で判断するやつはまともなやつじゃない。俺もそうだったよ…病気で出来ないことも多くて辛かった」

─携帯の電話アプリを起動し、愛さんに学校に着いたことを電話した。すると電話越しの彼女は、授業を終えたところなのでこちらに向かうことを伝え、電話を切った。如月は震えているが、十分ぐらいするとある女性が車の運転席の近くに来た。

─そう、彼女は煌星愛。舞姫の実姉で、今年から新米教師となった二十二歳の女性だ。ふわふわでクヨクヨしやすい舞姫と正反対で、彼女は人々の前に立つ方である。当然、教師になった彼女は凄く厳しく、「生徒指導」が口癖になっている。

─運転席のドアを開けると、愛さんは少し後ろに下がり、震えている如月を見て、この子がそうなのかと確認をした。瞳の色が違うというだけで周りから─特に教師から酷い差別を受けてきた如月のことだ。当然愛さんの顔を見ては怖がっていた。それでも愛さんは如月に大丈夫よ、と声を掛けるが、如月の瞳の色は緑と紅だった。その色は警戒しているという証拠だ。

─愛さんも、如月の瞳の色が変わった瞬間を見て、驚いていた様子もあったが、それでも彼女はとりあえずここじゃあれだから、移動しようと提案し、俺は何とか如月を連れていこうとしていた時だった。

─多分、教師から酷い差別を受けていた当時のトラウマでもフラッシュバックして、気絶してしまったのだろう。彼女の体を揺するが、ちっともビクともしない。愛さんが如月を背負い、職員用玄関付近の休養室に俺達は入った。そこに備われているベッドに如月を寝かせ、俺は愛さんと話を続けた。

「それで…この子とはどうやって出会ったの?」

「こいつは…四日前から俺の職場の付近を彷徨っていたみたいなんです。しかも何も食わずにですよ?俺が見つけてなかったら、どうなっていたことか…」

「…大体のことは分かったわ。さっき、私のこと警戒してたわよね…」

「はい。瞳の色が変わってるだけで、長年周りから酷い差別を受けていて、特に教師から「お前は犯罪者になるだろ」と勝手に決め付けられたのがトラウマみたいなんです」

「何それ、有り得ない……」

「両親に捨てられた…と。こいつの意図は分かんないですけど、大阪から南東北のここまで歩き続けて来たんです」

「不思議ね……とりあえず、今はこの子の心のケアが必要ね。お父さんにも相談してみるわ」

「ありがとうございます……さっきまでこの市内に慣れてもらうために、駅とか松明通りとか回ってきたんです」

「あら、そうだったのね……」

─愛さんに如月と出会った経緯について話した。彼女はエメラルドのように澄んだ、ぱっちりした大きな瞳を丸くしながら聞いていた。瞳の色だけで判断するくらいなら私が厳しく生徒指導してやりたいと、怒る。赤茶色の髪を蒼いピンで留め直しながら、如月の目が覚めるのを待った。

─その時に四限目の授業が始まるチャイムが鳴り、如月はそれで目を覚ました。少し目を開け、猫のようにあくびをする。起きたか、と彼女の顔を愛さんは覗こうとするが、目が合った瞬間、ガバッと布団を全身に被せた。

「如月、大丈夫だから。悪い人じゃないから安心しろよ」

「ふーっ!」

「思っていた以上に辛い過去があったのね…。よく聞いてね」

「へ…」

「如月さん、初めまして。私は煌星愛…ここの新米教師よ。希望君と舞姫から話は聞いてるわ」

「……舞姫さん……確かに…そっくり」

「身長はあの子の方が少し高めだけど、私の方がお姉ちゃんなんだから」

「…………舞姫さんより大きい、メロンや…」

「?」

「ほんとそればっかだな……昨日、舞姫と風呂も入ったんです。ひたすら猫みたいって言ってました」

「猫……猫っ!確かに……そのオッドアイも凄く綺麗よね…可愛い」

─しがみついていた布団を下に下げ、目だけ愛さんと合わせる。愛さんも目が合うとニコッと笑顔を見せる。舞姫とは同じで、姉妹揃って美人だということも当然だともいえる。愛さんはゆっくりと如月に近付き、近くでその瞳の色を見ては見惚れていた。

