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普通を失った俺が、世に希望を与えるまで。  作者: 速府左 めろ
<第一章>希望とは。〜集われた意図編〜
20/85

猫が食べるもの

この度は閲覧頂きましてありがとうございます!

「文化祭?」

「はい。如月さんが……その、コスプレするみたいで」

「懐かし〜!どんなコスプレなの?メイド服?」

「生野さんじゃねぇんだから…なんか、皆でアリスのコスプレらしいっす」


─ある日のお見舞にて。その日は水曜日で、大学が無かったのか舞姫さんも来ていた。

─如月さんは最近、文化祭の準備があって中々バイトや見舞いにも顔を出せてない。会えないと寂しいのはもちろんだが──意外とそうでもない─何故ならそれは───


「如月さん……クラスでアリス喫茶やるみたいで…しかも、シャム猫のコスプレで…」

「それで……誘われたんだろ?」

「うげぇっ……バレたか」

「お姉ちゃんも張り切ってるみたいだよね…夢玖ちゃんのシャム猫姿…絶対可愛いだろうなぁ…」


─すると生野さんは何か勘づいたらしく、如月さんに誘われたことを言われた。図星だった。


「尻尾振りすぎ。どんだけ楽しみなんだよ」

「………如月さんの猫姿……ふふっ」

「…気持ち悪」

「えぇっ!文化祭楽しみっていう意味で…如月さんのシャム猫姿がって意味じゃないっすよ」


─そう。実は数日前のアルバイトで俺は如月さんから文化祭に来ないかと誘われた。当然それに乗った。何故なら、如月さんの可愛い姿が見れるから。その為に予約していたゲームの受け取りも日にちをずらしたのだ。彼女に会いたいから。一秒でも長く、如月さんの傍にいたいから。

─俺がどれだけ如月さんに恋してるかは、自分と彼女の優先順位がはっきりしているからに寄るだろう。

─そしてその日のアルバイトも終わり、帰宅すると夜海から着信があり、応答した。


「夜海…?」

<廉命君……言うの忘れてたんだけど…>

「え?」

<実はクラスで劇やることになったの!いい意味で刺激強いけど、気にしないでねっ!>


─すぐに電話は切れ、夜海の言ってることが理解出来ずにいた。刺激が強いとなると──と思い、気付けば文化祭当日になっていた。その日のアルバイトは夕方の五時からになっていて、俺は久々に母校へ足を踏み入れた。


「(懐かしいなぁ……昔は屋上で、生野さんに怒られてたなぁ…死ぬなって)」

「(てか、如月さんのシャム猫姿って……)」


─車を母校の駐車場に停め、車から降り、昇降口から入ろうとすると──俺の周りに女子が集まってきた。


「きゃあっ!イケメンっ!」

「背高い……ガタイいいっ!」

「かっこいい……彼女いるのかな!」

「えぇ…っと………」

「凄いイケメン…ケロイド凄いし、凄い肩幅も広いっ!」

「連絡先交換しません?」

「いや……その「あっ!廉命さんっ!」


─やはり俺の顔目当てなようで、イケメンだのかっこいいだのとはしゃいでいる。そう言われること自体は悪く思わないのだが、それらは─如月さんだけに言われたい。

─何とか女子達の人混みを避けようとすると、丁度昇降口付近を歩いていた如月さんと夜海と仁愛が姿を見せ、如月さんは俺の元まで走って、飛び込んできた。


「えっ?彼女…さん?」

「っ!」

「にゃー……ごろごろ……っ」

「ちょ…如月さん……誤解されてるから、離れなさいっ!」

「え〜?廉命さんは、ある一人しか好きにならへんから、ナンパしても無駄やで?んべーっ」

「〜!(…って、如月さん…わざとなのか?)」


─いきなり猫のように喉をゴロゴロと鳴らしては俺の胸に顔を擦り付けている。しかも今、らしくない言葉を言った。

─俺は彼女の背中に手を添え、そのまま抱き締めてみた。体が密着したという事実が、俺の心臓の心拍数を上げた。

─忘れてた─。如月さんはテレパシーが使えるのか。どおりで俺が思ってることも丸わかりなわけだ。


「それで……何の劇やるの?」

「それは見てからのお楽しみだよぉ?そろそろ準備しないとだから、また後でね。またLINEする」

「おう」


─校舎に入り、俺は如月さん達と廊下を歩く。久しぶりに見た母校を見渡しては懐かしいと振り返る。周りを見渡すと、お化け屋敷や迷路、占いの看板があったり、展示品も沢山あった。派手な飾りも、色んな食べ物を売っていたりも─。まるで、漫画やアニメでよく見る文化祭だった。

─あの時、生野さんが俺を止めてなかったら──こんなに運命的な出会いはなかった。如月夢玖という恋のターゲットを、俺は仕留めたい。

─例えるなら─シベリアの犬が猪や兎を狩るように、だ。

─如月さん達は準備があり、彼女達とは一度別れた。夜海からLINEが来るまで、他のクラスでやっている、クレープを買い、口にした。


「(そういえばクレープ食うの花火大会以来だよな……はっ!)」

─そういえば、クレープを口にしたのは花火大会以来だろうか。あの時、夜海が生クリームが倍盛られたクレープを如月さんがまず一口食べ、残りは俺が完食。つまり、関節キスをしてしまった。

─好きな人とする関節キスほど、刺激的なものはない。

─クレープを完食したタイミングで夜海からのLINEが来ていて、俺は如月さんの教室に入った。

「背高い…ガタイ良過ぎ……」

「彼女さんいるのかなぁ?」

「あ、あの…!」

「ん?」

「わ、わ…イケメンっ!身長…幾つですか?」

「……百九十くらい…?あ、でも……悪いけど君達とLINE交換はしないよ」


─いい意味で刺激が強いと聞いてはいたが─如月さんのシャム猫のコスプレ姿を想像すると─俺はどうなってしまうだろう。

─尻尾を振りながら待っていると、後ろに並んでた女子生徒二人が俺に話し掛けてきた。

─自分の身長だけ言い、LINE交換の意志はない旨を伝え、俺はついに入った。


「いらっしゃいませ〜!」

「あ、廉命君っ!」

「………っ!」

「夢玖ちゃ〜んっ!廉命さん来たよー!」

「にゃ……っ」

「かはっ!(なんて破壊力のある可愛さ…っ!)」

「廉命さんっ!どないしてんっ!」


─教室に入ると、アリスのコスプレをしてる夜海と、白ウサギのコスプレをしてる仁愛、ハートの女王のコスプレをしてる愛さんが俺を出迎えてくれた。

─皆似合っていたのだが─如月さんのコスプレ姿は─思っていた以上の破壊力で、あまりにも可愛すぎて俺の心臓が持たなかったのだ。

─小柄な身を、シャム猫をモチーフとしたワンピースで包み、猫耳付きのフードを被っていた。しかも──尻尾まで付いていたのだ。猫の肉球が見える手袋も、鈴が着いてる首輪も装着していたのだ─。


「遅いですよ……」

「思ってた以上に廉命君、ドキドキしてるわね…尻尾も…凄くブンブン振ってるわ」

「わんっ!べ、別に…如月さんのコスプレ姿とか……興味無い……すよ」

「へ〜?この後クラスの劇で、赤ずきんやるのよ?」

「え」

「そうそうっ!ちなみに私が狩人で、仁愛ちゃんがおばあちゃん役、愛先生はお母さん役で、夢玖ちゃんは赤ずきん役やるの!」

「へぇ…お、狼は……?」

「それがね……急遽家の都合で休んでるのよ…あ、そうだっ!廉命君が良ければ…狼役やってくれないかしら?」


─しかも、如月さんの白い頬には猫の髭が描かれている。そして、本物の猫のように鳴き声を上げる姿も、とても愛おしい。

─それに今、衝撃の事実を知った。なんとこの後の劇で─彼女達のクラスは赤ずきんをやることだ。赤ずきん役は如月さん、おばあちゃん役は仁愛、狩人役は夜海、お母さん役が愛さん─という分担になっているらしい。そこまではいいのだが、愛さんはあるお願いを、俺にしてきた。