─それにより如月は中々愛さんとは目線を合わせないものの、チラチラと俺に視線を送っていた。幸い、愛さんには次の授業がないので、丁度良い時間が取れて良かった、と思えたのだが、休養室の前でドタバタと足音と男子生徒の声がし、勢いよくその正体は休養室に入ってきた。それと同時に如月はまた布団を頭ごと被せた。

「あ、あなた達……授業中に教室の外を歩き出して…生徒指導よっ!」

「愛先生いた〜!今日も可愛いじゃん!下着何色?てかそこの男の人誰?彼氏?」

「は、あ?あなた達には関係ないでしょ…とりあえず、今教室に戻ったら見逃してあげる」

「えぇ〜愛先生、もしかしてその人とヤッてたの?」

「はぁ。反省文十枚を今日中の放課後までに提出…少し英語の成績も悪いから課題の追加を約束するわ……部活動の参加も禁止。私へのセクハラも禁止。いいわね?」

「なんでだよ……てかその瞳…オッドアイじゃん!」

「マジかっ!実物見るの初めて!」

「静かに!あなた達纏めて皆生徒指導よっ!これは決定事項……担任の先生にも部活の顧問にも報告します。放課後は帰れないと思いなさい…」

「いや、放課後は愛先生とデートするはずだったのに…」

「懲りないわね……そんなに私といたいなら、今から全員…地獄の生徒指導よっ!」

─確かに、愛さんが男子生徒からのセクハラに困っているという話はよく聞いていた─。でも実際は想像を超えるほど酷かった。授業や休み時間関係なく、わざわざ愛さんの後をつけたり、下着の色を聞いてきたり、しつこくデートに誘われたりされているなんて、今この瞬間までは思ってもいなかった。当然男子生徒達のしたことに対して、愛先生は激怒し、彼女は冷静にごめんね、二人とも─と、言葉を残し、如月を隣の保健室に連れていくように行った。

─さすが新米にして生徒指導を担う教師─。少なくとも愛さんは、この学校の教員の指揮官でもあるはずだ。如月を背負い、保健室に連れてきた。丁度その時に保健室の先生もいて、事情を説明して保健室にいさせてもらうことになった。俺の名前を聞くなり、ああ〜!と大声を上げては、手を叩いて思い出してくれた。

「生野君かぁ…元気してた?」

「当たり前じゃーん?俺も舞姫も元気だよ〜」

「良かった。あの子は…廉命君は元気かい?」

「あいつも元気だよぉ。相変わらず彼女いないけどね」

「元気なだけいいよ……ていうか、その子は?」

─元気してるか、とか舞姫も元気してるかとか話してくる。ここを卒業してから三年が経過するが、保健室も─保健室の先生も変わってない。すると保健室の先生は俺から如月に視線を向けた。俺は焦ることなく、保健室の先生にも如月について色々話した。出身地やここに来た理由、今後のことについて─とにかく色々話した。最初は驚いていたが、話を聞いていくうちに納得してくれた。一方で如月は、挙動不審になっていた。

「なるほどねぇ……だからさっき愛先生が怒ってたのねぇ……新米教師にして生徒指導もバッチリなんて…すごい」

「あはは……俺も、愛さんが怒ると怖いと思ってんだよぉ」

「私から見ても怖いもん…でも安心じゃない?この子の担任が…愛先生になるなんて」

「そう、だねぇー……如月、どう?」

「………どう、なんやろ……」

「このオッドアイは、あなたのいいところでもあるの。自分を捨てちゃダメ」

「………はい」

─保健室の先生は、ひたすら如月に大丈夫だから、オッドアイはあなたのいいところでもあるから、と言葉を掛けてくれた。最初は無表情だった如月も、保健室の先生のことを信頼しようとしてるのか、瞳が蒼と空色のはずが、空色の方に警戒の紅が混じってか、紫に変わっていた。保健室の先生はそれを見て、綺麗だと言った。それと同時に、愛さんが保健室に入ってきた。

─ふぅ、とため息をついて、保健室のベッドに倒れ込んだ。愛さんに何があったのかを聞くと、二十分ほど男子生徒と格闘していたらしい。歳頃の男子数人を相手にするのはさすがの俺でも限界がある。それに、先ほどの如月のオッドアイに対する発言が、如月は気にしていないだろうか。如月に確認すると、大丈夫と返ってきた。