「はぁっ!いや、俺…ここの生徒じゃないすよ!」

「何言ってるの?卒業生じゃん?」

「それとこれとは話が別だろっ!」

「廉命さん犬っぽいけど、何とかなりますよ!」

「わんっ!俺犬じゃねぇしっ!」

「廉命さん……の方が狼向いとるのに。廉命さんが狼役やったらかっこええのに」

「……そこまで言うなら、分かったよ」

「(如月さん…頬を膨らませないで…可愛くて仕方ないんだよっ!)」


─夜海達はここの生徒、愛さんはここの教師なので文化祭の劇に関与出来るが、一般参加者である俺は出来ない。確かにここの卒業生ではあるが、それとこれとは別だ。

─結局、皆に説得をされ、更には如月さんにお願いされ、俺は急遽、狼の役目を果たすことになった。


「本当にありがとう!とりあえず、廉命君…なんか食べる?」

「ハートの女王のメロメロオムライス……カシスソーダ、白ウサギのふわしゅわパンケーキ、アリスとシャム猫の不思議なハンバーグプレート…」

「ふふっ!皆で休みの日に試作しながら考えたのよ!舞姫にも希望君にも手伝ってもらったの!夢玖ちゃんが、廉命君を喜ばせたいって!」

「嘘……」

「嘘やない……ですよ……その……最近、お疲れやったので」

「とりあえず、これ全部食います」

「相変わらず凄い食べっぷりね……すぐ作るわ」


─愛さん達からは、盛大な感謝の言葉と同時に、メニュー表を手渡してきた。そこには、夜海達が考えたであろうメニューが書かれていた。メイド喫茶で知名度が高いオムライスやドリンクなど─書かれていて、俺はほぼ全てのメニューを注文した。二十分くらいすると、頼んだものが揃った。


「お待たせしました〜!ハートの女王のメロメロオムライス、白ウサギのふわしゅわパンケーキ、カシスソーダ、アリスとシャム猫の不思議なハンバーグプレートでーす!」

「本来なら私がおまじないするんだけど…ここは夢玖ちゃんに…お願いしようかしら」

「えっ…?」

「ふふっ………実はそのハンバーグ、二個あるでしょ?実はそれ…一つは牛肉で、もう一つは魚ハンバーグなの!どっちも猫が食べるものだよ」

「んにゃ……ゴロゴロ。せっかく来てくれるので、廉命さんが好きそうなん考えたんです」



─そして、俺は─如月さんが《《おまじない》》をするところを、この目に焼き付けたのであった。このクラスの、アリス喫茶は大成功し、最優秀賞を獲得することを、俺達はまだ知らなかった。

─そして、俺は狼になる準備を、した。






……To be continued



━━━━━━━━━━━━━━━


<キャラクター紹介⑭>


名前 : 釜淵(かまふち) (きずく)

血液型 : AB型

誕生日 : 6月29日

MBTI : ENFP

身長、体重 : 186cm、80kg

好きなもの : 肉巻きおにぎり

嫌いなもの : とろろ(ゲロ食べてるみたいで嫌)

趣味・特技 : キャンプ、ゲーム、アメフト


某スポーツ用具店に新しく入った27歳の男性。

霧也とはアメフト仲間ではあるが、理由があって彼のアキレス腱を断裂させた張本人。アメフトは彼の次の次の次に上手く、現役はセンター、ミドルラインバッカーで活躍していた。大学卒業後に県内の中小企業に勤めていたが、霧也に謝罪するため、ケジメを付けるため、辞めて、希望達と働くように。キャンプで困ったら彼にお任せだ。


閲覧頂きありがとうございました!

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次回作もお楽しみに!では。

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