「慣れとるので……」

「お前が傷ついてないならいいけどよ」

「それで、希望君。夜海ちゃんには連絡してあるの?」

「はい。楽しみにしてるみたいです…」

「そう。あの子達も、友達作りに苦戦してたみたいだから良かったわ……合うといいけど…ね」

「とりあえず、もうすぐチャイム鳴るんで購買行ってきますね……そうだ。限定の抹茶クリームパン買ってきますね」

「やった〜!楽しみにしてて、今朝スムージーだけだったからお腹ぺこぺこよ…ダイエット中だし」

「いや、愛さん全然細いですよ……とりあえず、俺達は行きます。また後で」

─愛さんはある教え子に連絡したのかを俺に聞いてきた。実は─ある人物と同級生で、如月の二つ年上で、愛さんの教え子でもある生徒と連絡してみたのだ。すると、とても楽しみにしてる、と言葉を残していた。四限目が終わるチャイムが鳴る前に保健室を出て、購買へ向かった。

「あら希望君!大きくなったねぇ」

「購買のおばちゃん、久しぶり……俺、まだまだ小さいよ」

「立派になったってことだよ!あれ?その…瞳の色が変わってる子は?」

「あ、ええと…」

「あ、兄が世話になりました!」

「ええと……実は俺、妹がいてさ…学校見学したいって聞かなくて、連れてきたんだ」

「へぇ……お嬢ちゃん、ここは気に入ったかい?」

「ううん……分からへんです」

「可愛い子だねぇ」

「あ、おばちゃん、抹茶クリームパン!十個頂戴っ!」

「毎度あり!いやぁありがとう!あの子にもよろしくお願いね」

「うん、おばちゃんありがとう!」

「お嬢ちゃん、頑張るんだよ」

─職員玄関のすぐ左には多目的ホールがあり、そこでのパンの購買は特に人気で、売り切れることも当たり前だ。中でもこの抹茶クリームパンが人気で、これが売り切れるのが最も早い。当然美味いというのもあるが、俺にとってのそれは思い出のものともいえる。

─本来ならこの抹茶クリームパンは、生クリームもたっぷり詰まってあるのだが、白血病で生クリームが食べれないと購買のおばちゃんに相談したことがある。すると、購買のおばちゃんは抹茶クリームパンを製造してるパン屋に、白血病の俺がいること、俺にも同じものを食べて欲しいとわざわざ交渉しに行ったことにより、生クリームが、二種類の抹茶のカスタードクリームへと変わった。だから、俺も皆と同じものが食べれて幸せだ。階段を上り、三年生の教室に向かう。それと同時に四限目の授業が終わるチャイムが鳴った。そのチャイムが鳴り終わった後に、一斉に教室のドアが開き、生徒がぞろぞろと出ていく。財布やハンカチを持ち、手洗いや購買に行く生徒、教室の机で弁当を広げ、仲良い人と食べる生徒、他クラスの人と喋りに行く生徒─目的は様々だが、今日もこの母校は騒がしい。すると、二人の女子生徒が教室から出て、俺達の目の前に現れた。

「よっ、夜海ちゃん、元気?」

「生野さん、私は元気です……その、廉命君は」

「廉太は生きてるよ」

「へぇ……あ、この子が昨日話してた子ですよね?」

「あぁ。如月夢玖といってなぁ…って隠れるなっ!」

「ふーっ!」

─俺達の目の前に現れた女子生徒二人と目が合った如月は、俺の後ろに隠れた。力ずくで彼女を身から引き剥がし、羽交い締めをさせる。最初は猫のように警戒していたものの、昨日腕に巻かれた包帯を見て、大人しくなった。

─一方で周りの生徒は如月を見てはヒソヒソと話している。この光景にはとっくに慣れた。瞳の色が違うだけで、如月が彼らに何をしたというのだ。

「あの子、オッドアイ?カラコン入れてる?」

「カラコンなら瞳の色変わらないっしょ…さっき、オレンジの瞳紅くなってたよ?」

「怖い……」

「てか、うちの生徒じゃなくね?てかこの人も…」

「なぁアンタ。ここで何してるの?」

「……俺は、こいつをここに転入させようとして、ここに来た。ここは俺の母校でもあるからね」

「とか言って、高校生に戻りたいんでしょ。男にしてはだいぶ背低いし…」

「その髪何?パーマ入れてるの?あーあ。生徒指導だわ、それ」

─周りの生徒は、如月のオッドアイを見ては、嘲笑うように、そして彼女に聞こえるように話す。オッドアイは痛いとか、カラコンでも入れてるのかとか─。するとある生徒が俺に、何故ここにいるかを聞いてきた。理由を彼らに話すが、話した俺が馬鹿だった。彼らの視線は如月から俺に移り、誹謗中傷をしてきた。はぁ、最近の高校生は変わってしまった。すぐ見た目だけで判断してしまう。すると、如月はオッドアイから大粒の涙を零してしまった。それを見た生徒達は、汚い─校舎が穢れる、と心無い言葉を浴びせてきた。この時の如月の瞳は片方が紅だった。

「病気じゃん……喋んねぇし…何考えてるか分かんねぇし……」

「……如月、ごめんな」

「ヒック……ぐす……」

「酷い…大丈夫だから」

「てか、なんで瞳の色がよく変わるんだろう?」

「……………ちょっと、これはどういうことよっ!」

─もし俺が、如月を別のところに任せていたらこんな事にはならなかったと思う。女子生徒二人は如月の変わる瞳の色を見て、不思議がっていた。だが、周りの生徒達は更にヒートアップして、俺や女子生徒二人に教科書や消しゴム、筆記用具など投げつけてきた。だが、この場を仕切る人物が現れ、その存在により俺達は助かった。物を投げつけられたことによって、出来た傷口からは昨日と同じく血が流れ、止まらなくなっていた。

「ちょっと!どういうことか説明してもらおうかしら」

「やべ……愛先生だっ!逃げろ!」

「…逃げても無駄や。私が…愛先生を呼んだ」

「嘘……呼びに行く間もなかったのに…?」

「……テレパシーって、知っとる?高校生やし、知らへん人、おらんやんな?自分ら、何学んできたん」

「夢玖ちゃんありがとう。ここは私に任せて…あなた達は別のところに移動しなさい」

「先生…?」

「愛さん…何を…?」

「もちろん、決まってるでしょう?」

─そう、愛さんだった。呼びに行く暇もなかったのに、如月はテレパシーを使って彼女をここに呼んだらしい。きっと如月の紅く変わった瞳には、鬼より怖い、愛さんが来るという予知を周りに知らせていたのだろう。

─俺達は愛さんの後ろに下がり、愛さんは鬼の形相で生徒達を睨みつけていた。そして彼女は言った。生徒指導と─。彼女が怒ってる状態でその言葉を放っただけで雰囲気は、雪のように凍り、近寄るだけでも危険だったため、俺達は屋上へと移動した。これは後で聞いた話だが、俺達に物を投げつけていた生徒達は、罰として反省文百枚、英語の課題プリント二十枚、校舎内のトイレ掃除をさせられたのだとか…。

─しかし、如月の高校への転学が決まったのは、数日後の話だった。そして次は、俺の職場である、スポーツ用具店だ。そこで働く仲間は─如月にどんな影響を与えるのやら─。




……To be continued





━━━━━━━━━━━━━━━


〔キャラクター紹介②〕


名前 : 煌星舞姫(きらぼし まき)

血液型 : O型

誕生日 : 5月12日

身長、体重 : 164cm、53kg

MBTI : INFP

好きなもの : 茄子、紅茶、希望

嫌いなもの : キムチ(匂いが無理)

趣味、特技 : 料理、子守り、化粧


希望の恋人であり、彼と同棲している21歳の看護学生。訳あって中学生の頃から希望と生活を共にすることで彼に恋をする。家事は人並み以上に出来て、容姿端麗で頭も良く、完璧な彼女だが、お菓子作りだけは壊滅的に苦手で、彼女の作るお菓子は皆炭と化する。姉の愛とは仲良しで、お互いを溺愛している。

閲覧頂きありがとうございました!

コメント、いいね、感想お待ちしております!

次回作もお楽しみに!では。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